従業員の自費か?企業の負担か?健康診断の種類と支払い対象について

病気の早期発見・早期治療に役立つ健康診断。従業員に対して、法令で定められた健康診断を受けさせることは企業の義務となっていますが、基本的には保険適用になりません。加えて、費用は基本的に企業負担が労働衛生法で定められています。他方、人間ドックなどの予防医療に関しては、従業員か企業のいずれかが費用を負担する必要があります。ここでは、法律で義務化されている健康診断の種類を確認しながら、従業員の自費が必要になるケースについても解説していきます。
健康診断は企業負担? 従業員の自費?

健康診断は保険適用外の検査であり、その費用は法律で企業が全額負担するよう労働安全衛生法で定められています。つまり健康診断を従業員が受けたときにかかる料金は、企業側が負担する必要があります。
では、なぜ健康診断に保険が適用されないのでしょうか。そもそも健康保険が適用されるのは、病気や怪我の治療のために必要な診療のみです。このため、健康状態を知るために行う健康診断には保険が適用されないのです。さらに健康診断以外にも人間ドック、予防接種など、まだかかっていない病気を予防するための医療行為には保険は適用されません。ただし、人間ドックやオプション検査などについては義務化されていないため、これらの項目を受診する場合は、企業負担ではなく、従業員の自費負担となることのがスタンダードです。
法律で義務化されている健康診断の種類は?
法律で義務化されている健康診断には、「一般健康診断」「特殊健康診断」があります。「一般健康診断」とは、職種問わず雇用されている従業員が受ける必要のある健康診断です。「雇入れ時の健康診断」「定期健康診断」「特定業務従事者の健康診断」「海外派遣労働者の健康診断」「給食従業員検便」などの種類が存在します。一方、「特殊健康診断」は、有害業務で働く労働者を対象にした健康診断で、「高圧室内作業および潜水作業」「放射線業務・除染等業務」「鉛業務」など、労働安全衛生法で定められた7つの業務を対象にした健康診断です。
これらの健康診断は、労働安全衛生法によって実施が義務化されているので、従業員の受診は必須かつ費用については企業負担が必要となる健康診断です。費用に加え、予約方法や診断形式などは医療機関によって異なるので、自社の都合に合わせて総合的に判断する必要があるでしょう。
従業員の自費となる健康診断のケースは?

健康診断の費用を企業が負担することは労働安全衛生法で定められた法的義務ですが、それらの健康診断以外にも、従業員によっては必要となる検査や従業員が受診を希望する検査など、企業負担とならないケースもあります。企業負担にはならず従業員の自費負担となるパターンについても、正しく理解しておきましょう。
法定項目以外の検査(オプション検査)
健康診断には、法律で定められた検査項目以外にも、任意で受診できる法定外項目のオプション検査が存在します。そうした検査費用については従業員の自己負担となるのが一般的です。ただし、産業医がオプション検査の受診が必要と判断した場合や会社が受診を指示した場合、さらには従業員の健康管理を目的として受診を推奨する場合は、会社負担とすることが望ましいと考えられます。会社としての支援範囲を定め、どの検査項目が会社負担となるのかを従業員に周知することが大切です。
人間ドック
人間ドックは定期健康診断よりも検査項目が多く実施義務がないので、従業員の自己負担とするのが原則です。ただし、企業と従業員間で負担のルールを決める企業も増えています。健康経営の機運の高まりから、費用が高額な人間ドックを会社として推奨し費用負担する企業も少なくありません。助成金を活用できる場合もあるため、会社負担とする際には確認することをお勧めします。
再検査
健康診断において異常が認められた場合は再検査が必要になります。再検査は法律によって実施義務がないため、基本的に従業員の自費負担となるのが原則です。しかし、従業員が再検査しやすいよう環境を作るためには、再検査の費用を企業負担としたり、勤務時間内に再検査を受診できるようにしたりといった対応は検討の余地があります。また、特殊健康診断で定められた再検査(二次検査)については、企業負担になる点も注意が必要です。
<参考URL>
- 厚労省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf
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