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特定保健指導とは? 内容や対象者の基準、従業員が受けないとどうなるかを解説

公開日: 2025.10.3
更新日: 2026.2.19
特定保健指導とは? 内容や対象者の基準、従業員が受けないとどうなるかを解説

「特定保健指導とは?」

「特定保健指導を従業員が受けないとどうなる?」

従業員の健康管理に取り組むにあたって、上記のような疑問をもつ人事労務担当者の方もいるでしょう。

特定保健指導とは、メタボリックシンドロームなど生活習慣病のリスクが高い方に対し、専門家が生活習慣の改善をサポートする制度です。従業員の健康を維持することにつながるため、健康経営を推進するうえでも重要な取り組みといえます。

本記事では、特定保健指導の内容や対象者の基準、従業員が受けないとどうなるかを解説を解説します。

特定保健指導とは? 簡単に解説

特定保健指導とは、生活習慣病を予防するために2008年から開始された保健制度です。特定健診(特定健康診査)の結果から生活習慣病のリスクがあると判断された40歳〜74歳の方を対象に、保健師や管理栄養士などの専門家が生活習慣の改善をサポートします。

特定健診(特定健康診査)とセットで実施されており、この健診では生活習慣病のリスクを把握するために以下のような検査を行います。

  • 質問票による服薬歴や禁煙歴などの確認
  • 身長、体重、BMI、腹囲の計測
  • 身体診察
  • 血圧測定
  • 脂質検査
  • 血糖検査
  • 肝機能検査
  • 検尿

参考:「特定健康診査の検査項目」(厚生労働省)

検査や問診の結果から、主に生活習慣病の前段階であるメタボリックシンドロームに該当する方が特定保健指導の対象者として選定されます。

特定保健指導の対象者になる基準

特定保健指導の対象になる基準として、以下の5つの項目が挙げられます。

項目基準
腹囲1.男性85cm以上、女性90cm以上(内臓脂肪型肥満A)
2.腹囲が上記以外でBMI25以上(内臓脂肪型肥満B)
血糖空腹時血糖値100mg/dl以上またはHbA1c(NGSP値)5.6%以上
脂質空腹時中性脂肪150mg/dl(随時中性脂肪175mg/dl)以上またはHDLコレステロール40mg/dl未満
血圧収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上
喫煙歴最近1ヶ月間たばこを吸っていて、以下のどちらかに該当する
・合計100本以上吸っている
・6ヶ月以上吸っている

参考:「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」(厚生労働省)

腹囲とBMIが基準を満たさなければ、他の基準に該当しても特定保健指導の対象外です。内臓脂肪型肥満AまたはBに該当し、血糖・脂質・血圧の中で1つでも基準を満たすと特定保健指導の対象者になります。

ただし、糖尿病や高血圧症、脂質異常症を治療するための薬剤を服用している場合は、基準を満たしても特定保健指導の対象になりません。

特定保健指導の内容

特定保健指導の内容は、健診結果によって以下のように決まります。

特定保健指導の内容
出典:「特定健康診査(特定健診)・特定保健指導について」(公益社団法人 国民健康保険中央会)

それぞれの内容を詳しく解説します。

情報提供

情報提供とは、診断の結果や生活習慣病予防に関する基本的な知識を伝えることです生活習慣病のリスクの高さに関係なく、特別健診の受診者全員に実施されます。

一人ひとりの診断結果に合わせた情報を提供して、受診者に継続的な健診受診や生活習慣改善の重要性を認識してもらうことが目的です。特定保健指導の対象にならなかった場合は、情報提供のみが実施されます。

動機付け支援

動機付け支援とは、対象者が自身の生活習慣を改善するための目標設定と達成に向けたきっかけ作りを、保健師や管理栄養士がサポートすることです。支援は以下の流れで実施されます。

  1. 初回面接を個別またはグループで行い、行動目標と行動計画を作成する
  2. 初回面接から3ヶ月以上経過した後に対面や電話などで目標の達成状況を確認する
  3. 実績を評価し、評価結果を対象者に通知する

参考:「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」(厚生労働省)

初回面接は個別支援であれば20分以上、グループの場合は80分以上を目安として行います。実績評価後、独自のフォローアップを行う場合もあります。

専門家との対話を通じて対象者が健康習慣改善の必要性を自覚し、行動するモチベーションを高めることが動機付け支援の役割です。

積極的支援

積極的支援とは生活習慣病のリスクが高いと判断された方に対し、専門家が長期間にわたって継続的にサポートを行うことです。支援は以下の流れで実施されます。

  1. 初回面接を個別またはグループで行い、行動目標と行動計画を作成する
  2. 対象者が行動を継続できるように3ヶ月以上にわたって継続的なサポートを行う
  3. 初回面接から3ヶ月以上経過した後に実績を評価し、評価結果を対象者に通知する

参考:「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」(厚生労働省)

