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ストレスチェックとは? 義務化された目的や実施の流れを解説

公開日: 2025.6.27
更新日: 2026.2.19
ストレスチェックとは

「ストレスチェックとはどのようなものだろう」「どのようにストレスチェックを実施すればよいのか」

自社でストレスチェックの導入が必要になり、上記のような悩みを抱える人事労務担当の方も多いでしょう。

ストレスチェックとは、企業が従業員に対して行うストレス状況の検査のことです従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐために義務化されています。

この記事では、ストレスチェックの概要や実施の方法、注意点などについて記載しています。参考にして、スムーズなストレスチェックの実施体制を整えましょう。

ストレスチェックとは?

ストレスチェックとは、従業員のストレス状況をチェックするために企業が行う検査のことです。

2014年に労働安全衛生法が改正され、2015年より従業員が50人以上の事業場に対してストレスチェックの実施が義務化されました(※1)。

ストレスチェックの義務を負う企業は、検査を年1回以上行わなければならず(※2)、労働監督署に適切な報告が行われない場合は50万円以下の罰金が科される可能性があります(※3)。

(※1)「労働安全衛生法が改正されました」(厚生労働省)
(※2)「労働安全衛生規則 第52条の第9項」(e-Gov法令検索)
(※3)「労働安全衛生法 第120条の第5項」(e-Gov法令検索)

従業員が50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化されるのはいつから?

2028年ごろには、50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務化される見通しです。

従業員が50人未満の企業においてもストレスチェックが義務化される背景には、次のような事情が考えられます。

  • 精神障害の労災支給件数が過去最高を更新した(令和5年)
  • メンタルヘルス不調により休業または退職した労働者が増加している

このような労働者のメンタルヘルス対策が十分ではない状況を受けて、国が定める「第14次労働災害防止計画」では、次のような目標が掲げられています。

  • メンタルヘルス対策に取り組む事業者を2027年までに80%以上とする
  • 労働者50人未満の小規模事業場でのストレスチェック実施割合を50%以上とする

現状、従業員50人以上でストレスチェックを実施している事業場の割合は、81.7%(※)と高い水準になっています。一方、従業員50人未満の事業場では34.6%(※)と低水準のため、中小企業でもメンタルヘルス不調を防止する目的で、従業員50人未満の事業場でもストレスチェック実施が義務化されます。

(※)「ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策について 第170回安全衛生分科会資料」(厚生労働省)

厚生労働省がストレスチェックを義務化する目的

厚生労働省がストレスチェックを義務化する目的は、企業における従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことです。

ストレスチェックを実施して結果を示すことで、従業員が自身のストレス状態を把握できるため、早期に対策を講じられます。

希望者は医師や専門家との面談もできるため、ストレスへの対処法を学ぶ機会にもなるでしょう。

また、企業側はストレスチェックの結果をもとに、労働環境の改善にも取り組めます。

ストレスチェックをきっかけに、従業員のメンタルヘルスを守り長期的に健康で働ける環境を作れることは、事業者側としてもメリットになります。

ストレスチェックは意味がないって本当?

ストレスチェックは意味がないといわれることもありますが、正しく実施すれば効果は期待できます。ストレスチェックに意味がないといわれるのは、以下のような理由があるためです。

  • 受検者の数が少なく、正確なストレス要因を特定できないから
  • 高ストレス者からの産業医面談申込みが少ないから
  • 集団分析の結果を職場改善に活かせていないから

従業員に意味がないと思わせない対策として、実施目的や結果の取り扱いを丁寧に説明し、従業員の安心感を高めることが有効です。従業員が安心感をもってストレスチェックを受けられれば、正確な回答からストレス要因を特定した上で、効果的な職場改善に取り組めるでしょう。

