千の提言

【千の提言 #10】「理学療法士として多くの人を健康に」 株式会社アローがブライト500を取り続ける理由

2025.9.24

2025年度の申請数が20,267件にまで達した、健康経営優良法人中小規模法人部門。そのうちトップ500である「ブライト500」は、健康経営のトップランナーである証です。今回ご紹介するのは、理学療法士の専門性を活かし、フィットネスジム運営から健康経営支援へと事業を拡大してきた株式会社アロー。彼らがどのようにして健康経営を知り、ブライト500取得という快挙を成し遂げ続けているのか、その道のりを紐解きます。

株式会社アロー

「『なりたい』『したい』を持つ全ての人のために」を理念に掲げ、多様な健康増進事業を展開する企業。従業員の多くが理学療法士という専門性を持ち、その特性を活かしてフィットネススタジオ運営、自費訪問リハビリテーション、企業向け健康増進サポート、高齢者施設リハビリ環境支援、福祉用具レンタル販売、介護タクシーなど、幅広いサービスを提供している。

健康経営優良法人 受賞・認定歴

2018年:東京都スポーツ推進企業
2019年:東京都スポーツ推進企業
2020年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー
2021年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定
2022年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定
2023年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定
2024年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定
2025年:東京都スポーツ推進企業、スポーツエールカンパニー、健康経営優良法人ブライト500認定

阿藤 貴史(あとう・たかふみ)
代表取締役

理学療法士/健康経営エキスパートアドバイザー

理学療法士として当たり前に受け入れられた「健康経営」という概念

──まず、フィットネスなどを中心に行われていたアローさんが健康経営に取り組むようになったきっかけは何だったのでしょうか?

阿藤様:そもそもアローという会社を作ったきっかけが、『理学療法士』として、世の中のもっと多くの人たちに我々の知識や技術を知ってもらい活かしてもらいたいという気持ちからでした。理学療法士は、病気や怪我で困っている方々の回復をサポートするのが主な仕事です。しかし、もっと手前の段階、つまり病気や怪我を未然に防ぐ『予防』の領域でも、私たちにできることはたくさんあるはずだと常々感じていました。その技術をより一般向けにも提供していこうと始めたのが、フィットネスジムの運営です。ただ、もっと多くの方に自分たちのサービスや知識を提供したい……そんな想いを抱いていました。

転機となったのは、あるハウスメーカーからの声掛けでした。営業担当者の肩こりや腰痛の改善、姿勢の重要性といったテーマで月1回のフィットネスセッションを実施したところ、これが好評を博したのです。活動の場は着実に広がり、単にフィットネスを提供するだけでなく、人事や産業保健師といった企業の担当者が抱える「取り組みの奥の部分にある目的」を共に考え、よりそこにフィットした施策を練る重要性を痛感するようになりました。

この情報収集の過程で出会ったのが健康経営でした。健康経営の概念に触れ、調べていくうちに、「自分たちも企業の担当者と同じ土俵に立ち、悩みを共有できる存在になるべきだ」と強く感じたことが、アローが自社で健康経営に取り組むことを決意した原点となります。

──ありがとうございます。阿藤さんのその共感力は素晴らしいですね。実際に社内に健康経営を実施すると伝えた際には、どんな反応があったのでしょうか?

阿藤様:もともと健康をお届けする理学療法士という職業であることもあって、他者を健康にすることについては、非常に意識していた部分はありました。ですが、自分の健康となると二の次に考えていた者も多かったと思います。そこで、「まず自分たちが健康で、イキイキとしていなければいけない。それが他者の健康にもつながる」という話をしたのですが、実感もあったのか、すんなりと受け入れてもらえて、すぐに合意を得ることができました。

また、我々の会社はまだ小さいですが、小さい会社だからこそ個々人の役割が非常に大事になります。だからこそ、投資として従業員の健康をサポートすることは最大のリスク管理にもつながると考えました。さらに、自社のサービスへの還流も行うことができるので、この流れに乗らないという選択肢はありませんでした。私を含めた経営層がこのスタンスで強いコミットメントを発揮した結果、従業員全体を健康経営へと自然に巻き込む原動力となったと思います。

──素晴らしいですね。では、反対などはほとんどなかったのでしょうか。

阿藤様:もちろん具体的な施策の内容によっては、意見の相違や、いわゆる「不公平感」が生じることもあります。例えば、禁煙支援策を打ち出した際に「元々タバコを吸わない従業員にメリットはないのか?」といった声が上がることもありました。しかし、会社全体として健康経営に取り組むという大方針については、従業員は現在も積極的に協力する姿勢を見せてくれています。最終的に全員が健康になることが、自分たち自身の働きやすさや会社の成長に繋がるということを深い部分で理解してくれたのだと思います。その信頼関係が健康経営を推進する上で何よりも大きかったです。

