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チームの業績を左右する心理的安全性の測定方法と効果的な高め方

2025.2.28
心理的安全性の測定方法と効果的な高め方

近年注目されるようになった「心理的安全性」は、メンバー間で健全な意見交換を促進し、生産性向上に寄与する重要な概念です。しかしながら、「その必要性が十分に理解されていない」「職場における具体的な実践方法が不明瞭」と感じる経営者や人事担当者も少なくありません。本稿では、心理的安全性の定義から、その効果的な高め方について詳細に解説します。

心理的安全性とは?

心理的安全性は、「psychological safety」という心理学用語を日本語に翻訳した言葉です。ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授により1999年に提唱された概念で、組織内で安心して発言や行動ができる状態を指します。その後、Googleが「プロジェクト・アリストテレス」と称する労働改革を通じて、心理的安全性がチームのパフォーマンスと創造性を向上させることを確認し、世界的に注目を集めるようになりました。近年では、日本企業でも心理的安全性の向上に取り組むところが増えています。

心理的安全性とは、「組織やチーム内でどんな発言でも安心して自分の意見を発表でき、発言が拒絶されたり罰せられたりしない状態」を意味します。この安心感があることで、コミュニケーションが活発になり、メンバー間で健全に意見を交換することでより高い成果を出す職場を作り出すことができます。

心理的安全性がもたらすメリット

心理的安全性が職場に与えるメリットとして、パフォーマンスの向上が挙げられます。発言が活発になると、各メンバーが自発的に貢献するようになり、個人および企業全体の業績が向上します。また、対人関係の心配が減り、メンタルヘルスケアの効果も期待できます。多様な人材が集まり、新しい考え方が生まれるため、イノベーションが促進されます。仕事への満足度が高まることで離職率の低下も見込めます。

さらに、報告の心理的ハードルが低くなるため、早期相談がしやすくなり、大きなリスクを回避できる点も大きな利点です。

心理的安全性が低いとどのようなリスクがあるのか?

心理的安全性が低い職場では、積極的な発言や自発的な行動が少なくなります。メンバーは新しいアイデアや改善案を提案したり、ミスやトラブルの報告を控えたりするため、問題が見えにくくなり重大な事態につながる可能性があります。そして、助けを求めにくい雰囲気が仕事の負担を一人で抱え込む原因となり、組織全体のパフォーマンスが低下します。結果として、特定の意見しか反映されない悪循環が生じ、モチベーションが下がり、離職率が上がることもあります。

従業員が抱く「4つの不安」

心理的安全性を提唱したエドモンドソン教授は、心理的安全性が欠けている組織で働く従業員が持つ不安感を以下の「4つの不安」として挙げています。共通点は、自分自身を隠して発言するようになるということです。

①無知だと思われる不安

「そんなことも知らないのか」と思われることを恐れるあまり、わからないことがあっても上司や同僚に質問がしにくくなります。そのため、業務でもミスが出やすくなります。

②無能だと思われる不安

ミスや失敗を報告すべき場面であっても、仕事ができない人間だと思われることへの不安から、それを隠そうとします。その結果、重大な問題に発展してしまうケースも少なくありません。

③邪魔をしていると思われる不安

自分の発言によって相手の業務時間を奪ったり、協力を求めることで相手に負担をかけたりするのではないかという恐れから、発言を控えることも考えられます。結果的に、チーム全体のイノベーションの可能性を狭めてしまいます。

④ネガティブだと思われる不安

自分の意見を言うことで、人から「否定している」「ネガティブな人間だ」と思われることを恐れる気持ちです。主張を避け、自分の意見を言えなくなるため、切磋琢磨する環境はなくなり、チーム全体の生産性も上がりにくくなります。

心理的安全性を測る「7つの質問」

さらにエドモンドソン教授は、チームがこうした事態に陥っていないかどうかを把握するための質問として、以下のような7つの項目を提唱しています。

  1. チームの中でミスをすると、たいていの場合、非難される
  2. チームのメンバーは、難しい問題や課題を互いに指摘し合える
  3. チームのメンバーは、自分と違うという理由で他者を拒絶することがある。
  4. チームに対してリスクの高い発言や行動をとっても安全だと感じられる
  5. チームの他のメンバーに助けを求めるのは難しい。
  6. チームメンバーは誰も、他者を意図的に陥れるような行動をしない
  7. チームメンバーと一緒に仕事をすると、自分のスキルや才能が尊重され、仕事に活かされていると感じる。

これらの質問に対して、「強くそう思う」「そう思う」「どちらとも言えない」「あまりそう思わない」「そう思わない」の5択で回答します。ネガティブな質問は①、③、⑤、ポジティブな質問は②、④、⑥、⑦です。ネガティブな回答が多い場合、チームメンバーがさまざまな不安を抱えている可能性が高く、心理的安全性が十分に保たれていないことが示唆されます。

