千の提言

【千の提言 #11】「サンキューポイント」がブライト500への架け橋に アロー独自の健康経営施策と未来への展望

2025.9.24

健康経営優良法人中小規模法人部門のトップである「ブライト500」の取得は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。株式会社アローは、社員のモチベーションを高め、健康経営を継続的に推進するためのユニークな施策と、「まずはやってみる」という実践的な姿勢でこの目標を達成しました。後編ではその具体的な取り組みと、未来への展望を探ります。

株式会社アロー

「『なりたい』『したい』を持つ全ての人のために」を理念に掲げ、多様な健康増進事業を展開する企業。従業員の多くが理学療法士という専門性を持ち、その特性を活かしてフィットネススタジオ運営、自費訪問リハビリテーション、企業向け健康増進サポート、高齢者施設リハビリ環境支援、福祉用具レンタル販売、介護タクシーなど、幅広いサービスを提供している。

健康経営優良法人 受賞・認定歴

2018年:東京都スポーツ推進企業
2019年:東京都スポーツ推進企業
2020年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー
2021年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定
2022年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定
2023年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定
2024年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定
2025年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定

阿藤 貴史(あとう・たかふみ)
代表取締役

理学療法士/健康経営エキスパートアドバイザー

「サンキューポイント」から広がる健康経営施策

──前編ではサンキューポイントについて基礎を教えてもらいましたが、実際にどのような施策に用いられているのでしょうか。

阿藤様:サンキューポイントは、多岐にわたる場面で活用されています。先ほどお伝えした禁煙施策や、生理休暇を含む男女の休暇支援施策として活用している以外にも、さまざまな場面で応用しやすい仕組みです。少し応用の話をさせていただくと、健康経営の基本である健康診断の受診や再検査の受診などは、勤務時間中に行ってもよい仕組みは各社備えていると思います。ただ、特に再検査などは健康な人にとっては関係ない話題でもあるので、損をしたような気持ちになる方もいるでしょう。そこで、再検査にいった方にはサンキューポイントのようにアマゾンギフト券を渡しています。これは本人が使用するのではなく仕事を肩代わりしてくれた仲間にプレゼントを購入したり、食事を奢ったりすることに使ってもらっています。

──不公平感をポジティブな気持ちに変えるという意味では、サンキューポイントと同じ仕組みですね。

阿藤様:重視しているのは従業員同士が横に繋がる仕組みを作ることです。大手法人にはできても中小規模法人ではできない施策もたくさんあると思います。そこを羨ましがるのではなく、サイズ感に合わせて取り組むことに注力しています。

この取り組みも、単純なインセンティブにするのではなく、どうせなら社内全体に利益のある使い道にしようと考えた結果です。各社とも従業員同士のコミュニケーション施策は別途実施していると思うのですが、そこをより広範に、効率的にすることで一石二鳥を狙っています。

──今までいろいろな企業を取材してきましたが、非常に先進的な取り組みかと思います。これらの施策は、全て阿藤さんが考えられているのですか?

阿藤様:社内に健康経営チームをビルディングしています。構成としては社内のバジェットを持っている年長組と、アイデアが豊富な若手スタッフが男女一人ずつ所属し、考えをまとめています。ここでの話し合いで手応えを感じているのは、大規模法人が行っている施策をいかに我々のような中小規模法人に落とし込んでいくかということを常に考えながら動けていることです。

私自身も健康経営に関する専門講座に1年間通い、人事担当者など他社の健康経営担当者との交流を通じて、多くの情報やノウハウを吸収しました。専門的な知識を深めることで、健康経営は単なる福利厚生ではなく、企業が持続的に成長するための重要な経営戦略であるという確信を得ました。そこで得た知識は、社員の健康を守るだけでなく、会社全体の生産性向上やリスク管理にも繋がると実感しています。

──チームで他社の取り組みを研究しながら施策を練っているわけですね。それは非常に強い構造ですね。

阿藤様:研究を深めるために産業衛生学会にお邪魔して、ポスター発表などを参考にしています。ここで取り上げられている施策をミックスしたり改良したりすることで、自分たちの試作開発につなげています。

また、情報収集と実践によるデータ収集をしているからこそ、自信を持ってサービスとして他社の担当者と会話できているのも良い効果の一つです。担当者の多くは予算を渡され、数年以内にブライト500、ホワイト500を取得するよう指示されていますが、これでは迷走します。その時に、「他社ではこういう取り組みをされています」と、コンサルティングのように取り組み事例を話すことで、一緒に取り組ませて頂く機会を作ることができています。

