健康経営の推進につながる運動習慣化の取り組みは?メリットや企業の事例を紹介

「健康経営の観点で運動を習慣化させるには、何を実施すればいい?」
「従業員の運動不足が解消されることで、自社にどのような恩恵があるの?」
企業で健康経営に取り組むにあたって、上記のような疑問をもつ人事労務担当者の方もいるでしょう。
従業員に運動習慣を定着させるには、運動会やラジオ体操など、日常的に運動する機会を提供する必要があります。
従業員の運動不足を解消できれば、健康維持やパフォーマンス向上につながるため、企業は効果的な取り組みを把握しておくことが重要です。
本記事では、健康経営の推進につながる運動習慣化の取り組みや、企業の事例を解説します。
健康経営の推進につながる運動習慣化の取り組み

健康経営の推進につながる運動習慣化の取り組みとして、以下が挙げられます。
- 運動会やスポーツ大会を実施する
- ウォーキングイベントを開催する
- 朝礼の時間にラジオ体操やストレッチを行う
- 運動に関するセミナーを実施する
- 運動を支援する福利厚生制度を導入する
それぞれの取り組みについて解説します。
運動会やスポーツ大会を実施する
社内で運動会やスポーツ大会を実施すると、従業員に運動する機会を提供できます。チームで優勝を競う形式にすれば体を動かすだけでなく、従業員同士のコミュニケーションの活性化にもつながります。
誰でも気軽に参加できるように、借り物競争やクイズを取り入れた競技など、運動が苦手な従業員でも楽しめる種目を取り入れるとよいでしょう。
たとえば年1回の社内行事として定期的に開催すれば、従業員の運動へのモチベーション維持にも効果的です。会社の敷地内や公園などを会場にすると、中小企業でも比較的実施しやすくなります。
ウォーキングイベントを開催する
ウォーキングイベントを開催するのも、従業員に運動を習慣化させる取り組みの一つです。ウォーキングは特別な道具やスキルが必要なく、誰でも気軽に始められる運動です。中小企業や低予算で健康経営を進めたい企業も取り入れやすいでしょう。
具体的な実施方法としては、万歩計アプリを導入して社内で歩数を競うイベントを開催することが挙げられます。予算があればウェアラブルデバイス(スマートウォッチのような体に装着して利用するICT端末)を配布することで、歩数だけでなく心拍数や運動強度の計測も可能です。
一定の目標歩数を達成したチームや個人に景品を用意すると、従業員が意欲をもってウォーキングに取り組めるでしょう。歩く時間を増やす意識が高まり、運動の習慣化につながります。
朝礼の時間にラジオ体操やストレッチを行う
業務開始前に数分間、全員でラジオ体操や座ったままできる簡単なストレッチを取り入れることでも、従業員に運動する機会を提供できます。短時間で手軽に実践できるため、多くの企業で取り入れやすい方法です。
決まった時間に毎日行えば、運動の習慣化につながります。一日の始まりに体を動かすことで血行が促進され、集中力が向上する効果も期待できます。
運動に関するセミナーを実施する
従業員に運動する意識をつけるには、実践の機会を提供するだけでなく、運動に関するセミナーを実施することも大切です。
運動を習慣化することの重要性や効果的な運動不足解消法などの情報を提供して、従業員が自主的に運動に取り組む意欲を高めましょう。
従業員の健康状態や運動能力に合わせた適切な運動方法を学べれば、無理なく運動を継続でき、過度な運動による怪我のリスクを抑えられます。
運動を支援する福利厚生制度を導入する
運動習慣の定着を支援する福利厚生を充実させることも、従業員の運動促進につながります。具体的には、以下のような福利厚生の導入が挙げられます。
- フィットネスジムや運動施設の利用補助
- スポーツ用品購入費の補助
企業が費用面を負担することで、従業員が気軽に運動を始められます。福利厚生の充実は、従業員の健康意識を高めるだけでなく、企業へのエンゲージメント向上にもつながります。
なお、健康経営の進め方や施策事例など、網羅的に健康経営の情報を知りたい方はこちらの記事も併せて参考にしてみてください。
従業員の運動不足を解消する健康経営上のメリット

