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健康経営の食事改善の取り組みには何がある? 実施のメリットや事例を解説

公開日: 2025.8.19
更新日: 2026.2.19
健康経営の食事改善

健康経営において食事改善の取り組みは、従業員の健康の保持増進やリスク低減に不可欠です。従業員の食事を改善する取り組みを行うことで、生活習慣病の予防、さらには生産性の向上などの効果が期待できます。

一方で、「どのような取り組みを行えばいいの?」と悩む企業担当者の方は多いのではないでしょうか。

本記事では、健康経営における食事改善の取り組みの例や実施のメリット、事例を解説します。

健康経営における食事改善の取り組み例

健康経営における食事改善の取り組みには、以下のようなものがあります。

  • 食育や健康に関するセミナーの実施
  • 健康的な社員食堂メニュー・食事サービスの導入
  • 食事手当の支給
  • 専門家による相談窓口の設置

それぞれの内容を詳しく解説します。

食育や健康に関するセミナーの実施

健康経営における食事改善の取り組み例として、食育や健康に関するセミナーの実施が挙げられます。

従業員が食生活を改善し、健康的な食事をするようになるには、まず従業員自身が健康に対して前向きな姿勢であることが重要です。管理栄養士などの専門家を招いて、食育や健康に関するセミナーを実施すれば、従業員が食や栄養に関する正しい知識を習得し、自ら食生活を見直そうとする行動変容が期待できます。

セミナーの実効性を高めるためには、自社の健康課題や従業員のニーズに合わせた内容にすることがポイントです。たとえば、「疲労回復に効く食材」「手軽に栄養が補えるメニュー」など、従業員が知りたくなるようなテーマを設定すると興味をもってもらいやすいでしょう。また、マルシェや試食会など、楽しみつつ食育につながるイベントを開催するのも効果的です。

健康的な社員食堂メニュー・食事サービスの導入

健康的な社員食堂メニュー・食事サービスを導入すれば、従業員の食生活により踏み込んで食事改善を促進できます。

とくに社員食堂は、従業員の食生活に直接介入するため、肥満の改善や血糖値の低下に効果が出やすいのが特徴です。実際、社員食堂で健康メニューを提供した結果、3ヶ月後ほとんどの従業員に腹囲や体重の減少、血液の糖尿病関連数値の低下が認められたとの研究データもあります(※)。また、食事の提供時間がある程度決まっているため、従業員の食事のリズムを自然に整えられる点もメリットです。

すでに社員食堂がある場合は、栄養バランスや塩分・脂質に配慮したメニューを提供したり、カロリーや栄養素を表示したりするとよいでしょう。

しかし、社員食堂は設置に高額なコストとスペースが必要になるため、企業によっては導入が難しい場合もあります。設置が難しい場合は、以下のような食事サービスを導入するとよいでしょう。

  • お弁当の配達サービス
  • 設置型社食サービス
  • ケータリングサービス

(※)参考:社員食堂の「食育ランチメニュー」における メタボリックシンドローム予防効果(J-Stage)

食事手当の支給

健康経営における食事改善の取り組みとして、食事手当を支給するのも有効な施策の一つです。

企業が食事代の一部を負担すれば、従業員は経済的余裕が生まれ、栄養バランスのよい健康的な食事を選択しやすくなります

時間帯や場所を問わず食事の支援ができるため、外回りの営業職や夜勤のある勤務体系の企業など、全従業員に一律で社食を提供するのが難しい場合にはとくにおすすめです。また、テレワークを行う従業員に対しても、平等に支援を届けられます。

食事手当は、以下のような形態で支給することが一般的です。

  • 食事代の一部を現金支給する
  • 特定の飲食店で使える食事チケットを支給する

食事手当の支給は、健康的な社食メニュー・社食サービスの導入とあわせて行うとより高い効果が得られます。自社の社員食堂や社食サービスの利用率が高まり、食生活の改善に取り組む従業員が増えることが期待できます。