積極的支援は目標達成や支援内容に以下のようなポイントが設定されており、合計180ポイント以上の支援を実施する必要があります。

継続的な支援のポイント構成
出典:「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き」(厚生労働省)

複数回にわたる面談や電話、メールなどを通じた専門家からの定期的なアドバイスにより、健康的な生活習慣をしっかりと定着させます。

特定保健指導 第4期の変更点

2024年度から始まった第4期の特定保健指導では、以下の点が変更されました。

変更点内容
評価体系・新たにアウトカム評価を導入し、プロセス評価との合計が180p以上で特定保健指導を終了とする
・腹囲2.0cm以上かつ体重2.0kg以上減少を達成した場合、保健指導の支援回数に関わらず特定保健指導を終了とする
・プロセス評価のポイント設定を支援時間から支援回数に変更する
初回面接・初回面接でICTを活用した場合の評価を対面と同水準に変更する
・特定健診当日から1週間以内であれば初回面接の分割実施として取り扱えるよう条件を緩和する
経過措置・看護師が特定保健指導を行える暫定期間を2029年度まで延長する

参考:「第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて」(厚生労働省)

アウトカム評価を導入することで、特定保健指導による実績の見える化を推進しています。これにより、従業員の生活習慣改善の進捗が明確になり、企業における健康経営や保険者による評価にも活用されることが期待されます。

従業員が特定保健指導を受けないとどうなる?

特定保健指導を従業員が受けることを拒否しても、企業に法的な罰則はありません。健康診断とは異なり、特定健診と特定保健指導の実施義務は保険者にあります(※1)。

ただし、従業員が生活習慣病にかかるリスクを高める可能性があるため、指導を受けない従業員を放置することは好ましくありません。

肥満や高血圧などの危険因子を2個抱えていると虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)を発症するリスクが約6倍、3〜4個抱えていると約36倍になるとの研究結果も報告されています(※2)。

また、特定保健指導の実施率が低いと、企業の健康経営への取り組みが不十分だと評価される可能性があるため注意が必要です。

経済産業省が実施している健康経営度調査では、特定保健指導の実施率向上についての項目が設けられています。特定健康指導の実施率は、企業が従業員の健康を守る責務を果たすうえでの重要な指標の一つです。

そのため、企業には従業員に特定保健指導を受けてもらえるよう働きかける姿勢が求められます。

(※1)「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」(デジタル庁)
(※2)「メタボリックシンドロームについて知ろう!」(東京金属事業健康保険組合)
(※3)「参考資料: 令和6年度健康経営度調査票(素案)」(経済産業省)

特定保健指導に対して「しつこい」などのクレームを受けた際の対応方法

特定保健指導に対して従業員から「しつこい」などのクレームを受けた際は、対応を後回しにせず、理由を丁寧にヒアリングして不満を解消しましょう。クレームを軽視すると従業員の会社に対する不信感を高め、健康経営の評価にも悪影響を及ぼす可能性があるからです。

たとえば、以下のような対応を検討するとよいでしょう。

  • 従業員の希望に合わせて連絡頻度を調整する
  • 電話連絡の代わりにメールやチャットを使用する
  • 初回に連絡方法や回数の目安を共有する
  • 連絡の必要性や目的をあらかじめ説明する
  • 希望があれば担当者を変更する
  • 業務に支障が出ない時間帯を優先する

クレームに対して丁寧に対応することで、従業員が特定保健指導の受診に協力的になるでしょう。

特定保健指導において企業がすべき対応

特定保健指導を円滑に実施するには、企業が従業員に特定保健指導を受けるよう伝えるだけでなく、受診しやすい環境を整えることも重要です。特定保健指導の実施率を向上させるためにも、以下のような取り組みを検討するとよいでしょう。

  • 制度の目的と重要性を従業員に周知する
  • 業務時間内に指導を受けられるようにする
  • 事業所にオンラインで指導を受けられる環境を整える

従業員の負担を軽減することで、特定保健指導の受診を促しやすくなります。

特定保健指導の受診を促して従業員の健康を保持しよう

特定保健指導は従業員の生活習慣を改善し、将来的な病気のリスクを減らすための重要な制度です。対象者は特定健診の結果から選定され、専門家が一人ひとりに合わせた指導を行います。

従業員が指導を受けなくても企業に罰則はありませんが、放置すれば健康リスクが高まるだけでなく、企業の生産性低下にもつながる可能性があります。

そのため、企業は制度の重要性を周知する、業務時間内での受診を可能にするなど従業員が指導を受けやすい環境を整えることが大切です。特定保健指導への協力は健康経営においても推奨されているため、積極的に取り組んで従業員の健康を保持しましょう。

エムスリー株式会社は、企業の健康経営をサポートするサービスを提供しています。健康経営に関する悩みを抱えている場合は、ぜひお問い合わせください。

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