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働き方改革におけるワークライフバランスとは? 現状や取り組み事例も紹介

2025.7.22
働き方改革におけるワークライフバランスとは

「働き方改革におけるワークライフバランスとは?」
「ワークライフバランスを実現させるための取り組みは?」

企業で働き方改革を実施するにあたって、上記のような疑問をもつ人事労務担当者の方もいるでしょう。

ワークライフバランスとは、仕事と生活の両方をバランスよく両立させることです。両方の質が高まれば、従業員のモチベーション向上や離職防止につながるため、企業はワークライフバランスを実現できる方法を把握しておくことが重要です。

本記事では日本におけるワークライフバランスの現状や実現させるための取り組み事例を解説します。

働き方改革におけるワークライフバランスとは

ワークライフバランスとは、仕事と生活を調和させながら、両方の質を高めていくことです。仕事と生活の両方を充実させて、人生を豊かにすることを目指します。

ワークライフバランスの実現には、以下の3つの柱が重要になります。

  • 仕事により経済的自立が可能なこと
  • 健康で豊かな生活のための時間が確保できること
  • 多様な働き方や生き方が選択できること

参考:「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章 」(厚生労働省)

3つの柱を整えることで子育てや介護などライフステージの変化に対応しやすくなり、働き続けやすい環境を築けます。

生活していくうえで仕事は欠かせないものであり、生きがいや充実感をもたらすこともあるでしょう。しかし、仕事だけに偏ると心身の疲労を招き、生産性の低下やメンタルヘルス(心の健康状態)不調につながる可能性があります(※)。

だからこそ、生活や家庭、個人の時間も大切にしながら、心身ともに健康で持続可能な働き方を実現することが求められます。

(※)「ワークライフバランス(職場環境の改善)」(厚生労働省)

ワークライフバランスの考え方は古い?

ワークライフバランスが重要視される一方で、ワークライフバランスの考え方は古いといわれることもあります。働き方が多様化し、仕事と生活を切り分けるだけでは対応しきれない側面が出てきたからです。

リモートワークの普及やフリーランスの増加により、自宅で仕事をする人が増え、仕事の合間に家事をするなど公私の境界が曖昧になりつつあります。

そのため、近年では仕事と生活を一緒のものとして捉える「ワークライフインテグレーション」や、人生のなかに仕事があるとする「ワークインライフ」などの考え方も注目されています。

これらの新しい概念は、働く場所や時間にとらわれない柔軟な働き方が広がる中で、自分らしい働き方や生き方を模索する人々のニーズにも応えるものといえるでしょう。

ワークライフバランスは決して古い考え方ではないものの、多様化する働き方に合わせて考え方をアップデートしていく必要があります。

働き方改革によりワークライフバランスの実現が求められる背景

働き方改革によりワークライフバランスの実現が求められる背景には、少子高齢化による労働者の不足が挙げられます。

日本では少子高齢化により生産年齢人口(15〜64歳)が年々減少しています。内閣府の資料によると、2023年の生産年齢人口は7,395万人でした。2050年には5,540万人になると見込まれています。

高齢化の推移と将来推計
出典:「第1章 高齢化の状況(第1節及び第2節)」(内閣府)

生産年齢人口の減少により労働力が不足する可能性があるため、企業は人手不足に陥らないよう働きやすい環境づくりを進める必要があるでしょう。働きやすい職場環境になれば、有能な人材の確保・育成・定着の可能性を高められます。

また、共働きの増加や親の介護により働き方に悩む労働者も増えています(※)。少子高齢化が進む中で労働者を確保するには、仕事と生活が両立できる環境が必要です。

そのため、多様な働き方が選択できるワークライフバランスの実現が求められています。

(※)「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(内閣府)

日本におけるワークライフバランスの現状

日本におけるワークライフバランスの現状は、少しずつ良い方向へ進んではいるものの、依然として課題を抱えています。

厚生労働省の資料によると、労働者の年間総実労働時間は減少傾向にあり、2024年において平均1643時間でした(※1)。月間の残業時間は平均10.0時間で、2022年よりも2.0ポイント減少しています(※2)。

また、2023年の年次有給休暇取得率は62.1%でした。2022年よりも3.8ポイント上昇しており、1984年以降過去最高の数値になりましたが、政府目標の70%には届いていません。

