健康診断結果を電子化する上での費用の目安や注意点とは?

健康経営を推進する上で重要となる健康診断結果。近年のDX化や現場の業務効率の観点からも、電子化した上でデータでの管理が必須となります。そこで企業として把握しなければならないのが、その際にかかる費用の目安や注意点です。今回は、電子化に向けての費用の目安や注意しなければならない点について解説します。
これまでなぜ電子化が進まなかったのか?
健康診断結果や健診データの電子化・データ化が推奨されつつも、それがスムーズに進んでいないのが現状です。進まなかった理由は複数ありますが、主に以下の2つの要因がありました。
1,健康診断結果は封書で郵送されることが多い
多くの病院や健診クリニックでは個人情報保護の観点から、健康診断結果や健診データは封書で郵送されるケースがいまだに多く見られます。
健康診断結果は配慮が必要な重要な個人情報が含まれるうえに、その管理方法などは企業によってガイドラインが異なるだけでなく、クリニック側での個別の把握が難しいこともあり、最も簡単な封書での郵送対応が続いているといった背景があります。
2,個人票や報告書に産業医の捺印が必要という法律があった
電子化が進まなかったもう1つの要因は、法律によるものです。
労働安全衛生法によって健康診断個人票や定期健康診断書には産業医の押印が必要とされてきました。そのため、デジタル(パソコン等)で健康診断書を作成した場合でも、それを紙で印刷した上で押印し、それを再びデータ化しなければなりませんでした。
2020年8月の法改正により、産業医の捺印および署名は廃止になった(記名のみでOKになった)ものの、それまでの作業フローがいまだに踏襲されている現状があります。
以上が進まなかった大きな要因とされていますが、法改正が行われたことで電子化が進み、電子化対応可能の医療機関も増えています。
電子化する場合の内製化と外部委託のメリット・デメリット
上記の背景により電子化が進み始めている今、健康診断結果の電子化を内製化するか、外部に委託するかを検討している企業も増えてきているのではないでしょうか。ここでは内製化と外部委託のメリットとデメリットについて解説します。
内製化
| メリット | デメリット |
|---|---|
| コストを削減できる | 専門的な知識が必要 |
| 個人情報管理のリスクを軽減できる | 医療機関によって診断基準やフォーマットが異なるため都度対応が必要 |
| 知識とスキルがあれば、カスタマイズの自由度が上がる |
外部委託
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 担当者の業務負担が軽減される | コストがかかる |
| 委託先によっては健康経営に関するサポートが受けられる | 個人情報漏洩のリスクがある |
内製化で大きなポイントとなるのは、外部委託に比べてコストが抑えられることです。ただし、そのためには専門的な知識とスキルが必要となります。

また、外部委託でポイントとなるのは、担当者の負担軽減です。外部に業務を任せることで通常の業務や健康経営の推進などのコア業務に時間を充てることができます。また委託先によっては健康経営の観点からアドバイスやサポートを受けることもできるメリットもあります。ただし、内製化よりもコストがかかるため、導入によってどれくらいの費用がかかり、それに見合う価値が生まれるのかもしっかりと検討しましょう。
内製化と外部委託のメリットとデメリットを理解した上で、自社にとってより良い方法を選択してください。
健康診断結果の電子化を外部委託する時にかかる費用の目安
これまで、健康診断結果の電子化について解説してきましたが、昨今では電子化に際しては外部委託を選択する企業が増えています。それにあたっての費用の目安も把握しておきましょう。
- 健康診断結果のスキャンとデジタル化:ページ数によりますが、1ページあたり数十円から数百円
- データ入力と整理:1ページあたり数十円から数百円
- ソフトウェア開発とシステム導入:数十万円から数百万円
- セキュリティ対策:データ保護のための追加費用が発生する場合あり
- 維持管理費用:定期的な保守やサポートの費用がかかる
上記は一部ではありますが、全体的には、小規模な業務の場合は初期費用で数万円から数十万円、大規模な業務になると数百万円以上はかかる可能性があります。また別途で管理費用(ランニングコスト)として月額が発生する場合もあるため、具体的な見積もりは業者に確認するのがよいでしょう。
健康診断結果の電子化に伴う注意点
最後に、健康診断結果を電子化する際に必要な注意点をまとめます。
- 個人情報保護
- 健康診断結果は個人の健康情報を含むため、適切な保護措置を講じる必要があります。データの暗号化やアクセス制限を確実に実施しましょう。また、外部に任せる際には「ISO27001(ISMS)」や「プライバシーマーク(Pマーク)」の取得有無などを確認しましょう。
- セキュリティ対策
- 不正アクセスやデータ漏洩を防ぐために、強固なセキュリティ対策を導入することが不可欠となります。ウイルス対策ソフトの導入、定期的なセキュリティチェックなどを行いましょう。
- 法的規制の遵守
- データの取り扱いに関して、個人情報保護法など関連する法律や規制を遵守する必要があります。
- データの正確性とバックアップ
- デジタル化したデータが元の情報と一致するように、整合性を保つことが重要です。データ移行後に確認作業を行いましょう。また、健診結果は社内で5年間保存することが義務付けられているため、過去のデータも合わせて保護しましょう。
これらの注意点を押さえながら、計画的に進めることで、健康診断結果の電子化をスムーズに行うことができます。
電子化を進めるには専門的な知識やスキルが必要となるため、あらゆる角度から検討し、適切な判断ができるよう努めましょう。
<参考URL>
- データヘルス改革推進本部/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148743.html
- データヘルス計画における健康情報(個人情報)の取扱い/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000069370.pdf
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