健康経営にはなぜ女性特有の支援も必要なのか?背景や具体策を紹介!

従業員の健康保持・増進を企業の経営課題として捉え、戦略的に推進する健康経営。従業員の健康状態は労働生産性の向上、ひいては企業の業績向上にもつながるため、従業員への健康支援に向けた取り組みは欠かせません。従業員の中には、当然女性も含まれますが、実は、女性に対しては特有の健康課題についても対策を講じていく必要あります。今回は、なぜ女性特有の健康経営に取り組む必要があるのか、その理由やメリット、具体的な対策について紹介していきます。
健康経営には、社会変化や労働環境に合わせた女性支援が必須

女性の社会進出が進む現在、女性の労働者は増加傾向にあり、令和元年における女性の労働力人口は約3058万人。労働力人口に占める女性の割合は全体の 44.4%にのぼり、職場の約半数が女性です。労働市場に女性が増加する一方、少子高齢化によって労働力人口が減少するなかでは、自社の女性従業員の健康を支援し、活躍できる環境を整えることは、各企業にとって重要な課題となっているのです。
女性と男性では、かかりやすい病気の種類や、不調になりやすい年代や病状、治療法などが異なります。特に女性は、加齢をはじめ、妊娠・出産など自身のライフステージや環境変化によっても女性ホルモンが大きく変動し、より影響を受けやすいともされています。また、月経や妊娠・出産、婦人科系のがんなど、女性特有の健康課題もさまざまに存在します。
これら女性特有の健康課題にともなう損失は決して小さくはなく、たとえば、月経にともなう症状や不調による経済的損失額は年間で4,911億円に上るという試算が、経済産業省から発表されています。また、PMS(月経前症候群)や月経にともなう心身の変化によって、仕事のパフォーマンスが半分以下になると回答した人が45%にのぼるという調査結果も……。
このように、女性特有の健康課題は企業業績にも大きく影響するため、健康経営にとっては欠かせないテーマだといえるのです。
企業が女性従業員の健康をケアするメリットとは?
女性従業員の健康不調が企業の業績低下につながるリスクがある一方、積極的な健康支援が企業にもたらすメリットもまた、少なくありません。
たとえば、健康に関する情報を得て実際に活用できている女性従業員は、仕事におけるパフォーマンスが高く、PMSなどによるパフォーマンスの低下率は低くなるとされています。女性の健康課題に対するリテラシーを向上させる取り組みを行えば、女性従業員は活力を持って労働生産性を高めてくれるはずです。
また、女性特有の課題は、男性の上司や同僚には話しにくい内容も多く、相談先や対応策が見つからなければ勤務の継続は難しいと判断し、結果的に退職につながるリスクも……。企業による適切なサポートによって女性の体調に合わせた柔軟な働き方が可能になれば、健康なまま仕事に対する自信やモチベーションを保ちながら働き続けることができるので、離職者を減らすことにもつながります。
また、女性従業員の定着が実現すれば、企業は女性人材のキャリアアップや管理職登用もしやすくなるはずです。女性活躍推進法が施行され女性の活躍推進が求められている今、女性が積極的に活躍する姿は、企業イメージ向上につながるとともに、女性が働きやすい企業として優秀な人材の確保に効果的だと考えられます。
女性特有の健康課題と企業が検討すべき対策は?

ここまで述べてきた通り、女性の健康課題は男性のそれとは大きく異なります。そこで、女性がかかりやすい疾患や不調、対策について紹介していきましょう。女性特有の健康課題を正しく理解し、自社の環境に沿った適切な施策を講じることをこころがけてください。
月経に関する不調
PMSや月経にともなう具体的な症状は個人の体質によって異なるものの、なかには仕事を休まざるをえないほどの強い腹痛や頭痛に襲われるという人も少なくありません。たとえ出勤した場合でも、業務効率が大幅に下がるケースも考えられます。生理休暇や不調時の作業フォローなど、月経不調にともなう支援制度を整えるとともに、実際に取得しやすい職場環境づくりが重要です。
婦人科系のがん
婦人科系のがんとして最も代表的なものが乳がんで、生涯で9人に1人は罹患するともいわれています。その他にも、子宮頸がんや卵巣がんなど、女性特有のがんは少なくありません。企業には、がん検診の費用補助を導入し、早期発見・治療をサポートしたり、がんと診断された女性のための相談窓口の設置、時短・在宅勤務といった柔軟な働き方に対応した制度などの検討が求められます。
妊娠・不妊
妊娠期には、つわりや貧血、食欲不振などの体調不良があらわれがちです。企業は、妊娠によって体調不良が起こること、それによって以前同様のパフォーマンスが発揮できない女性従業員の存在について、他の従業員や上司に対して理解を求めていくことが大切です。一方で、これは女性従業員に限りませんが、不妊治療を行う従業員は、高頻度の通院や多額な費用、それに伴う精神負荷などの課題があります。従業員が仕事と不妊治療を両立できるよう、企業は、通院時に活用できる年次有給休暇の時間単位取得制度や、フレックスタイム制度の導入検討が必要でしょう。
更年期障害
更年期とは、閉経前後の5年ずつの10年間を指し、この時期には女性ホルモンが減少することで、頭痛やめまい、うつ、動悸や息切れ、吐き気などさまざまな不調が引き起こされます。症状には個人差があるため、まずは女性従業員や管理職等に更年期障害への知見をもってもらう施策が有効です。合わせて、通院の際に活用できる年次有給休暇の時間単位取得制度やフレックスタイム制度の導入、相談窓口の設置なども検討するといいでしょう。
いずれのケースにせよ、女性特有の不調に対応した健康経営を推進していくためには、まず女性の健康に対する社内での理解促進と浸透が重要です。男性も含む従業員全体でのリテラシーを向上させながら、健康経営に反映させるよう努めましょう。
<参考URL>
- 健康経営における女性の健康の取り組みについて|経済産業省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000153859.pdf
- 働く女性に関する対策の概況(平成15年1月~12月)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/19-01.pdf
- 働く女性の健康増進調査 2018|日本医療政策機構
https://hgpi.org/wp-content/uploads/1b0a5e05061baa3441756a25b2a4786c.pdf
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