心理的安全性の測り方は?7つの質問や具体的な高め方を解説

会社経営や人事業務を進める上で常に追い求めることになるのが生産性。そしてその生産性を高める上で重要なもののひとつとして心理的安全性というワードを耳にする機会も増えているのではないでしょうか。今注目されているこの心理的安全性は、測り方や高め方といったより良くするための具体的な手段が分かりづらいものでもあります。この記事では、心理的安全性の測り方や傾向から、どのようなアクションを起こせばよいかを解説します。
心理的安全性とは?

まず始めに心理的安全性について説明していきます。
心理的安全性とは、チームやグループのメンバーが自分の意見や考えを自由に表現でき、失敗や間違いを恐れずに行動できる状態のことで、メンバーが互いに尊重し、批判や非難を受けることなくリスクを取れる状態を指します。心理的安全性が高いチームでは、創造性や問題解決能力が向上し、生産性が上がる傾向があると言われています。
なぜ、心理的安全性が高いと職場や会社にとって良いのか
そもそも心理的安全性が注目され始めたのは、Google社の「心理的安全性が高い組織は生産性が高い」という研究結果の発表がきっかけです。では、なぜ心理的安全性が高いと職場や会社にメリットがあるのでしょうか。
心理的安全性が高い職場は、従業員が自由に意見を交換し、失敗を恐れずに挑戦できるため、創造性やイノベーションが促進されます。また、問題や課題を早期に共有し解決できるため、効率的に業務を進めることができます。結果として、チームの生産性が向上し、社員のエンゲージメントや満足度も高まります。
このような背景から、離職率の低下や業績向上につながるという研究結果も出ており、人材確保の観点からも心理的安全性を高める取り組みを行う会社が増えています。
心理的安全性の測り方で用いられる7つの質問
心理的安全性を高めることは重要ですが、まずは現状を把握することが重要です。測り方は、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した7つの質問が定義として活用されており、それに対して7段階評価でアンケート調査を実施します。
まずは7つの質問を紹介します。
1.このチームでミスをすると責められることが多いと感じる。
Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams
(If you make a mistake on this team, it is often held against you.)
2.このチームでは、問題や難しい課題を気軽に提起できる雰囲気がある。
(Members of this team are able to bring up problems and tough issues.)
3.このチームでは、他の人が自分と違うという理由で拒絶されることがある。
(People on this team sometimes reject others for being different.)
4.このチームでは、リスクを取ることが安全だと感じる。
(It is safe to take a risk on this team.)
5.このチームでは、他のメンバーに助けを求めるのは難しいと感じることがある。
(It is difficult to ask other members of this team for help.)
6.このチームの中で、意図的に私の努力を妨げようとする人は誰もいない。
(No one on this team would deliberately act in a way that undermines my efforts.)
7.このチームでは、自分のユニークなスキルや才能がきちんと評価され、活かされていると感じる。
(Working with members of this team, my unique skills and talents are valued and utilized.)
A Edmondson 1999
上記のような質問となっており、肯定的な質問と否定的な質問が混ざったものになります。
心理的安全性の測り方で用いられる評価方法
次は、その回答をもとにした測り方です。エイミー・エドモンドソン教授は、質問に対して7段階評価で調査を行いました。具体的には1が「まったくその通りだ」で、7が「まったくその通りではない」とし、自身の感覚に近い数字を選んでいく手順です。
この方法で測ると……
■心理的安全性が高い組織の回答
- 肯定的な質問(2・4・6・7)は評価が低くなる
- 否定的な質問(1・3・5)は評価が高くなる
■心理的安全性が低い組織の回答
- 肯定的な質問(2・4・6・7)は評価が高くなる
- 否定的な質問(1・3・5)は評価が低くなる
となることが分かります。
心理的安全性の測り方はこのように地道に調べるものが一般的で、5段階評価で調査する場合もあります。また、正確性を高めるために匿名の調査を推奨している企業もあります。
アンケート調査以外で心理的安全性の傾向を見る方法
アンケート調査ができない場合は、チーム状態から心理的安全性の傾向を確認することもできます。
特に、心理的安全性が低いチームでは、下記のような傾向が見られます。
- 会議中や面談中でメンバーからの質問や発言が少ない
- メンバーのミスや過ちがあった場合、隠したり認めることに抵抗感があったりする
- チーム内で助けを求めることがない
- チーム内で相互のフィードバックや報連相などのコミュニケーションが少ない
- チーム内で新しい取り組みや挑戦に消極的で変化を好まれない
- チーム内で意見の相違に対する発言や異なった観点の意見が出づらい
- チーム内で仕事以外のコミュニケーションが少なく相互理解ができていない
このようなチーム状態の場合は、心理的安全性が低く、意見や発言を自由にできない環境になっている可能性が高いといえるでしょう。
心理的安全性に関係する4つの不安
ではなぜ、上記のような「心理的安全性が低い環境になっている」ということが言えるのでしょうか。それは心理的安全性を低下させる4つの不安が影響しています。
1 無知だと思われる不安
質問や発言をすると「知らない」と思われるのではないかと心配すること
2 無能だと思われる不安
自分の能力が低いと見られることを恐れ、意見を言ったり、リスクを取るのを避けたりすること
3 邪魔をしていると思われる不安
自分の意見が他人の進行を妨げているのではないかと心配すること
4 ネガティブだと思われる不安
批判的な意見を言うことで、「ネガティブだ」と思われるのを恐れること
心理的安全性が低いチームでは、この4つの不安の中で日々仕事をしていることになります。そのため、業務の改善や生産性を上げる上で必要な意見の交換を行うことができず、本来のポテンシャルを発揮することもできなくなるのです。
心理理的安全性を高める方法は立場や役職によって各々違う

