【ハラスメント相談窓口】社外設置のメリットと失敗しない選び方

近年、職場におけるハラスメント問題は企業にとって見過ごせない経営課題となっています。パワハラ防止法(労働施策総合推進法)の施行など、法的な義務も強化される中、従業員が安心して働ける環境を整備することは急務です。しかし、社内に相談窓口を設置しても「相談しづらい」「機能していない」と悩む人事・健康経営担当者は少なくありません。
そこで注目されているのが「社外のハラスメント相談窓口」です。本記事では、社外に相談窓口を設置する重要性や法的背景、導入のメリット、自社に最適なサービスの選び方から具体的な導入手順までを網羅的に解説します。自社のハラスメント対策を実効性のあるものへと進化させたいご担当者様は、ぜひ参考にしてください。
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ハラスメント相談窓口の重要性と背景
企業がハラスメント対策を講じるうえで、相談窓口の設置は最も基本的かつ重要な施策です。なぜ今、相談窓口、特に社外窓口の重要性が高まっているのか、その背景を解説します。
ハラスメント問題の現状と影響
職場におけるハラスメントは、依然として深刻な問題です。厚生労働省の調査等でも、パワーハラスメント(パワハラ)やセクハラに関する相談件数は高止まりの傾向を見せています。ハラスメントは、被害者のメンタルヘルスに多大な悪影響を及ぼし、休職や退職に追い込まれるケースも少なくありません。
また、企業にとってもその影響は甚大です。ハラスメントが横行する職場環境では、従業員のモチベーションが低下し、生産性が著しく落ち込みます。さらに、加害者や企業に対する損害賠償請求、SNS等を通じた企業ブランドの低下など、経営を揺るがすリスクをはらんでいます。こういったハラスメント対策として「どこに相談すればいいかわからない」という被害者の孤立を防ぐためにも、機能する相談窓口の存在は重要です。
社外相談窓口設置の法的背景
企業における相談窓口の設置は、法令によって義務付けられています。労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)により、すべての企業に対してパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が義務化されました。これには相談体制の整備が含まれます。また、男女雇用機会均等法においても、セクシュアルハラスメントに関する相談窓口の設置が規定されています。
企業はこれらの法令に基づき、従業員の立場に立った適切な対応が求められます。単に窓口を設置するだけでなく、相談者が安心して利用できる環境を整えるうえで、社内だけでなく「社外相談窓口」を併設する企業が増加しています。従業員の働く権利を守り、法的な義務を果たすための制度として、対象となる事案を広く受付できる体制づくりが急務となっています。
社外相談窓口のメリット
相談窓口を外部に委託することには、社内窓口のみを運用する場合と比較して多くのメリットがあります。ここでは大きく3つの視点から解説します。
匿名性と中立性の確保
社外相談窓口の最大の理由は、相談者が安心できる環境を提供できる点にあります。社内窓口の場合、「通報したことが自分の上司や部署に知られるのではないか」「評価に影響するのではないか」といった不安から、相談を躊躇する可能性が高くなります。
社外の第三者機関であれば、プライバシーの保護が徹底されており、匿名での相談も気軽に行うことができます。
専門的なサポートの提供
ハラスメント問題の解決には、専門的な知識が不可欠です。社外相談窓口では、産業カウンセラーや臨床心理士、弁護士など、ハラスメント対応に特化した専門家が運営・管理をサポートします。
これにより、相談者に対する心理的支援や医療的なアドバイスだけでなく、企業担当者向けの実務的な指導や、事案に応じた具体的な解決策の提示が可能になります。また、窓口を委託することで、社内の管理職向け研修を合わせて提供してくれるサービスもあり、組織全体の意識向上とハラスメントの徹底的な特定・予防に繋がります。
リスクマネジメントの強化
社外相談窓口は、企業のリスクマネジメントを強化するうえで非常に有効です。社内の人間には話しにくい小さな違和感も、外部窓口であれば声が上がりやすくなり、問題の早期発見・早期改善が実現します。
事案が大きくなる前に対応することで、被害の拡大を防ぎ、法的なトラブルへの発展といったリスクを軽減できます。さらに、集まった相談データを一覧化・分析することで、特定の部署の傾向を把握し、上司への指導や再発防止策の立案に役立てることが可能です。ハラスメント予防体制の強化は、結果として企業の信頼性向上に寄与します。
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社外相談窓口の種類
