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健康経営の課題とは?解決につながる施策と取り組み事例を解説

公開日: 2025.7.17
更新日: 2026.2.19
健康経営の課題とは?解決につながる施策と取り組み事例を解説

「自社における健康経営の課題とは?」

「健康経営を推進する中で生じる課題はどのように解決すればいい?」

健康経営を推進するうえで、このように考える人事労務担当者の方は多いのではないでしょうか。

健康経営に取り組むことで、従業員の健康の改善・保持につながり、生産性の向上や離職率の低下などが期待できます。健康経営を推進するには、社内の課題を把握したうえで、解決に適した施策に取り組むことが大切です。

本記事では、経営者・担当者視点における健康経営の課題や解決につながる施策などについて解説します。

健康経営の現状は?

健康経営の現状は以下のとおりです。

  • 健康経営の実施率は企業規模によって異なる
  • 健康経営優良法人認定制度の回答数・申請数は年々増加している
  • 経営者を健康経営の最高責任者とする企業が拡大している

それぞれの現状について詳しく紹介します。

健康経営の実施率は企業規模によって異なる

健康経営の実施率は、企業の規模によって差があります。アクサ生命の調査によると、「健康経営を実施している」と回答した大企業は54.3%、中小企業は29.6%でした(※)。

大企業と比較すると、中小企業の健康経営の実施率は低い状況です。

(※)「経営者200人全国の働く人15,000人に聞いた中小企業と健康経営の実態」(アクサ生命)

健康経営優良法人認定制度の回答数・申請数は年々増加している

健康経営優良法人が設立された2014年以降、制度に対する関心は年々高まっており、回答数・申請数(※1)ともに増加傾向にあります。2023年度・2024年度の回答数・申請数を以下の表にまとめました。

大企業の回答数(※2)中小企業の申請数(※3)
2023年度3,520件17,316件
2024年度3,869件20,267件

上表のとおり、大企業の回答数は2023年度から10%増加しています。また、中小企業の申請数も、2023年度から17%増加している状況です。

このように年々増えてはいるものの、国内の企業数は中小企業だけでも300万社以上であることを考慮すると、健康経営を導入していない企業がまだ大多数を占めています。(※3)。

(※1)大企業はアンケート(健康経営度調査)への回答が最初のステップのため「回答数」、中小企業は直接申請書を提出する方式のため「申請数」と表現される
(※2)「健康経営の推進について」(経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課)
(※3)「日本経済新聞 2025/3/13掲載! 健康経営優良法人2025発表企画 中小規模法人部門」(ACTION!健康経営|ポータルサイト)

経営者を健康経営の最高責任者とする企業が拡大している

経営者を健康経営の最高責任者とする企業は、2014年に健康経営優良法人認定制度が設立されてから大幅に拡大しています。

健康経営度調査の「全社における健康経営の推進の最高責任者の役職は何ですか」の質問に対し、「経営者が最高責任者」と回答したのは2024年は85%でした(※)。健康経営優良法人認定制度が設立された2014年時点では5.3%であり、多くの企業で経営者が主導となった健康経営に取り組んでいることが判明しています。

(※)「健康経営の推進について」(経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課)

健康経営担当者視点における健康経営の課題は?

健康経営担当者視点における健康経営の課題は以下のとおりです。

  • 経営陣が健康経営に前向きではない
  • 実現性が困難な目標が設定されている
  • 効果を数値化しにくく効果測定が難しい

健康経営を実際に機能させるには、従業員の納得と参加が不可欠です。健康経営の効果を実感し、納得してもらえる取り組みにするために、健康経営担当者視点での課題整理を行いましょう。

経営陣が健康経営に前向きではない

健康経営担当者視点における課題として、経営陣が健康経営に対して積極的に取り組まないことが挙げられます。

経営陣が主体となって取り組まなければ、従業員に健康経営のメリットを波及できず、健康増進の効果を発揮できません。また、「従業員の健康に目を向けていない」というイメージがつき、定着率の低下を招く恐れもあります。