専門家への相談窓口の設置

管理栄養士などの専門家への相談窓口を設置すれば、従業員が自分の食生活について気軽に相談できるようになり、継続的な食生活の改善が期待できます。

たとえば、以下のような方法があります。

  • 地域の産業保健センターへ気軽に相談できる体制の構築
  • 民間企業が提供している食事改善相談サービスの利用
  • 専門家への相談ができる食生活改善アプリの導入

地域の産業保健センターは、無料で相談できるのがメリットです。ただし、利用できるのは従業員数50人未満の小規模事業所のみ(※)であるため注意しましょう。

食事改善相談サービスや食生活改善アプリは、オンラインで食事に関する相談をしたりアドバイスを受けたりできるのがメリットです。自社の従業員数やニーズに応じて合った方法を選びましょう。

(※)参考:地域産業保健センター(地さんぽ)(こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)

健康経営において食事改善の取り組みが求められている背景

健康経営において食事改善の取り組みが求められている背景には、現代の労働者の食生活が乱れがちであることが挙げられます。

近年は、多忙などの理由により、短時間かつ手軽に空腹を満たせることを重視して食事を選ぶ労働者が多い傾向です。コンビニ弁当やおにぎり、麺類などが選ばれやすく、栄養不足や塩分・脂質の過剰摂取が懸念されます。

また、テレワークの普及も、労働者の食生活が乱れている原因の一つといわれています。自宅で仕事をしていると、間食が増えやすいためです。

食生活の乱れによる栄養不足や塩分・脂質の過剰摂取は、高血圧や心疾患などの生活習慣病のリスクを高めます。従業員の健康状態の悪化は、生産性の低下や離職・休職を招きかねません。

そのため、企業は従業員に対して食事の観点からもサポートを行う必要があるのです。

なお、健康経営の進め方や施策事例など網羅的に健康経営のことを知りたい方はこちらの記事も併せてご確認ください。

健康経営において食事改善の取り組みを行うメリット

健康経営において食事改善の取り組みを行うメリットは、主に以下の3つです。

  • 生産性の向上が見込める
  • 離職率・休職者の減少につながる
  • 企業イメージの向上が期待できる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

生産性の向上が見込める

健康経営において食事改善の取り組みを行うことは、生産性の向上につながります。

偏った食事や栄養不足は、体調不良だけでなく、疲れやイライラを引き起こし、集中力や業務パフォーマンスの低下を招く恐れがあります。

反対に食事改善の取り組みを行って、従業員の健康を保持増進できれば、パフォーマンスを高く維持でき、業務の生産性が向上するでしょう。

離職率・休職者の減少につながる

健康経営において食事改善の取り組みを行うことは、離職率・休職者の減少にもつながります。栄養バランスのとれた食事は、生活習慣病の予防に加え、メンタルヘルスの安定にもよい影響を与えるためです。

一部の研究では、食生活を整えることは、うつ症状や不安症状によい効果を与えるとのデータもあります(※)。

企業が従業員に対し健康的な食事をサポートする取り組みを行えば、身体疾病やメンタルヘルス不調による離職・休職を防げる可能性が高まります。継続して勤める従業員が増えることで、人材の定着も見込めるでしょう。

(※)参考:「科学的根拠に基づく食によるメンタルヘルスへの アプローチ」(J-Stage)

企業イメージの向上が期待できる

健康経営による食事改善の取り組みは、企業イメージの向上にも効果的です。従業員の健康に配慮した取り組みを積極的に行う企業は、「従業員を大切にする会社」として社内外から高く評価されやすいためです。