社外相談窓口を提供する機関には、いくつか種類があります。自社の課題や目的に合わせて適切な委託先を選ぶことが重要です。
EAPサービスの特徴
EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)は、従業員のメンタルヘルス対策を総合的にサポートするサービスです。ハラスメントに関する相談を含め、仕事の悩みから私生活の心理的な問題まで幅広く対応できるのが特徴です。
EAPの最大の強みは、単なる『通報窓口』ではなく、従業員のメンタルヘルスケアと組織改善を一体化して提供できる点にあります。ハラスメントによる心理的ダメージを受けた従業員に対し、臨床心理士や公認心理師などの専門家がカウンセリングを行い、休職や退職を防ぐサポートを行います。さらに、蓄積された相談傾向から職場の潜在的な課題を抽出し、管理職向けのラインケア研修などにつなげることで、ハラスメントの根本的な予防体制を構築できます。
また、専門のカウンセラーが担当者として対応し、相談者が話しやすく心理的ハードルが低いというメリットがあります。メンタルヘルス不調の早期発見・早期対応機能として優れており、企業に提供されるレポーティングを通じて、職場環境の改善に役立てることができます。
法律事務所の役割
法律事務所に相談窓口を委託する場合は、法的なトラブルへの対応力に強みを持ちます。パワハラやセクハラが重大な権利侵害にあたる場合、弁護士が直接実務に関与し、法人の義務や法律に基づいた客観的な判断を下します。
訴訟リスクを伴うような大きな事案への対応や、事実調査の代行などを確実に行い、企業を守る盾としての役割を果たします。ハラスメントの有無の線引きが難しいケースにおいて、法的な根拠に基づいた対応を求める職場に適しています。
社会保険労務士の活用
社会保険労務士(社労士)は、労働問題や人事労務の専門家です。厚生労働省の指針や労働法規に精通しており、企業と従業員の間に立って適切なアドバイスを提供します。
社労士を窓口に選ぶメリットは、相談対応だけでなく、就業規則の改定やハラスメント防止に向けた社内体制の構築、社員・同僚向けの研修など、働く環境の改善を包括的に支援してもらえる点にあります。事業主と労働担当部署に寄り添い、実務に即した具体的な仕事のサポートが期待できます。
社外相談窓口の選び方
多種多様なサービスの中から、自社に最適な社外相談窓口を選ぶためのポイントを解説します。
サービス内容の確認ポイント
まずは、提供されるサービスの内容や業務の範囲をチェックすることが重要です。相談の受付時間(24時間対応か、平日のみか)や、受付方法(電話、メール、Webフォーム、対面など)が従業員の求める全体像に合致しているかを確認します。
また、相談を受けた後の報告体制、事実調査のサポート、研修の実施など、基本契約に含まれるサービス概要をしっかりと把握し、自社の人事部門がどこまで業務を任せられるかを検討するポイントとなります。
料金とコストパフォーマンス
料金体系はサービスによって異なります。月額固定費用のところもあれば、相談件数ごとの従量課金制、あるいは初期費用が無料で月額費用のみという形態もあります。
単純に料金が高い・安いだけで判断するのではなく、期待するサービス内容と費用のバランス(コストパフォーマンス)を見極めることが大切です。導入後の流れや、法務相談・メンタルケア相談などを含む総合的なサポートコーナーとして機能するかどうか、経営視点で長期的な時間とコストを試算して選定しましょう。
導入実績と信頼性
外部に重要な従業員データを預ける以上、サービスの信頼性は非常に重要です。過去の導入実績や採用企業のデータを確認し、自社と同規模・同業種での実績があるかを調べましょう。
また、実際に導入した企業の口コミや効果的な周知方法などのノウハウを持っているかも重要な要素です。セキュリティ対策が万全であることはもちろん、相談員への教育体制が整っているかなど、メリットを最大化できる信頼の置けるパートナーを選ぶことが採用の鍵となります。
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外部ハラスメント相談窓口の有効活用方法
実際に社外相談窓口を導入した際、従業員がどのように利用し、企業がどう対応していくのか、そのプロセスを解説します。
相談の流れと必要な準備
従業員が初めて相談窓口を利用する際は、不安を感じるものです。利用を促すためには、相談の流れを分かりやすく解説し、社内に周知する必要があります。
相談者は、電話やメールなどで相談員にコンタクトを取ります。必要に応じて面談が行われることもあります。相談をスムーズに進めるためには、いつ・どこで・誰から・どのような行為を受けたかという悩みの内容を事前にメモなどで整理し、メールやチャットの履歴など客観的な記録を用意しておくよう案内すると良いでしょう。また、匿名での依頼や調査の請求が可能であることも伝え、アンケート等を通じて相談への心理的ハードルを下げる工夫が求められます。
