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受診後の措置が重要に。産業保健活動で目指すべき健康診断結果対応

公開日: 2024.2.22
更新日: 2026.2.19
受診後の措置が重要に。産業保健活動で目指すべき健康診断結果対応

産業保健における活動の中でも健康診断に関する業務は多岐にわたります。従業員が受診した時点で終わりではなく、受診後もやるべきことは続くのはご存知のとおりかもしれません。今回は、一般検診後に行うことになる二次健康診断や保健指導、産業医面接など、診断結果が出た後に対応すべき、一連の流れについて解説します。

産業保健活動を健全に進めるために必要な健康診断の種類

健康診断 要精密検査

健康診断には大きく分けて「特殊健康診断」と「一般健康診断」の2種類が存在します。特殊健康診断は有害業務に従事する労働者が受ける健康診断である一方、「一般健康診断」は職種など仕事の種類や勤務時間に関係なく全職種に対して実施される健康診断で、年に1回の実施が義務付けられています。

一般健康診断とは、従業員の雇い入れ直前または直後に実施する「雇入時の健康診断」、1年以内ごとに1回実施する「定期健康診断」が代表例で、両者とも下記の11項目が検査の内容になります。

  • 既往歴及び業務歴の調査
  • 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  • 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  • 胸部エックス線検査
  • 血圧の測定
  • 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
  • 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
  • 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
  • 血糖検査
  • 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  • 心電図

基本的な項目は同じですが、雇入時健康診断は検査項目を省略することができず、11項目すべて実施する必要がある一方で、定期健康診断は医師が必要でないと認める場合には、身長や腹囲、胸部X線検査、喀痰検査、貧血検査、肝機能検査、血糖検査、心電図検査などを省略することができます。

結果が企業に届いたら……健康診断実施後に行うべき実務の流れ

健康診断の実施後は、診断結果をもとに必要な措置を行っていく必要があります。健全な産業保健・健康経営推進のために、診断後の対応について確認していきましょう。

診断結果の受領と異常所見のチェック

健康診断後には、健診機関から診断結果を受け取ります。企業に直接届けられるケース、従業員の自宅に送付されるケースなど方法はさまざまですが、後者の場合は従業員に結果の提出を依頼しなければなりません。また、法定項目の結果については法令義務の遂行に必要なため、本人の同意なしに取得が認められていますが、人間ドックなどの法定外項目は本人の同意が必要となります。取得目的や取り扱いに関して従業員へ伝えた上で、スムーズに受け取れる体制を作りましょう。

結果を受け取ったら、各従業員について異常所見の有無を確認します。異常所見がある場合は、健診結果の項目に「経過観察」「要再検査」「要精密検査」「要治療」といった判定が記載されています。

従業員への結果通知&二次健康診断の勧奨

診断結果が健診機関から企業人事に直接提供される場合は、人事担当者から従業員各々に配布します。その際には個人情報保護の観点から、デスクに放置したり、第三者に依頼したりするのは避けましょう。所見の有無にかかわらず迅速に通知することが、労働安全衛生法により定められています。

一般健康診断の結果、検査値に異常所見が見受けられる従業員は、詳細な状態を検査する二次健康診断や、発症予防対策のための特定保健指導を奨めましょう。あくまでも任意であり強制力はありませんが、安全配慮義務に基づき、企業は従業員へ受診を勧奨する立場にあります。無料受診できるものもあるので、調べておくとよいでしょう。

また、健康経営度調査票では、特定保健指導の実施率は確認されます。また、特定保健指導の実施が10%を切るなど低い場合、健保へペナルティが科されますので、そちらの面でも注意しましょう。

医師等からの意見聴取

健康診断の結果、異常の所見があると診断された従業員については、必要な対応について医師等から意見を聴取します。産業医がいる企業は産業医へ相談、産業医の選任義務がない50人未満の企業なら、従業員の健康管理に必要な知識を有した医師に相談しましょう。医師の意見を聴取することで、就業上に対策を講じる必要性の有無、また対策の内容などについて判断を仰ぐことができます。

医師の意見に応じて、従業員の労働環境や労働時間、作業負荷の状況などについて、情報と職場巡視の機会を医師に提供することも考えられます。

今後の就業について事後措置を決定&実施

医師の意見を聴取した後、就業上の対策を講じます。これには「通常勤務」「就業制限」「要休業」の3つの判定区分があります。必要な措置については、医師の意見を踏まえつつ企業で判断をします。判断に際しては、衛生委員会が設置されていれば、医師や従業員の意見聴取の内容について委員会で審議を行うとよいでしょう。

対策の決定後、その内容を産業医に報告し、実行に際しては産業医や衛生管理者、人事担当者などの産業保健スタッフ間で継続的な情報共有や意見交換、サポートを行っていく必要があります。

健康診断後の結果対応に関する企業の義務

産業医の面談イメージ

健康診断後に行う対応のなかには、企業に義務付けられていることもあります。あらためて下記にまとめて解説します。

健康診断結果の保存

定期健康診断の実施後は、その結果をもとに健康診断の個人票を作成し、5年間保存する義務があります。

産業医・保健師による保健指導

企業は、健康診断の結果に異常所見が認められた従業員に対して、産業医・保健師による保健指導の実施に努める義務があるとされています。現時点では喫緊の対応が必要ないという結果でも、放置して将来的に健康状態が悪化する懸念が認められる項目については、産業医や保健師による保健指導の実施は重要になります。従業員の意見を尊重しながら、改善に向けた自発的な行動を促すようにしましょう。

産業医による就業判定

健康診断の結果、異常所見のある従業員に必要な対応について産業医の意見を仰ぐことが義務付けられています。そのため、健康診断結果を産業医とスムーズに共有できる体制が欠かせません。また、健康診断結果は直近のものだけではなく、過去のデータも合わせて確認できるよう管理・保管しておくことも重要です。最近では特に健診結果をデータ化し、いつでも閲覧、分析可能にしておくことが求められるケースが増えています。

労働基準監督署への報告書の提出

定期健康診断を実施した際は、所轄の労働基準監督署に報告書を提出する必要があります。

企業が高い生産性を維持していくためのベースには従業員の健康がある、と言っても過言ではありません。その健康を守るために、健康診断とその結果をふまえた対応は最も基本的、かつ重要な役割だと言えるでしょう。企業は健康診断の実施はもちろん、結果をふまえた対応を適切に実施し、従業員の健康回復を支援する必要があることを知っておきましょう。

<参考URL>

健康経営/産業保健

健康経営/産業保健コラムシリーズ

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