健康経営で地域の活性化も応援

──健康経営が自社のサービスにまでつながる好事例ですね。ここまで多くの事例に取り組まれてきたと思いますが、特に有効だった施策はありますか。

阿藤様:朝食の欠食対策はかなり面白い事例だと思います。一昨年は普通に朝食を摂ることを勧めるだけだったのですが、昨年からはスタンプラリー形式にしました。弊社は経堂と祖師谷大蔵に店舗があるのですが、周辺商店街を巻き込み、弊社のスタッフが利用した際にスタンプを押してもらうようにしています。単なる食事補助の施策ではなく、地域の商店街を盛り上げる施策にもつながっているのがミソです。

健康経営、地域活性化-1
健康経営、地域活性化 スタンプカード
朝食の欠食対策として使用しているスタンプカード

大手ですと社員食堂で対応できるとは思いますが、我々には難しい。そこで商店街の登録された店舗で食事をしたレシートを会社に提出すると、会社が半額補助する形にしました。スタンプ数でも商品がもらえるので、従業員はみんな率先して朝ご飯を食べるようになっています。

──まさに健康経営が目指す「地域への波及効果」までも、すでに実践されているわけですね。

阿藤様:もうひとつオススメの施策としては、睡眠施策があります。こちらもポイントを競う形でのゲーム形式を採用しているのですが、そのポイントが貯まる方法は、スマートフォンのスクリーンタイムのページをファイルにして送ることになっています。何時間眠れたかはこれではわかりませんが、睡眠の妨げにつながるスマートフォンの触り過ぎをこちらで確認することが可能になります。今回のルールでは、24時から5時までの間にスマートフォンを見ていなければポイントを付与しています。

健康経営、睡眠施策事例-1
健康経営、睡眠施策事例-2
睡眠施策で使用しているスクリーンタイムチャレンジのカード

ブライト500取得を導いた「まずはやってみる」精神と学びの追求

──それだけやっていたからこそ、ブライト500を取得されているわけですね。

阿藤様:アローが健康経営優良法人「ブライト500」という栄誉ある認定を取得できた背景には、「まずはやってみる」という実践的な姿勢と、徹底した学びの追求があったと思います。悩むよりも、行動から始めたからこそ得られた部分は大きいです。1年目には健康経営優良法人の調査票を入手し、自社の状況をチェックすることから始めています。今思うと、この最初の自己評価で大きな気づきを得られたのが良かったのかもしれません。

──それはどんな気づきだったのでしょうか。

阿藤様:フィットネス事業で培った運動に関する部分は高得点を得られたものの、労務的な側面、例えば長時間労働対策やメンタルヘルスケアの体制などは、まだ手つかずの状態であったことに気づかされたのです。今まで見てこなかった部分にまでしっかりとメスを入れないといけないんだなと気づかされました。この「足りない部分」の明確化が、健康経営に必要な要素を体系的に学び、整備していく大きなきっかけとなりました。

アローは、ブライト500の継続取得を目指しつつ、さらに健康経営の輪を広げていくことを目指しています。ブライト500を年々取得できたことは、私たちのプライドでもあります。この実績を活かし、健康経営の取り組みをさらに深化させていきたいです。

具体的には、大手企業だけでなく健康経営の入口で悩む企業の支援を強化する予定です。これまでは健康経営がすでに確立されている大規模企業からの依頼を受け、特定の課題に対するソリューションを提供してきました。これからは、健康経営という言葉は知っていても、「自分たちの規模では時間やお金をかけられない」と諦めている企業に対し、我々の経験を提供しようと考えています。

私として思い入れがあるのは、腰痛による離職が非常に多い介護業界です。高齢化社会において必要不可欠な存在でありながら、深刻な人員不足と、身体的な負担による離職が非常に多いのが現状です。こここそ、我々理学療法士の知見が生きる場でもあります。これらを通して、地域社会にまで健康経営の根を広げられたら、最高だと思っています。

──ありがとうございました。

千の提言

千の提言シリーズ

取り組む企業が16,000社を超えた健康経営。 そのお手本とも言える「ホワイト500」「ブライト500」企業は どんな失敗をし、何に悩み、どう成功パターンを発見したのか。 各企業の担当者に秘伝とも言える話を伺います。

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