相談後のフォローアップ
相談を受け付けた後の対応が、ハラスメント問題解決の核心となります。社外窓口から人事担当者へは、相談者のプライバシーに配慮したうえで、規定のラインに沿った報告書やメールによる調査結果の報告が行われます。
企業側は、提供された情報とアドバイスに基づき、関係者への事実確認などの調査を実施します。その際、相談者が不利益な取り扱いを受けないよう最大限の配慮が必要です。対応が完了した後も、定期的に電話などで状況を確認し、問題が再発していないか進捗を追うフォローアップが欠かせません。
社外相談窓口の導入事例
ここで、社外相談窓口を導入し、職場のハラスメント対策やメンタルヘルスケアに効果を上げた企業の事例を紹介します。
成功事例の紹介
従業員数5,000名以上を抱える精密機器メーカー、株式会社島津製作所様のケースを紹介します。約40年の実績を持つエムスリーヘルスデザインの「従業員支援プログラム(EAP)」を導入し、同社では13年以上にわたりメンタルヘルス不調の早期発見・予防に有効な対策を行っています。
導入の背景として、専門的な知識を持った外部機関に委託することで、従業員だけでなくその家族のカウンセリングにも対応できる点が評価されました。また、休職者に対する三者面談(休職者、EAP担当者、社内心理職)の提案など、状況に応じた的確なサポートが受けられる点も導入の大きな理由となっています。
実際の効果として、社内の人に知られたくないプライベートな悩みや職場の課題について、「社外の第三者に相談することで悩みがニュートラルに整理できる」と管理職から部下へ専用の相談サイトや窓口の利用をおすすめするケースが多く発生しています。さらに、ストレスチェック後の集団分析結果を基にした研修の実施により、職場のコミュニケーション活性化にもつながりました。休職者の復職支援においても、本人が自身の課題とどう向き合うかを一緒に考えることで、再休職のリスクを下げる効果をもたらしています。
専門的なノウハウを持った外部機関の活用は、産業保健スタッフが社内に在籍している企業においても、役割分担をしながらより充実したサポート体制を構築できる好例と言えます。
ハラスメント相談窓口の今後の展望
ハラスメントを取り巻く環境は常に変化しています。企業が今後どのような対応を求められるのかを解説します。
法改正と企業の対応
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)はすでに中小企業にも適用が拡大されており、今後も関連する法令の改正や基準の見直しが行われる可能性があります。
企業や会社組織は、法改正の背景にある「多様な人材が安全に働ける環境づくり」という本質的な要請を理解し、体制の整備に努める責任があります。単に法に該当する行為を禁止するだけでなく、実効性のある対応策を講じ、状況に応じた社内規程のアップデートを継続的に行うことが求められます。
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まとめと今後のアクション
最後に、社外相談窓口の意義と、企業が取るべき行動についてまとめます。
社外相談窓口の重要性の再確認
社内外に相談窓口を設置することは、従業員を守るだけでなく、企業自身を守るためにも大切です。特に社外相談窓口は、社内の人間関係のしがらみから切り離され、外部の専門家とつながりを持つことができるため、内部通報の心理的ハードルを大きく下げます。
自社の既存の体制を見直し、それぞれに不足している部分を外部の力で補完することで、利用者への安心感を提供し、組織全体の風通しを良くすることに貢献します。社外窓口の存在そのものが、ハラスメントを許さないという企業の姿勢を示すメッセージとなります。
具体的なアクションプランの提案
ハラスメントのない健全な職場環境を実現するために、以下の具体的な施策をご検討ください。
- 現状の課題抽出: 社内アンケート等を実施し、現在の窓口の認知度や利用意向、潜在的な課題をレポート化する。
- 社外相談窓口の選定と比較: 複数の外部サービスに提案を依頼し、自社の規模や課題に合ったサービスを総合的に検討する。
- 導入と社内周知の徹底: 窓口を設置したら、全従業員に向けて利用方法やプライバシー保護の措置について説明会やセミナーを行う。
- 定期的な運用評価: 半期ごとに利用状況や相談傾向を分析し、必要に応じて社内研修や対策を実行する。
これらのステップを確実に行うことで、貴社のハラスメント対策はより強力で実効性のあるものになります。まずは、自社に最適な社外相談窓口の情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
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