従業員の意欲を伸ばして健康経営を推進!エンゲージメントの測り方

健康経営には従業員がいきいきと働ける環境づくりは欠かせません。従業員が企業や業務内容をポジティブに捉え、意欲的に働く状態にあるかどうかを判断するのが「エンゲージメント」です。しかし、そもそもエンゲージメントそのものや、エンゲージメント向上のための具体策がわからないという人も多いかもしれません。今回はエンゲージメントの概要、エンゲージメントを向上させるためのポイントを詳しく紹介します。
エンゲージメントの種類と、エンゲージメントを高めるメリットとは?

エンゲージメントとは、誓約・約束・契約などを意味する言葉です。近年、人的資本情報の開示項目として取り上げられたことで、注目が高まっています。エンゲージメントが高まると仕事や職場が楽しくなり生産性が向上する一方、エンゲージメントが低いと人材の流出や生産性の低下といった問題を引き起こすことも……。エンゲージメントの度合いは従業員の心の健康にもつながるため、経済産業省が実施する2024年度健康経営度調査から取り上げられています。
健康経営のために高めたいとされるエンゲージメントには「従業員エンゲージメント」と「ワークエンゲージメント」の2種類があります。
「従業員エンゲージメント」とは、従業員が企業理念に共感し「会社に貢献したい」「役に立ちたい」と感じる「愛社精神」にまつわるものです。「目標(ビジョン、戦略、成長性)」「活動(事業内容、商品、サービス)」「組織(社風、人材、経営理念)」「待遇(就労実態、福利厚生、給与)」で構成されます。従業員エンゲージメントが高くなると、意欲的に仕事に取り組む従業員が増加するため、企業価値向上、生産性向上においても重要です。
「ワークエンゲージメント」は、業務内容や仕事そのものに対する肯定的な感情のことです。「熱意(仕事のやりがい)」「没頭(仕事への熱中度)」「活力(仕事へのモチベーション)」の3要素で構成されます。ワークエンゲージメントが高まれば、従業員は仕事に対していきいきと取り組むことができ、パフォーマンスの向上につながります。
これらのエンゲージメントを高めることによるメリットは数多くあります。働きやすい環境が整えば従業員の仕事に対するモチベーションが高まり、生産性の向上にもつながります。さらに企業への帰属意識も芽生え、従業員同士が悩みや課題を共有することで、チーム力強化にも期待できます。
従業員エンゲージメントの測り方
「従業員エンゲージメント」は、企業と従業員が相互に成長しあう関係度合を数値化した「エンゲージメント指標調査」という計測方法で測ることが一般的です。具体的な調査法には「従業員パルスサーベイ」と「従業員エンゲージメントサーベイ」の2種類があります。
従業員パルスサーベイ
週に1回~月に1回程度、5~10分程度で回答できる簡単なアンケートを実施するなど、短い間隔で調査を行う方法です。社員の負荷が少ないため回答率が高くなりやすく、調査結果が早く得られることが特長です。またアンケート調査以外にも、心拍数などの生体データを業務中に計測したり、仕事への熱中度をキーボードのタイピング速度から測定したりと、さまざまな調査方法があります。
従業員エンゲージメントサーベイ
アンケートによって個人と企業の双方的な関係性を可視化する調査手法です。一般的に半年~1年に1回程度、定期的に従業員にアンケートを実施します。「自社で働くことに誇りを持っているか」「会社の目標・戦略を理解しているか」などを中心としたボリュームのある項目数になっており、従業員の会社への貢献意欲や満足度を細かくチェックできるようになっています。1回の調査で得られる情報量は多いですが、回答者への負担が大きい点がデメリットでもあります。
ワークエンゲージメントの測り方
「ワークエンゲージメント」を測るには、「UWES」「MBI-GS」「OLBI」という3つの計測指標のいずれかを用います。
UWES(Utrecht Work Engagement Scales)
ワークエンゲージメント測定における最も基本的な指標です。17項目の質問で測定する通常版、9項目の質問で測定する短縮版、3項目の質問で測定する超短縮版の3種類を状況に合わせ使用し、仕事にどのくらい積極的に意欲を持って取り組めているかを調べます。
MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)
疲労感、シニシズム(冷笑的態度)、職務効力感(専門家としての有効性)といったバーンアウト(ワークエンゲージメントの逆で燃え尽き症候群ややる気の喪失を指す)の程度を測定します。MBI-GSの回答結果の数値が高いほどバーンアウトの状態になっており、MBI-GSで計測した数値が低いほど、ワーク・エンゲイジメントが向上しているといえます。
OLBI(Olddenburg Burnout Inventory)
「疲弊」と「離脱」の2分類で、それぞれの項目に否定的な質問と肯定的な質問が4項目ずつあり、合計で16の質問に回答して結果を測定します。MBI-GS同様、バーンアウトの状態を測る指標であり、数値が低いほどワークエンゲージメントが高いと考えられます。
エンゲージメントを向上させるための工夫
「従業員エンゲージメント」を高めるためには、従業員が企業のビジョンに共感できるよう、定期的に企業の理念を伝えたり、経営層との直接対話の機会を作ったりといった取り組みが効果的です。また、フレキシブルな雇用形態やフレックスワーク・テレワーク等の導入を通して多様な働き方に対応し、働きやすい環境づくりも重要でしょう。また、従業員それぞれに適切な業務を与えたり成長できる環境を整えたりして、従業員が仕事へのやりがいを感じられる職場を目指すことも忘れてはなりません。
「ワークエンゲージメント」を高めるには、明確な評価基準や表彰制度を設け、従業員の活力、熱意、没頭を後押しするのが基本となります。さらに従業員同士のコミュニケーションを促進して、お互いの信頼関係を強めることで活気ある職場づくりに努めることも、従業員のストレス軽減に役立つはずです。
エンゲージメントの向上は従業員の心身を健康にして働く意欲を高め、業績向上につながります。健康経営に欠かせない要素のひとつとして常に意識しながら、定期的な測定と対策を心がけてください。
<参考URL>
- エンゲージメント向上のための組織風土改革 - 事例 | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/it/example_03.html
- 「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1-2-3.pdf
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