残業時間は減っているものの、海外と比較すると長時間労働をしている労働者が多い傾向にあるのは事実です。OECD(経済協力開発機構)のデータによれば、日本において長時間労働をする労働者の割合は15.7%と、OECD平均の10%を上回っている状態です(※3)。

これらのデータから、生活を充実させるための時間は増えているものの、企業によっては仕事を休みづらい雰囲気が依然として残っているのではないかと考えられます。

ワークライフバランスを実現させるには、企業が職場環境を改善し、従業員の意識を変えていく必要があるでしょう。

(※1)「労働時間の現状」(厚生労働省)
(※2)「毎月勤労統計調査 令和5年度分結果確報」(厚生労働省)
(※3)「Work-Life Balance」(OECD)

働き方改革でワークライフバランスを推進するメリット

働き方改革でワークライフバランスを推進するメリットとして、以下の4つが挙げられます。

  • 従業員のモチベーションが向上する
  • 従業員の離職防止につながる
  • 多様な人材を確保しやすくなる
  • 企業のイメージアップにつながる

それぞれのメリットについて解説します。

従業員のモチベーションが向上する

ワークライフバランスを推進すると、従業員のモチベーション向上につながります。仕事以外のプライベートな時間が充実することで、従業員が心と体をリフレッシュできるためです。

趣味や家族と過ごす時間が増えれば、仕事のストレスが和らぎ、前向きな気持ちで仕事に向き合えるでしょう。従業員が仕事に集中して取り組めると、組織全体のパフォーマンス向上も期待できます。

従業員の離職防止につながる

ワークライフバランスが整った職場環境は、従業員の離職を防止できる場合があります。従業員が働きやすい職場環境に魅力を感じ、長く働き続けたいと考えるようになるからです。

過度な労働による心身の負担が軽減されるため、メンタルヘルス不調による離職のリスクも抑えられるでしょう。

また、企業が柔軟な働き方を提供できれば、出産や育児、介護などライフステージの変化に直面した従業員が働き続けやすくなります。人材の流出を防止することで、採用コストの削減や企業の持続的な成長につながります。

多様な人材を確保しやすくなる

多様な人材を確保しやすくなるのもワークライフバランスを推進するメリットです。育児や介護をしながら働きたい方や、趣味の時間を大切にしたいと考えている方など、さまざまな事情や価値観をもつ人材が働きやすい職場環境になります。

結果として、高い専門性やスキルをもつ人材を採用できる可能性が高まります。

また、多様な人材が集まることで、組織内に新しいアイデアや視点が生まれやすくなるでしょう。

企業のイメージアップにつながる

ワークライフバランスの実現に積極的に取り組むことで、企業の社会的なイメージアップにつながります。従業員を大切にする企業は、就職を考える求職者だけでなく、顧客や取引先の企業、投資家などの関係者から信頼されるからです。

ワークライフバランスは国が推進する健康経営にも関わります。健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考えて、従業員の健康保持に向けた取り組みを実施することです。

経済産業省が創設した健康経営優良法人認定制度の評価項目には、ワークライフバランスの推進があります(※)。健康経営優良法人の認定を得られれば企業の価値を高められるため、ワークライフバランスの推進とともに取得を目指すとよいでしょう。

(※)「健康経営優良法人認定制度」(経済産業省)

ワークライフバランスを充実させるために企業がすべき取り組み

従業員のワークライフバランスを充実させるためには、以下のような取り組みを行いましょう。

  • 休暇を取得しやすくする
  • 多様な勤務制度を導入する
  • 残業時間を削減する
  • 福利厚生を充実させる

それぞれの内容を解説します。

休暇を取得しやすくする

企業が従業員のワークライフバランスを充実させるためには、休暇を取得しやすい環境を整えることが重要です。

休暇制度を充実させても、職場の雰囲気や業務量によって休みを取りづらい状況では制度は使われません。

年休取得計画表の提出で計画的な取得を促したり、部署ごとの業務量を調整したりして、従業員が気兼ねなく休める雰囲気をつくりましょう。

多様な勤務制度を導入する

従業員の多様なライフスタイルや価値観に対応できるように、柔軟な勤務制度を導入することも必要です。従業員のニーズに合わせて、以下のような勤務制度の導入を検討しましょう。