従業員の運動不足を解消する健康経営上のメリットは、以下のとおりです。
- 従業員の健康保持につながる
- 従業員のパフォーマンス向上が期待できる
- 社内のコミュニケーションが活発になる
- 企業の信頼性が高まる
それぞれの内容を詳しく解説します。
従業員の健康保持につながる
従業員の運動不足を解消することで、従業員の健康保持につながります。定期的な運動は、生活習慣病のリスクを抑え、メンタルヘルス(心の健康状態)を改善する効果があるからです(※)。
1日に数回、10分程度歩くだけでも生活習慣病の予防につながります。従業員が病気になりにくくなれば、病欠や健康状態の悪化による休職を防げるため、社内の業務を安定して進めやすくなります。
(※)「身体活動・運動」(厚生労働省)
従業員のパフォーマンス向上が期待できる
運動不足の解消は、従業員のパフォーマンス向上にもつながります。運動により心身の健康状態を維持できれば、仕事に集中して取り組めるからです。
北海道教育大学、神戸大学、中京大学の共同研究によれば、記憶学習をする前に20分間の運動を1回行うだけで長期記憶を向上し、その効果が少なくとも8週間は続くことが示されています(※)。
脳機能の向上により、従業員が効率的に業務を進められれば、組織全体の生産性も向上するでしょう。
(※)「20分間の運動で記憶力アップ!8週間後も効果が続く!」(神戸大学)
社内のコミュニケーションが活発になる
運動不足解消の取り組みにより、社内のコミュニケーションの活性化が図れます。チーム対抗のウォーキングイベントやスポーツ大会などを企画することで、部署や役職を超えた交流の機会が生まれます。
共通の目標に向かって体を動かす中で、話す機会の少ない従業員同士のつながりも深まるでしょう。運動を通じて一体感が生まれれば、チームワークの強化につながり、業務における連携もスムーズになります。
また、コミュニケーションが活発な明るい職場では、従業員が働きやすくなるでしょう。
企業の信頼性が高まる
健康経営を通じて従業員の運動不足解消に取り組むことは、企業の信頼性向上にも貢献します。従業員の健康を大切にする企業は、社会的に評価される傾向にあるからです。求職者へのアピールにもなるため、優秀な人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
また、運動機会の増進に向けた取り組みは、経済産業省が創設した健康経営優良法人の認定要件に含まれます。健康経営優良法人を取得できれば企業価値の向上だけでなく、自治体や金融機関からの各種インセンティブの対象にもなります。
健康経営の観点で運動習慣を定着させるための工夫
従業員に運動習慣を定着させるためには、以下のような工夫をするとよいでしょう。
- 定期的にイベントを開催する
- 表彰状や報酬を提供する
- 社内報で紹介する
- アプリなどのデジタルツールで支援する
運動会やウォーキングイベントなどは定期的に開催することが重要です。単発では運動の習慣化までにはつながりにくいからです。
また、表彰状や報酬を用意したり、イベントの成績優秀者を社内報で紹介したりすると従業員の運動に対するモチベーションが高まります。
アプリなどのデジタルツールの活用も運動習慣の定着に効果的です。運動量を可視化できるため、数値をみて従業員が日々の成果を実感し、継続への意欲を高められるでしょう。
健康経営のために運動を促進している企業のユニークな取り組み事例

健康経営のために運動を促進している企業のユニークな取り組み事例を紹介します。
- 「カラダ改善コンテスト」で運動の成果をポイント化(三菱地所株式会社)
- 「マイ健康宣言」で自発的な運動を促進(有限会社宮地商店)
- 他社や地域住民と一緒にオンラインで運動会を開催(株式会社アロー)
「カラダ改善コンテスト」で運動の成果をポイント化(三菱地所株式会社)
総合不動産会社の三菱地所株式会社は、運動の習慣づけを促すために社内イベント「カラダ改善コンテスト」を開催しています。従業員に社内で5人のチームを作ってもらい、以下3つの数値をポイント化して成果を競います。
- 増加した筋肉量
- 減少した脂肪量
- 歩数
イベントには従業員の5人に一人が参加しており、参加者の半数以上が数値を改善したと報告されています(※)。
歩数の順位はリアルタイムで確認できるため、参加者同士のコミュニケーション活性化にもつながっているようです。
(※)「健康経営先進企業事例集2025」(健康長寿産業連合会)
「マイ健康宣言」で自発的な運動を促進(有限会社宮地商店)
保険代理店を経営している有限会社宮地商店は、従業員の自発的な運動を促すために「マイ健康宣言」を実施しています。
従業員が体重減少や筋力向上など健康に関する具体的な目標を自分で決め、取り組むにあたって必要な福利厚生を申告します。健康に関する取り組みであれば、スポーツジムに限らず費用補助を受けられます。
以前はスポーツジムの会員制度だけを提供していたため、活用する人が限られていましたが、2024年度ではすべての従業員が活用していると報告されています(※)。
(※)「健康経営優良法人2024 中小規模法人部門」(経済産業省)
他社や地域住民と一緒にオンラインで運動会を開催(株式会社アロー)
介護やフィットネスを事業とする株式会社アローは、年に1〜2回のペースでオンライン運動会を開催しています。
従業員だけでなく他社や地域住民も一緒に楽しみながら、ロコモ度テスト(移動機能を確認するためのテスト)や片脚立ちなどの体力テストを行っています。
イベント後には社内アンケートにて、「なんでも相談できる・信頼できる上司がいる」と回答した従業員の割合が60%から80%まで向上したと報告されています(※)。
(※)「健康経営優良法人2023 中小規模法人部門」(経済産業省)
健康経営における運動施策を成功させるためのポイント
運動施策を成功させるためには、取り組みの効果を可視化することが重要です。以下のような取り組みも合わせて行い、運動施策の実施だけで終わらないようにしましょう。
- 参加率や施策後の生産性の変化を数値化する
- 従業員にアンケートを取って現場の反応を把握する
参加率や運動に対する意識を数値化して、数値が向上しているか確認すると施策の効果が分析できます。
また、従業員にアンケートを取って、施策により日々の運動量が増えたか、運動することに前向きになったかなどを確認します。
これらの結果から効果を検証して、改善案を次の施策に取り入れましょう。
健康経営の観点で運動を取り入れて従業員の健康を守ろう

健康経営の観点で社内に運動を取り入れることで、従業員の健康保持やパフォーマンス向上につながります。従業員に運動を習慣化させるためには、運動会を実施したりウォーキングイベントを開催したりと、従業員が楽しみながら運動できる取り組みを行うことが大切です。
自社に合った取り組みを実施して、従業員の健康を守りましょう。
健康経営を実現するには、運動以外にもさまざまな取り組みを行う必要があります。これから健康経営を始める場合は、以下の資料を参考にしてください。
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