【千の提言#2】シーズをニーズに変えるカゴメ流健康経営の推進法

ホワイト500/ブライト500を取得した企業は、どんな努力をし、どんな工夫をしているのか。千の提言第2回では、カゴメが行ってきた健康経営の結果や、そこから生まれた新たな事業の種について伺います。1回目で紹介した施策がどのような形で結実したのか、ご注目ください。
カゴメ株式会社
1899年に愛知県で創業された、日本を代表する野菜カンパニーで「自然を、おいしく、楽しく」という企業理念を掲げ、健康的な食生活の普及に貢献している。主にトマト製品や野菜ジュースを製造・販売するだけでなく、古くからトマトの栽培など、野菜の品種改良等にも取り組む。現在では、健康志向の食品や飲料、調味料など幅広い商品ラインナップを展開中。近年ではカリウム・ナトリウムに注目した「ナトカリ比」の普及や、皮膚カロテノイド量を測定し、野菜の摂取レベルを測る「べジチェック®」など、健康経営の普及・外部発信にも力を入れている。
健康経営優良法人 受賞・認定歴
2018年度:ホワイト500認定
2019年度:ホワイト500認定
2020年度:-
2021年度:-
2022年度:ホワイト500認定
2023年度:ホワイト500認定
湯地 高廣(ゆじ・たかひろ)
事業企画本部
健康事業部 健康サービス開発グループ 課長
カゴメ社内の健康経営に精通しており、本人も健康経営エキスパートアドバイザーを持つスペシャリスト。社内の活動のほか、健康経営について企業・自治体・大学などに講義を行うなど普及にも力を入れている。オムライス検定2級の腕前で、オムライスづくりは家族に定評あり。

堅実な施策と独自施策の両輪が健康経営を進める
──実際に効果としてはどのような結果が出ているのでしょうか?
湯地様:カゴメは、前回お話したような各事業所によるポピュレーション・アプローチも積極的に行っていますが、もうひとつ、ハイリスク・アプローチの体制もしっかりと整えている点もお話させてください。
重症化リスクの高い従業員に対して、そのリスクを下げるアプローチを行っています。特に力を入れているのは健康診断の事後措置です。
健康診断の受診率もですが、その後の事後対応として、産業医の就業判定による①面談(産業医・保健師面談)、②要医療による受診勧奨(再検査・精密検査・治療)に加えて、③ハイリスク対応という項目を設けて、アプローチを行っています。

通達だけでなく、動画の発信等で必要性を周知した他、各事業所上長や健康管理担当から受診勧奨を行うことで、要医療対象者の受診率を94.9%(前年88.8%)まで向上させる事ができました。このようなハイリスク・ポピュレーションの2軸をぶらさずに続ける体制が評価いただいているポイントの一つかなと思っています。
──御社の中だけで留めておくのはもったいないくらい、多くの企業様に知っていただきたい体制や施策ですね。
湯地様:ありがとうございます。我々も健康経営に取り組む中で、新たに見えてきたものもあります。カゴメは「トマトの会社から野菜の会社に。」を長期ビジョンとして掲げ、「野菜をとろうキャンペーン」を皮切りに社外に向けて、野菜摂取の重要性を普及していますが、私たちも野菜をとろうというムーブメントになりました。
野菜摂取レベルを測定できるのがベジチェックです。皮膚に含まれるカロテノイドの量を計測することで、野菜摂取レベルを調べることが出来ます。健康経営の施策として野菜を摂ることを推奨しながら、健康事業のエビデンス獲得として、ベジチェックで計測、解析することで、論文・知財化を行うとともに、別の事業にもつなげていける。社内の健康経営の取り組みと、会社のビジョンを同時に進められる取り組みとして大きく飛躍しました。ベジチェックは2018年に導入、その後も、継続して社内外の健康経営推進に使用頂いております。

─健康を定期的に観測するには良いですね。エムスリーの場合、健康診断結果からの健康スコア「EBHS Life(エビス・ライフ)」がありますが、これはどちらかと言うと1年に一回の定点観測になりますが、ベジチェックは日々の数値変化から健康状態を見える化するツールというわけですね。
湯地様:ベジチェックの値を目標値としておくことで、自分の行動を改めることにも繋がりますので、まさに日々のヘルススコアや行動変容ツールとしても使えると思います。
また、ベジチェックをつかった新しい取り組みとしては、『ナトカリ比改善プログラム』というものも始めています。どうしても塩(ナトリウム)を摂りすぎてしまう際に、野菜・果物・豆類に多く含まれるカリウムをとって、ナトリウムの排せつを促進しよう、ナトリウムとカリウムのバランスに注目したアプローチです。ナトカリ比は尿で測定する事ができます。
ナトカリバランスを整えるために、野菜の小鉢を足したり、野菜ジュースを加えたり、日常生活での方法をお伝えしております。



「ナトカリマップ®」は東北大学とカゴメ㈱が特許権と商標権を共有しています。
ナトカリ比改善プログラム|サービス|カゴメの健康サービス事業 (kagome.co.jp)
─御社の施策は、一貫して『楽しさ』と『数値化』にこだわられているんですね
湯地様:やはり、お客様に近い仕事をしているせいでしょうか、誰しもが受け入れやすいのは、「楽しさ」や「喜び」、「嬉しさ」など、ポジティブな感情だと思います。これをそのまま従業員の健康経営に当てはめ、さらに次の芽を作るために、しっかりと数字を取っていく。これが健康経営の基本と言えるかもしれませんね。
千の提言シリーズ
取り組む企業が16,000社を超えた健康経営。 そのお手本とも言える「ホワイト500」「ブライト500」企業は どんな失敗をし、何に悩み、どう成功パターンを発見したのか。 各企業の担当者に秘伝とも言える話を伺います。