  • フレックスタイム制度
  • テレワーク制度
  • 短時間勤務制度

多様な選択肢を提供することで、従業員が育児や介護などを行いながら働き続けられます

残業時間を削減する

残業時間を削減することも企業がすべき取り組みです。長時間労働は私生活の時間を奪うだけでなく、従業員の心身の健康を損なうリスクもあります。

厚生労働省の資料では、時間外・休日労働時間が増えるほど健康障害のリスクが高くなると示されています(※)。

各部署の業務量に偏りがないか、業務に無駄な作業や手順がないかをチェックして従業員一人ひとりの残業時間を削減しましょう。

また、残業削減の明確な目標を設定し、その達成度合いを人事評価に反映させることで、従業員に残業時間の削減を促せます。

長時間労働対策については以下の資料で詳しく解説しています。無料でダウンロードできるため、ぜひご活用ください

(※)「過重労働による健康障害を防ぐために」(厚生労働省)

福利厚生を充実させる

企業の福利厚生を充実させることも従業員のワークライフバランスの実現につながります。さまざまなサービスや補助を提供できれば、従業員の満足度が高められるからです。

たとえば、以下のような福利厚生制度の導入を検討するとよいでしょう。

  • レジャー施設やスポーツジムの利用料補助
  • ベビーシッター利用補助
  • 自己啓発のための費用補助
  • 住宅手当

仕事に関わる補助だけでなく、従業員の休日を充実させられる補助も導入することが大切です。従業員の意見を聞きながら、制度の充実を図りましょう。

ワークライフバランスにより働き方改革を推進した企業の事例

ワークライフバランスにより働き方改革を推進した企業の事例を2つ紹介します。

第一生命保険株式会社

保険商品を取り扱う第一生命保険株式会社からは、社員の就業環境整備を目的に、両立支援制度の充実と柔軟な働き方の推進に取り組んだ事例が報告されています。

とくに、男性社員の育児参画推進に取り組んでおり、2022年には「男性社員の累計1ヶ月以上の育児休業取得100%」を会社目標として掲げています。具体的な施策は以下のとおりです。

  • 男性育児に参加する意義や必要性を伝える「プレパパセミナー」の実施
  • 育休取得計画書の提出をルール化
  • 最大20日間の有給休暇を付与
  • 育児休業取得に関する教材や上司、部下の対話ツールの提供

これらの取り組みを進めたことで、2022年度と2023年度で育児休業取得率100%を記録。また、2023年度の育児休業取得日数は23.1日と、2021年と比べて2倍になったと報告されています(※)。

(※)「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」(第一生命保険株式会社)

伊藤忠商事株式会社

大手総合商社の伊藤忠商事株式会社は、2010年度より働き方改革を積極的に推進している企業です。社員の生産性向上を目的として、以下のような制度を導入したとのことです。

  • 朝型勤務制度
  • 朝型フレックスタイム制度
  • 在宅勤務制度

20:00〜22:00の勤務は原則禁止に、22:00~5:00の深夜勤務は禁止にしています。5:00〜8:00の勤務開始を推奨して、「夜は早く帰り、朝早く出社して効率的に働く」を社員に意識づけるのが狙いです。

夜の空いた時間を自己啓発や育児などに活用してもらうことで、社員のモチベーション向上にもつなげているのが特徴です。

これらの取り組みにより、2023年度の労働生産性は2010年度と比較して5.2倍になったと報告されています(※)。

(※)「雇用・福利厚生」(伊藤忠商事株式会社)

ワークライフバランスを実現させて従業員が働きやすい職場にしよう

働き方改革で重要視されるワークライフバランスとは、仕事と生活を調和させて双方の質を高めることです。少子高齢化が進み人材不足が懸念される現代において、重要な取り組みといえます。

ワークライフバランスを推進することで、従業員の離職防止や企業イメージの向上などのメリットが期待できます。休暇を取得しやすい環境の整備や多様な勤務制度の導入など、従業員のワークライフバランスを充実させる取り組みを進めましょう。

従業員のワークライフバランスをサポートするには、健康状態を適切に管理することも重要です。心身の健康が保たれていなければ、仕事と生活を両立させるのが困難になります。

従業員の健康状態を効率的に管理するならば、健康管理システムを導入するのも選択肢の一つです。ハピネスパートナーズなら、全従業員の健康データをクラウド上で一元管理できます。従業員の個人カルテを作成して健康状態の可視化ができるため、ぜひご活用ください。

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