業務中に現れる「3つのサイン」

前述の7つの質問のほかに、業務中のやり取り中に現れる以下の3つのサインからチームの雰囲気を評価する方法もあります。

  1. ポジティブな発言が目立つ
  2. ミスについて話す機会も多い
  3. 職場に笑いとユーモアが溢れている

心理的安全性の高い職場では、このようなやり取りがみられます。
互いを尊敬している、不安なことがあってもメンバー全員で取り組むことができるなど、ポジティブな発言が多い傾向にあります。

日頃からミスや失敗について率直な意見交換を行っているという点が挙げられていることにも注目しましょう。心理的安全性の高い職場とは、単に不安なくリラックスして働ける職場を指しているわけではなく、ミスに対しても適切な対処方法を取り次回につなげる雰囲気が必要だということです。

心理的安全性の高め方

心理的安全性は、自然と高まるものではありません。リーダーを筆頭とした社員が、意図的な働きかけを行うことで初めて作られます。具体的には、以下の4つの要素が心理的安全性を高めると考えられています。

  1. 話しやすさ
  2. 助け合い
  3. 挑戦
  4. 新奇歓迎

これらの中でも最も重要とされるのが「話しやすさ」で、これが他の要素の土台ともなります。リーダーは率先してメンバーが話しやすい雰囲気を作りましょう。メンバーから相談や報告をされた際に、そのアクションに対してポジティブな反応をすることで、コミュニケーションそのもののハードルが下がります。例えば、メンバーから相談を受けた際に親身に対応する、相づちを打ちながら聞くなどです。1on1を設定するほか、ミーティングで意識的に雑談を組み込むことも有効です。また、相談に乗るだけでなく、上司が弱みを見せたり、自分から相談を持ち掛けるのも有効です。助けを求めてもいいのだというメッセージにもなり、メンバーは「認められている」と感じて自己開示がしやすくなります。

「助け合い」は、個人の能力を最大限に発揮するための重要な要素です。助けを求めることを恥ずかしいと感じず、周囲の力を借りることができれば、高いレベルで業務を遂行できます。


「挑戦」には、積極的な発言や提案を歓迎する風土作りが当てはまります。メンバーのアクションに否定やネガティブな質問を返すのではなく、まずはそれを歓迎する姿勢を示しましょう。また、仮に失敗したとしても、それを責めないことも重要です。チャレンジすること自体に価値を感じさせてくれてくれる職場であれば、メンバーは新しい取り組みに挑みやすくなります。

「新奇歓迎」は、一人ひとりの個性や能力を発揮できる状態です。チーム内で孤立することや、自分らしく活躍することに不安のない職場であれば、アイデアを提案するハードルは下がります。異なる意見に対しても一度は受け止める姿勢を示したり、メンバーの能力や個性に応じた人材配置を行ったりすることも有効です。

人事評価の見直しも検討しましょう

上司や同僚からの支援に加え、人事評価制度の改善も心理的安全性の向上に寄与します。例えば、個人の成果のみを評価基準にすると、エラーを懸念して発言や行動を控える傾向が生まれがちです。これを防ぐためには、個人の成果を評価に直接結びつけるのではなく、チームまたはプロジェクト単位で評価する方策が考えられます。この方法により、個々の評価低下への不安を軽減し、組織全体の心理的安全性を高めることが期待されます。

心理的安全性を高める際の注意点

心理的安全性の高い組織を作る際に注意すべき点があります。それは、単に誰も否定せず、優しく接するだけの組織になることです。和やかな関係があっても、上司と部下が慣れ合いになったり、相手を否定すると雰囲気が悪くなるために間違いを指摘できない場合、組織の成長が妨げられる可能性があります。

本当の心理的安全性のある職場では、メンバーが考えを主張できる環境が整っているため、意見の対立が起こることがあります。しかし、その先により良いアイデアや成長の機会があり、互いを信頼していることで意見が対立したとしてもメンバーは積極的に職場に貢献できる環境が形成されます。

ぬるま湯的な組織と心理的安全性の高い組織とを区別し、誰もが率直な意見を述べられる環境を整備することが重要です。

まとめ

「VUCA時代」と呼ばれる現代は、先を予測することが難しく、正解とされたこともすぐに変わってしまいます。このような状況下で成果を上げるためには、多くのアイデアやチャレンジを行うことが重要です。特に少子高齢化が進んでいる日本では、少ない労働力で最大の効果を発揮する必要があります。リスクを恐れずに意見を出し合い、ミスを受け止めて認め合える心理的安全性の高い職場環境の重要性が増しています。

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