また、産業医面談を受けるメリットを十分に従業員に伝えれば、積極的に産業医面談を受けてもらえます。

集団分析の結果の活用方法がわからない場合は、医師や専門家に相談してみましょう。社内担当者だけでは思い浮かばなかったアイディアが出てくるかもしれません。

ストレスチェックが職場改善につながると理解できれば、受検者はより意欲的にストレスチェックに取り組んでくれるため、職場改善のPDCAをより効果的に回せます。

ストレスチェックの実施体制

ストレスチェックの実施体制には、主に次の3つの担当者が必要です。

  • ストレスチェック制度担当者
  • 実施者
  • 実施事務従事者

それぞれの役割における、業務内容や資格の要否をまとめたものが下表です。

名称主な担当者資格の要否主な業務
ストレスチェック制度担当者人事労務担当など不要・ストレスチェックの実施計画や進行・実施者とのスケジュール調整・受検者への実施推奨 など
実施者産業医や保健師など国家資格が必要(医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師、精神保健福祉士など)・ストレスチェックの質問項目への専門的なアドバイス・高ストレス者の選定基準や評価方法への専門的なアドバイス・高ストレス者に対して医師や専門家への相談の勧奨 など
実施事務従事者保健師や産業保健スタッフ、実施者の事務職員など不要・調査票の配布や回収・データの入力や集計・個人や事業者への結果通知 など

ストレスチェック制度担当者は、ストレスチェックを計画している企業内から選出することが一般的です。受検者の健康情報を取り扱う業務は行わないため、人事権をもつ管理者でも担当できます。

ストレスチェック実施者は国家資格が必要なため、産業医や外部の専門家に依頼することが一般的です。

実施事務従事者は社内から選んでも外部委託しても問題ありません。ただし、個人情報や健康情報を扱う業務を行うため、人事権をもつ管理者は従事できないことに注意しましょう。

ストレスチェックのやり方や実施の流れ

ストレスチェックのやり方や実施の流れを、次の4ステップで紹介します。

  1. ストレスチェックの事前準備をする
  2. ストレスチェック対象に周知して実施する
  3. 結果を受検者に通知し医師と面接指導を行う
  4. 集団分析をして職場改善に取り組む

1. ストレスチェックの事前準備をする

ストレスチェックを適切に行うためには、ストレスチェック制度担当者の十分な事前準備が必要です

準備が不十分だと効果が測定できず、ストレスチェックそのものに従業員が不信感を抱く恐れがあるためです。

厚生労働省が公開しているストレスチェック指針では、次のような項目を決めておくとよいとされています(※)。

  • ストレスチェック制度の目的や周知方法
  • ストレスチェック制度の実施体制や質問項目を含めた質問方法
  • ストレスチェック結果にもとづく集団ごとの集計・分析方法
  • ストレスチェック結果の記録の保存方法
  • ストレスチェック、面接指導や集団分析の利用目的や利用方法
  • 労働者に対する不利益な取扱いの防止方法

基本は厚生労働省が公開しているストレスチェック指針にのっとって、質問項目やチェック体制を整えるとよいでしょう。

業務負荷が大きい業務や部署では、ストレスチェック指針よりも踏み込んだチェック項目を作ると、より正確なストレスチェックができます。

(※) 参考:厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(厚生労働省)

2. ストレスチェック対象に周知して実施する

ストレスチェックの実施前には、制度担当者が事前に決定したストレスチェックの実施内容や結果の取り扱いなどを対象者に周知します。その後、実施者がストレスチェックを実施します。

企業側で決定した内容を適切に周知しなければ、従業員がストレスチェックを拒否する、正しく回答してくれないなどの問題が発生し、ストレスチェックを適切に実施できません。そのため、職場環境改善に向けた取り組みであること、従業員に不利益が発生しないことなど、目的の周知や実施に対する不安の払拭なども人事労務のミッションと考えるべきです。