そのため、まずは経営陣に健康経営を経営課題の一部として認識してもらうことが重要です。健康経営への取り組みが定着率や企業イメージにつながることを説明したり、経営陣向けの研修会やセミナーなどを実施したりして、健康経営に対する理解を深めてもらいましょう。

実現性が困難な目標が設定されている

実現性が難しい目標が設定されていることも、健康経営担当者視点における健康経営の課題です。従業員の負担が大きい健康経営の施策は、モチベーション低下につながりやすく、取り組みが長続きしません

たとえば強制参加の健康イベントの開催や、自己負担がある施策などは、不満や形骸化につながる可能性があります。健康経営の推進には、全従業員が現実的に取り組みやすい施策を検討することが大切です。

効果を数値化しにくく効果測定が難しい

健康経営担当者視点における健康経営の課題として、効果を数値化しにくいため効果測定が困難であることも挙げられます。特に従業員のメンタルヘルス対策や食生活改善の取り組みは、業績や生産率向上につながっているのか直接的に証明するのが難しいでしょう。

また、健康増進の成果は短期間で証明することが難しく、年単位での効果測定をおこなう必要があります。健康経営の効果を数値化するには、効果測定のための指標を設定したうえで、支援システムを導入するのが望ましいです。

経営者視点における健康経営の課題は?

経営者視点における健康経営の課題は以下のとおりです。

  • 健康経営に関する知見が乏しい
  • 健康経営にかかわる専任部署や担当者の不在
  • 従業員の健康に対する意識が低い

健康経営の推進には、経営層の理解とリーダーシップが欠かせません。健康経営にかかわる施策の予算確保や全社的な浸透を図るうえでも、経営者の視点での課題を把握することが重要です。

健康経営に関する知見が乏しい

経営者視点における課題として、自身が健康経営に関する知識・ノウハウをもっていない点が挙げられます。経営者自身に健康経営の知見がないと、部下に対して適切な指示ができないためです

また、現場の担当者も健康経営の知識やノウハウがなければ、具体的な計画や施策を立てられません。経営陣・従業員を含めて、健康経営に関する勉強会を開いたり、外部の支援サービスを利用したりするなどの対策が必要です。

健康経営にかかわる専任部署や担当者の不在

健康経営に取り組む専任部署や担当者が不在であることも、経営者視点における健康経営の課題です。

人事労務や総務と兼任する企業もありますが、業務負荷が高いため、健康経営に十分に取り組めない状況に陥りがちです。

健康経営の推進には、従業員の健康管理や健康診断の実施・管理など、継続的なフォローが欠かせません。そのため、社内で健康経営の推進を図るなら、専任部署や担当者の設置が望ましいでしょう。

従業員の健康に対する意識が低い

経営者視点における健康経営の課題として、従業員の健康に対する意識が低いことも挙げられます。経営陣や担当者のみが積極的に健康経営に取り組んでも、従業員一人ひとりの意識が改善しなければ健康増進につながりません

また、健康に対する意識が低い従業員が多いと、健康経営にまつわる制度を活用しにくくなり、目標を達成できない可能性があります。従業員の健康意識向上につながるように、社内啓発活動やイベントの開催などを検討することが求められます。

健康経営の課題解決につながる施策

健康経営の課題解決につながる施策は以下のとおりです。

  • 健康経営の戦略マップを活用する
  • 従業員が取り組みやすい健康経営の施策を打ち出す
  • 従業員に向けて健康にかかわる研修を実施する
  • 健康経営にかかわる資格を取得する
  • 健康経営専任部署の設立や従業員の採用を進める
  • 事業場外資源によるケアを活用する

各施策の内容を詳しく解説します。

健康経営の戦略マップを活用する

経営陣と健康経営の指針を共有するために、健康経営戦略マップを活用しましょう。健康経営戦略マップとは、経営課題と健康経営の施策を図式にしたフレームワークツールのことです。