健康経営に力を入れている企業として社外にアピールすれば、取引先からの信頼度向上や入社希望者の増加など、さまざまな効果が得られるでしょう。

結果、事業拡大や優秀な人材の獲得にもつながります。

健康経営で食事改善に取り組んだ企業事例

健康経営で食事改善に取り組んだ企業の事例を2つ紹介します。自社で食事改善の取り組みを実施する際の参考にしてください。

血糖値に焦点をあてた食事指導セミナーの開催で食生活の改善を促進|味の素株式会社

大手食品メーカーの味の素株式会社では、生活習慣病のリスク低減のため、血糖値に焦点をあてた食事指導セミナーを開催しています。セミナーの内容は、食後に血糖値を自己採取し、血糖値スパイク(食後に血糖値が急激に上昇・下降する現象)により起こり得るリスクを従業員に認識させるというものです。

さらに、適正糖質をコントロールする方法を紹介することで、従業員自らの行動変容を促しています。

取り組みの結果、セミナー参加者の8割以上に、セミナー後3ヶ月以上にわたって糖質に配慮して食事を選択する行動変容が見られたとのことです。

参考:「健康経営 先進企業事例集」(経済産業省)

スマートミールの提供により栄養バランスのとれた食事摂取を促進|リゾートトラスト株式会社

会員制のリゾート施設を全国に展開するリゾートトラスト株式会社は、全施設でスマートミール(栄養バランスに配慮した定量の食事)を提供しています。

同社には就業環境上、周辺に食事を提供する施設や店舗が少なく、従業員が健康的な食事を日常的にとるのが難しいという課題がありました。また、若年層の職員が従業員構成比の多くを占め、単身赴任や施設内の独身寮で生活している職員もおり、食生活が乱れている傾向にあります。

そこで、栄養バランスのとれたおかずが定量盛り付けられているスマートミールの提供を開始し、栄養バランスのとれた食事の摂取を推進しました。

また、スマートミールの喫食数や歩数を点数化し、貯まったポイントを商品と交換できる制度を設けるなど、複数の観点から食生活の改善に取り組んでいます。

参考:「企業の食育推進事例集」(農林水産省)

食事改善は健康経営優良法人制度の評価項目になっている

従業員に対する食事改善の取り組みは、健康経営優良法人制度の評価項目になっています。

健康経営優良法人制度とは、とくに優れた健康経営を行っている企業を健康経営優良法人として認定する、経済産業省推奨の顕彰制度です。認定されるには所定の要件を満たす必要があり、その評価項目の中に「食生活の改善に向けた取り組み」があります(※1)。

食事改善は、健康経営優良法人の認定においても重要な取り組みといえるでしょう。

また現在、農林水産省が健康経営優良法人制度の関連制度として、新たに「食育実践優良法人顕彰(仮称)」の創設を検討しています(※2)。食育実践優良法人顕彰では、従業員に対し、優れた食生活改善の取り組みを行っている企業を「食育実践優良法人(仮称)」として顕彰される見込みです。

認定要件などの詳細はまだ公開されていませんが、制度が開始されれば、健康経営において食事改善の取り組みの重要性はさらに増すでしょう。

(※1)参考:「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)認定要件」(ACTION!健康経営)
(※2)参考:「健康経営優良法人認定制度を活用した「食育実践優良法人顕彰(仮称)」の創設について」(農林水産省)

健康経営で食事改善の取り組みを行って従業員の健康を守ろう

健康経営において食事改善の取り組みは、生産性の向上や離職・休職の防止に有用な取り組みです。

健康経営優良法人制度の評価項目であるのに加え、食育実践優良法人顕彰制度の創設が検討されていることから、健康経営における食事改善の取り組みは今後さらに重要視されるでしょう。

食育セミナーや社食サービスの導入など、健康経営のためにできる食事改善の取り組みはさまざまです。自社に合った取り組みを選択して、より質の高い健康経営を目指しましょう。

これから健康経営を始める、または食事改善の取り組みを推進したいと考えている場合は、以下の健康経営スタートブックをご活用ください。健康経営のはじめ方や変遷、直近の傾向など、健康経営のスタートダッシュの参考になる内容を網羅的に掲載しています。

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