繰り返しメールやチャットで周知する他にも、説明会の開催や上司からの個別説明を実施するなどして、従業員にストレスチェックの意義を理解してもらいましょう。

ストレスチェック制度担当者が一定の周知を行ったら、従業員のプライバシーに配慮しつつ、産業医や保健師などの実施者がストレスチェックを実施します。

3. 結果を受検者に通知し医師と面接指導を行う

ストレスチェックの結果が出たら、実施者や実施事務従事者が結果を受検者に通知します。通知を行うのは、実施者と実施事務従事者のどちらでも構いません。

ストレスチェックの結果、高ストレス者と判断された従業員は、医師や専門家との面接指導を希望できます。

高ストレス者とは次のような条件を満たす従業員です。

・調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が高い者
・調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数 の合計が一定以上の者であって、かつ、「職場における当該労働者の心理的な負担 の原因に関する項目」及び「職場における他の労働者による当該労働者への支援に 関する項目」の評価点数の合計が著しく高い者
引用:「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」(厚生労働省)

上記条件に当てはまらなくても、事業者が医師や専門家などのストレスチェック実施担当者と相談して高ストレス者と判断する場合もあります。

高ストレス者はより手厚くフォローする必要があるため、柔軟にケアを行える体制を整えましょう。

なお、高ストレス者からの面談希望に対して、企業は面談を受けさせる義務を負いますが、高ストレス者以外からの希望にはその義務はありません。ただし、実施者が必要だと判断すれば、高ストレス者以外でも面談を受けられる点に留意しつつ対応しましょう。

4. 集団分析をして職場改善に取り組む

医師や専門家などのストレスチェック実施者は、集団分析の結果をストレスチェック実施企業に共有します。結果の共有を受けた企業やストレスチェック制度担当者は、結果をもとに職場改善に取り組みます。

ストレスチェックの結果は、個人が特定できない集団データとしてなら分析をしてよいと決められています。

集団分析の結果から判断して職場環境に改善の余地があれば、ストレス要因を取り除くような改善を行うことが望ましいでしょう。

たとえば、高ストレス者が多い部署では、長時間労働が問題になっていることや業務負荷が偏っているケースがあります。このような問題を見つけ次第、人事労務は必要な対策を講じてストレス要因を除去し、ストレスがかかりにくい職場環境づくりに務めます。

ストレスチェックの質問票の作成方法

ストレスチェックの質問票を作成する際は、厚生労働省が提供する調査票を活用するのが一般的です。

ストレスチェックでは心理的な負担を適切に測定するために、以下の3つの領域に関する質問を含んだ項目を用意しなければなりません。

仕事のストレス要因:職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目をいいます。
心身のストレス反応:心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目をいいます。
周囲のサポート:職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目をいいます。
引用:「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」(厚生労働省)

このような観点を網羅し、かつ法令に準拠した質問票を整備するには相応の負担がかかるため、多くの企業では厚生労働省が提供する「職業性ストレス簡易調査票」を活用しています。

なお、厚生労働省が用意している職業性ストレス簡易調査票は4種類あり、それぞれ特徴が異なります。4つの職業性ストレス簡易調査票の特徴は以下のとおりです。

質問票の名称質問数できることメリットデメリット
職業性ストレス簡易調査票(簡略版)23問・最低限の法対応・受検者の負担を抑えられる
・多くの受検者による回答を得やすい
・集団分析による傾向を分析しにくい
・細かなストレス状況を把握しにくい
職業性ストレス簡易調査票57問・職場環境におけるストレス要因の把握・受検にかかる時間が比較的短く、回答を得やすい
・従業員のストレス度合いやその要因となる職場環境の分析に十分な項目数がある
・職場環境におけるポジティブな面は測定できない
職業性ストレス簡易調査票(80 項目版)80問・ストレス要因の把握
・モチベーションの高いチームの発見
・ネガティブな要素だけではなく、ポジティブな要素も測定できる
・ポジティブな回答の多い部署を分析して、よりよい職場環境改善ができる
・質問数が多く、受検者の負担になり回答を集めにくい
・従来57項目版を使っていた企業では経年変化を把握しにくい
新職業性ストレス簡易調査票120問・より幅広い職場環境のストレス要因の把握
・労働者の仕事へのポジティブな関わりの把握
・職場の一体感の測定
・職場のハラスメント状況の測定
・より詳細なストレス要因やポジティブな要素を把握できる
・正確な情報にもとづいて適切な職場環境改善に取り組める
・従業員の回答負担が大きく、回答率が低下する懸念がある