健康経営戦略マップ
出典:「健康投資管理会計実践ハンドブック」(経済産業省)

健康経営戦略を見える化することで、ストーリー仕立てでわかりやすく解説できます。また、健康経営戦略マップがあれば経営陣や従業員だけでなく、外部のステークホルダーに対しても健康経営の指針を共有しやすいです。

従業員が取り組みやすい健康経営の施策を打ち出す

社内の健康経営を推進するには、従業員の負担がなく取り組みやすい施策を打ち出すことも大切です。金銭的・体力的に負担のかからない施策は、従業員が気軽に参加しやすく、参加率・継続率の向上につながります

たとえば生活習慣病の予防施策を打ち出すなら、社員食堂で低価格のヘルシーメニューを提供したり、誰でも参加できるウォーキングイベントを開催したりするなどがあります。

従業員のメンタルヘルス対策を推進するなら、ストレスチェックの導入や外部の相談窓口を設置することで、従業員に負担をかけずメンタルヘルスケアを実施できるでしょう。健康経営の施策を打ち出す際は健康情報を調査したり、アンケートを実施したりして、従業員のニーズを確かめることが重要です。

なお、健康経営の進め方や施策事例など全般的な情報を知りたい方はこちらの記事も併せて参考にしてみてください。

従業員に向けて健康にかかわる研修を実施する

従業員の健康意識を向上させるなら、健康にかかわる研修・セミナーを実施しましょう。研修やセミナーを実施することで健康に対する理解が深まり、従業員が健康を意識した行動を取りやすくなります

研修やセミナーを実施する際は、従業員が参加しやすい環境を整備することが重要です。また、就業時間内に研修やセミナーを実施や、e-ランニングを利用してどこでも受講できるようにするなどの方法があります。

健康経営にかかわる資格を取得する

経営者や従業員が健康経営の知識やノウハウを身につけるなら、「健康経営アドバイザー」や「健康経営エキスパートアドバイザー」の資格を取得する方法があります。

「健康経営アドバイザー」や「健康経営エキスパートアドバイザー」とは、東京商工会議所が認定する民間資格のことです。健康経営の基礎知識を学び、具体的な実践方法を身につけられます

健康経営の知識がある経営者や従業員が担当者となれば、社内の健康経営推進につながる効果的な施策を検討できます。また、専門知識のある担当者が健康経営の指揮を執ることで、持続的かつ円滑な運営が可能です。

健康経営専任部署の設立や従業員の採用を進める

健康経営の取り組みを加速させるには、専任部署の設立や従業員の採用を進めることが重要です。健康経営に注力できる部署の設立や従業員を採用することで、業務過多を防いで効率よく取り組みを実行できます

また、専任部署を設立することで従業員一人ひとりの健康情報を管理し、健康診断の結果にもとづいたフォローアップも可能です。従業員一人ひとりの健康状態に適したフォローアップをおこなえると、疾患を早期発見できたり、健康予防を実施できたりします。

事業場外資源によるケアを活用する

自社のリソースだけで健康経営に取り組むのが難しい場合は、事業場外資源(外部の専門機関や支援サービス)によるケアを活用しましょう。

事業場外資源を活用すれば、産業医やカウンセラーといった専門家のサポートを受けながら、従業員のメンタルヘルス対策や復職支援の実施ができます。

主な事業場外資源は以下のとおりです。

  • 医療機関
  • 地域産業保健センター
  • 従業員支援プログラム

ただし、事業場外資源によるケアを利用する際は、従業員の利便性や個人情報の取り扱いについて十分に整備されているか確認することが大切です。

健康管理システムを導入する

健康経営の効果測定をおこなうなら、健康情報を管理できるシステムを導入するのがおすすめです。健康管理システムでは、従業員の健康診断情報を管理したり、ストレスチェックの診断結果を集計したりできます