心理的安全性が低い要因となる4つの不安の根底にあるのは「受け入れらないのでは」という気持ちであるため、対応方法は立場や役職によってさまざまです。
チーム内でできること
まず、メンバーの一人ひとりができることは受け入れる環境や雰囲気づくりを意識し、行動に移すことです。
具体的には
- 意見や疑問を積極的に発言する
- 他人の意見を尊重する
- 失敗を恐れずに挑戦する
- サポートし合う文化を作る
などが挙げられるでしょう。
リーダーや管理職ができること
また、心理的安全性を高めるにはリーダーや管理職が率先して土台を整えることが重要です。
具体的には
- 会議などで発言を設ける場を作り、意見を尊重する
- 定期的な面談や1on1を導入し、発言しやすい関係性を構築する
- 自身の失敗をシェア・建設的なフィードバック・感謝を伝えるなど適切なサポートを行う
などが効果的です。
経営者や人事担当ができること
更に心理的安全性を高めるには、経営者や人事担当からのアプローチも必要となります。
具体的には
- 心理的安全性の理解を深める研修の導入
- 心理的安全性を測るツールの導入
- ストレス管理やメンタルヘルスケアなどの心理的サポートの提供
- 場合によってはチーム編成の見直し
などが良いでしょう。
それぞれの立場から各々の対応を行うことで、心理的安全性が高くなる環境や雰囲気が形成されます。
心理的安全性を高める上で注意すること
心理的安全性を高めることは企業として重要な取り組みです。一方でリーダーや管理職は馴れ合いや偏りを注意する必要があります。
【心理的安全性】と【馴れ合い】を混同しない
失敗を許容する一方で、パフォーマンスや基準はしっかりと求めることが重要です。
部下との関係性に過度に気を使いすぎない
必要なフィードバックや指導は相手を尊重しつつもちゅうちょせずに行いましょう。
心理的安全性の偏りが生じてないか注意する
チーム内で特定のメンバーだけが発言しやすい環境にならないように、全員が平等に発言できる環境を整えることが大切です。
上記の点を注意しつつ、心理的安全性を高めていきましょう。
まとめ
心理的安全性の測り方は、7つの質問と7段階評価での調査や傾向から見ることができます。また高め方はさまざまな方法があり、現状に応じた施策を実行することが求められます。とはいえ、まず重要なのは、発言や挑戦しやすい環境や雰囲気を作り続けていくことです。心理的安全性を定期的に測り、その時々に応じた施策を打ち続けられるように意識しましょう。
<参考URL>
- 厚生労働省/良質な「働く」を広げる
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001100337.pdf
- 経済産業省/人材競争力強化のための9つの提言(案)
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jinzai_management/pdf/004_02_00.pdf
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