また、もうすでに健康であり続けている従業員に対しても、ベネフィットとまでは行きませんが、喜んでもらえる施策を考えていかなければいけないという気付きにも繋がりました。この考えが、具体的な施策には活きていると思います。

【千の提言】「理学療法士として多くの人を健康に」 株式会社アローがブライト500を取り続ける理由

「不公平感」を解消し、感謝を育む「サンキューポイント」

──健康な人にも喜んでもらうために、具体的にどのようなことをされていたのですか。

阿藤様:先ほどお話しした禁煙支援策であれば、禁煙に挑戦する従業員だけでなく、それをサポートする従業員との二人三脚での取り組みにしたのが良い例かもしれません。達成した場合にはサポートしてくれた人に対して『サンキューポイント』というものを付与しています。この制度は、特定の健康行動に取り組む社員だけでなく、その行動をサポートする社員にもポイントを付与する仕組みです。単に不公平感を解消するだけでなく、従業員同士で送り合うことで、社内のコミュニケーションを活性化させることも意図しています。

サンキューポイントは一定額貯めることで、豪華賞品に交換が可能です。この制度を導入した後は、もともと仲の良かった従業員同士だけでなく、さらに広い範囲で、互いを応援し合う前向きな文化が醸成されています。

──なるほど。健康になろうとしている方だけでなく、それを応援する人にも感謝を込めてポイントを付与するわけですね。

阿藤様:はい。このように違いを支え合うことで、誰もが『ハッピー』になれるwin-winの関係を築くことができると考えました。この仕組みの良いところは、ネガティブな感情を払拭し、お互いを思いやる文化も醸成してくれる点です。女性社員の生理休暇取得時や、男女問わず体調不良で休む社員が出た場合、その業務をサポートした社員にもポイントが付与されます。これにより、「誰かが休むと、他の人の負担が増える」「自分の工数が逼迫する」というネガティブに捉えられていた行為を、「休んでしまった人をどうサポートしたらいいだろうか」というポジティブな行為へと切り替えることができています。

──そのポイント分、優しさが増えていくわけですね。

阿藤様:そうです。サンキューポイントはユニバーサル・スタジオ・ジャパンのチケットに替えられたりするので、社員のモチベーション維持にもつながっているようです。大企業でこのような仕組みを行おうとすると、どうしても予算が膨らみがちですが、弊社くらいの大きさですとそこまで大きなものにはならずに済んでいます。これから健康経営に取り組もうという中小企業さんには良い事例になるのではないでしょうか。

健康の専門家から広がる新たな形の「健康経営」

理学療法士として「世の中のより多くの人たちに関わりたい」という強い願いから生まれた株式会社アローの健康経営は、どうしたら「不公平感」をなくせるのかという、多くの企業がつまずきやすいポイントを解決するところから始まっています。これは健康のプロフェッショナルだからこその視点かもしれません。

では、同社ではここからどのような施策に取り組んできたのか、より具体的な話は後編でご紹介します。

千の提言

千の提言シリーズ

取り組む企業が16,000社を超えた健康経営。 そのお手本とも言える「ホワイト500」「ブライト500」企業は どんな失敗をし、何に悩み、どう成功パターンを発見したのか。 各企業の担当者に秘伝とも言える話を伺います。

同じシリーズの記事

千の提言

【千の提言 #11】「サンキューポイント」がブライト500への架け橋に アロー独自の健康経営施策と未来への展望

GO100編集部 by GO100編集部
2025.9.24
千の提言

【千の提言#9】健康データの一元化で施策を効率化 二次検診の補助など細やかなケアで受診率をアップさせた成功施策(ライオン)

GO100編集部 by GO100編集部
2025.6.16
千の提言

【千の提言#8】「従業員は協同者」の精神で働き方改革を実践!ベンチャー感あふれる100年企業の挑戦(ライオン)

GO100編集部 by GO100編集部
2025.6.13
【千の提言#7】あえて「紙」を戦略的に活用!健康を浸透させるための普及活動(キヤノンマーケティングジャパン)
千の提言

【千の提言#7】あえて「紙」を戦略的に活用!健康を浸透させるための普及活動(キヤノンマーケティングジャパン)

GO100編集部 by GO100編集部
2024.11.22
【千の提言#6】安全衛生部と各部署が強力タッグ!要受診率100%達成の秘訣とは(キヤノンマーケティングジャパン)
千の提言

【千の提言#6】安全衛生部と各部署が強力タッグ!要受診率100%達成の秘訣とは(キヤノンマーケティングジャパン)

GO100編集部 by GO100編集部
2024.11.21

健康経営に関してまずはお気軽にご相談ください

お問い合わせする