どの質問票を利用するか悩む方は、厚生労働省が推奨する57項目の職業性ストレス簡易調査票からストレスチェックを始めてみましょう。その後、従業員にかかる負担やより詳細な分析の必要性などによって、23項目や80項目・120項目の利用を検討するのがおすすめです。

ストレスチェックの実施で人事担当者が注意したいポイント

ストレスチェックの実施で人事担当者が注意したいポイントは次の3つです。

  • 個人を特定できる情報は厳重に保護する
  • 事業者や人事権をもつ管理者などが結果を閲覧してはならない
  • ストレスチェックによる不当な取り扱いをしない

それぞれの注意点について、詳しく解説します。

個人を特定できる情報は厳重に保護する

人事担当者はストレスチェックの結果と個人を紐づける情報を厳重に保護しなければなりません。ストレスチェックの結果は個人のプライバシーに関わる重要な情報であるためです。

他の個人情報と同じように必要最小限の範囲での共有を基本として、業務上必要な範囲で他者(他社)と共有する場合には必ず本人の了承を取る必要があります。実施者である産業医や保健師が、実施依頼者である企業に共有する場合も、受検者の許可を得てからでなければ共有はできません。

実施者同様に実施事務従事者も守秘義務を負い、違反時には罰則もあることを周知しておきましょう。

事業者や人事権をもつ管理者などが結果を閲覧してはならない

厚生労働省のストレスチェック指針にもあるように、受検者の解雇や昇進、異動などの権限をもつ管理者は結果を閲覧できないことにも注意が必要です。同様に、ストレスチェックの実施業務にも従事できません(※)。

人事権をもつ者がストレスチェックの結果を閲覧できると、健康情報を理由に受検者の意に反した人事が行われる可能性があるためです。たとえば「結果を見る限りこの人はストレス耐性がないから、リーダーポジションに昇進させるのはやめておこう」といった人事判断はあってはなりません。

「ストレスチェックの結果が人事判断に反映されている」と従業員に悟られれば、今後のストレスチェックの実施が難しくなる恐れもあるでしょう。

正確なストレスチェックを行うためにも、人事権をもつ管理者がストレスチェックの結果を閲覧できない体制を整えて、その事実を受検者が認識するまで周知する必要があります。

(※)「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(厚生労働省)

ストレスチェックによる不当な取り扱いをしない

ストレスチェックの結果による不当な取り扱いは法律で禁止されています。

労働安全衛生法第66条の10第3項で、「ストレスチェックの面接指導を申し出たことによる不当な扱いをしてはならない」と定められています(※1)。また、ストレスチェックの結果のみを理由とした不当な取り扱いも厚生労働省で禁止されています(※2)。

なお、不当な取り扱いとは、次のようなものを指します。

  • 解雇
  • 契約の雇い止め
  • 退職勧奨
  • 配置転換や役職変更

上記以外でも労働関係法令に違反する措置を講ずることは、一般的に合理的ではないと判断されるため禁止されています。

ストレスチェックは、法令や厚生労働省の指針に違反しないように実施しましょう。

(※1)「労働安全衛生法 第66の10第3項」(e-GOV法令検索)
(※2)「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について」(厚生労働省)

ストレスチェックを適切に行い従業員のメンタルヘルスを守ろう

ストレスチェックとは、従業員のメンタルヘルスを守るために事業者が行うストレス検査のことです。

従来は50人以上の事業場で義務付けられていましたが、2028年ごろには50人未満の事業場でも義務付けられる予定です。

従業員のメンタルヘルスを守り、安定した雇用を生み出せれば、継続的な企業の成長が見込める上、採用コストも抑えられるでしょう。

従業員のメリットだけではなく経営面からのメリットも鑑みて、適切なストレスチェックは重要といえます。

なお、当社が運営するサービス「ハピネスパートナーズ」には、個人・集団のストレスチェックの結果を分析する機能があります。

ストレスチェックの分析に手間がかかるとお悩みの人事労務担当の方は、ぜひハピネスパートナーズの利用をご検討ください。

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