従業員の健康情報を一つのシステムで管理できると、従業員ごとに作成した書類の捜索や保管などの手間を省けるため、健康経営担当者の業務効率向上につながります。また、ストレスチェックや健康診断実施などの健康経営にまつわる取り組みを可視化できるため、健康経営優良法人認定に必要な書類もスムーズに作成可能です。

ハピネスパートナーズでは健康診断情報をシステムで一元管理できるため、紙・エクセルの管理から工数の削減が見込めます。健康情報の抽出もでき、健康経営の取り組みを効果測定することも可能です。

健康経営の課題を解決した取り組み事例

健康経営の課題を解決した取り組み事例を3つ紹介します。他社の取り組み事例を参考に、自社に適した施策を検討してみてください。

健康経営を委員会方式で取り組んだ事例|株式会社ワイドソフトデザイン

株式会社ワイドソフトデザインは、当初総務担当者が単独で健康経営の発信を担っていましたが、取り組みに対する従業員の参加状況が限定的で、社内の推進体制に課題があったとのことです。

その後、各部署から健康経営の担当者を一名ずつ選出する委員会方式へと体制を変更しました。あわせて、健康に関する情報共有や、勤怠日報に体調や出来事を記入できるシステムの導入も行っています。

このような取り組みにより、健康管理を実施している人の割合が75%から81.8%に上昇したと報告されています。

参考:「健康経営優良法人2024中小規模法人部門取り組み事例集」(ACTION!健康経営|ポータルサイト)

人事総務部を主導に健康経営に取り組んだ事例|オーエス株式会社

オーエス株式会社からは、育休明けの従業員から働き方の改善を求める声を受けて、人事総務部を主導に健康経営に取り組んだ事例が報告されています。

経営層に対して、従業員の状況を共有したり、外部セミナーの受講を促したりするなどの施策を実施。従業員に対して、健康教育やフリーアドレスの導入も行いました。

このような取り組みを通じて、従業員の健康意識や職場内のコミュニケーションに関する変化が見られたとしています。

参考:「認定法人取り組み事例集2025中小規模法人部門」(ACTION!健康経営|ポータルサイト)

経営者と担当者が連携を図り健康経営を推進した事例|山八商事株式会社

山八商事株式会社からは、経営陣および従業員の健康に関する課題を背景に、健康経営の導入に着手した事例が報告されています。経営者と担当者が健康経営にかかわる資格を取得し、健康経営推進担当を設置しました。

その後、女性の健康をテーマにした研修の実施や、女性専用の休憩スペース設置などを行っています。また、食生活改善のために毎月サラダランチデーを開催し、希望者にはランチタイムにサラダの提供を行いました。

現在も、このように従業員の健康保持や増進を目的とした取り組みが継続的に実施されています。

参考:「認定法人取り組み事例集2025中小規模法人部門」(ACTION!健康経営|ポータルサイト)

健康経営の課題を把握して、効果的な解決策に取り組もう

経営者視点・健康経営担当者視点の健康経営の課題として、以下などが挙げられます。

課題
経営者視点・健康経営に関する知見が乏しい
・健康経営にかかわる専任部署や担当者の不在
・従業員の健康に対する意識が低い
健康経営担当者視点・経営陣が健康経営に前向きではない
・実現性が困難な目標が設定されている
・効果を数値化しにくく効果測定が難しい

健康経営を推進するには、自社がどのような課題を抱えているのか洗い出したうえで、解決につながる施策に取り組むことが求められます。従業員の健康情報を一元管理できる、健康経営システムのツールを使用することも一つの手段です。

ハピネスパートナーズでは、従業員の健康情報を一元管理できる健康管理システムを提供しています。健康経営の推進に欠かせないデータの抽出・分析も可能です。

自社の健康経営に関する課題を把握したい場合や、効果測定を実施したい場合はぜひご活用ください。

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