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健康経営で採用力強化!メリットとZ世代を惹きつける具体策

公開日: 2026.3.12
更新日: 2026.3.12
健康経営で採用力強化!メリットとZ世代を惹きつける具体策

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少により、多くの企業が深刻な人材確保の課題に直面しています。新卒採用、中途採用を問わず、優秀な人材を獲得するための競争は激化の一途をたどっており、従来の給与や待遇面だけのアピールでは求職者を振り向かせることが困難になっています。

このような状況下で、採用戦略の強力な武器として注目を集めているのが「健康経営®」です。健康経営とは、従業員の健康保持・増進への取り組みをコストではなく、将来の収益性を高めるための経営投資として捉える考え方です。本記事では、健康経営が採用活動にどのようなメリットをもたらすのか、そのメカニズムと具体的なアピール手法、そして陥りがちなリスクまでを網羅的に解説します。自社の採用力に課題を感じている人事担当者や経営層の方々は、ぜひご一読ください。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。関連ページ:
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健康経営が採用活動にもたらす3つの強力なメリット

健康経営の実践は、企業の採用力向上において極めて論理的かつ効果的なアプローチとなります。ここでは、健康経営が採用活動にもたらす3つの主要なメリットを解説します。

企業ブランディングの向上と「ホワイト企業」としての認知

健康経営への積極的な取り組みは、従業員を大切にする企業姿勢の表れであり、強力な企業ブランディングとして機能します。特に近年、SDGsやESG投資への関心が高まる中、従業員の健康やワークライフバランスを重視する姿勢は、社会的な企業価値を向上させます。求職者にとって、企業が健康経営を推進しているという事実は、コンプライアンス意識が高く、従業員第一主義を掲げる「ホワイト企業」であることの証明となります。これは、単なるイメージアップにとどまらず、企業の誠実さを示す強力なシグナルとなります。

求職者(特にZ世代)の応募数・エントリー率の増加

情報の非対称性が存在する採用市場において、求職者は常に「入社後に過酷な労働環境が待っているのではないか」というブラック企業リスクを警戒しています。健康への投資姿勢や、後述する第三者評価(認定制度など)は、このリスクを排除するための重要な判断基準です。特に、働く環境や自身のウェルビーイングを重視するZ世代の学生や求職者に対しては、健康経営の取り組みが安心感を与え、結果として応募数やエントリー率の増加に直結します。自社の魅力づけに欠落を感じている企業にとって、健康経営は早急に取り組むべき施策といえます。

内定承諾率の向上と入社後ギャップの軽減

採用プロセスが進み、複数の企業から内定を得た候補者が最終的な決断を下す際、決め手となるのは「この会社で長く、健康に働き続けられるか」という確信です。面接や面談の場で、健康経営を通じた具体的な働きやすさやサポート体制を伝えることで、候補者の不安を払拭し、内定承諾率を向上させることができます。また、入社前に企業のリアルな労働環境や健康への配慮を理解してもらうことで、入社後の理想と現実のギャップが軽減され、早期離職を防ぐ効果も期待できます。

求職者・学生は企業の「健康経営」をどう見ているのか?

採用市場における健康経営の重要性を理解するためには、求職者側の視点を知ることが不可欠です。市場の価値観は確実に変化しています。

経済産業省等のアンケートデータに基づく就活生の意識調査

経済産業省が公表している「健康経営の推進について」などの資料に示された就活生の意識調査によると、就職先を選ぶ際に「従業員の健康や働き方への配慮」を重視する学生は非常に高い割合を占めています。客観的なデータは、健康経営が決して企業側の自己満足ではなく、市場から強く求められている要件であることを証明しています。現代の労働市場において、心身の安全性が担保されていることは、企業選びの最低限の基準となっています。

経済産業省 健康経営の推進について

給与と同等、あるいはそれ以上に重視される「働きやすさ」

かつては、給与の高さや仕事のやりがいが就職活動における最大のモチベーション要因でした。しかし現在では、ワークライフバランスやメンタルヘルスへの配慮を含む「働きやすさ」が、給与と同等かそれ以上に重視される傾向にあります。無理をして高い報酬を得るよりも、健康を維持しながら長く安定して働ける環境を求める求職者が増えているのです。健康経営は、単なる福利厚生の延長ではなく、採用市場からの退場を防ぐための必須の防衛策であるという認識を持つ必要があります。

親や家族(オヤカク)からの企業評価への影響

新卒採用においては、学生本人の意志だけでなく、親や家族の意見が就職先に大きな影響を与える「オヤカク(親への確認)」の重要性が増しています。親世代は、我が子が過重労働やハラスメントによって心身を壊すことを何よりも恐れています。そのため、企業が健康経営に真摯に取り組んでいる姿勢は、親からの信頼を獲得し、入社を後押しする強力な材料となります。家族からの賛同を得ることは、内定辞退を防ぐ上でも極めて有効です。

採用力強化に直結する「健康経営優良法人」認定制度

健康経営の取り組みを外部へ効果的にアピールするためには、国が実施している認定制度の活用が推奨されます。

健康経営優良法人認定制度の概要とランク

健康経営優良法人認定制度は、地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度です。企業規模に応じて「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」に分かれており、それぞれの部門で上位の企業には「ホワイト500」「ブライト500」といった特別な冠が付与されます。これらの認定は、自社の健康経営のレベルを客観的に測る指標となります。

ロゴマーク取得による視覚的アピール効果

認定を取得する最大のメリットの一つは、専用のロゴマークを自社の広報媒体で使用できる点です。数秒しか閲覧されない採用サイトや、情報量が制限される求人広告において、国がお墨付きを与えたロゴマークは、瞬時に企業の信頼性を担保するツールとして機能します。採用マーケティングにおける認証マークのROI(投資対効果)は非常に高く、視覚的なアピールは言葉で説明する以上の説得力を持ちます。

ハローワーク等での求人票における露出機会の拡大

健康経営優良法人に認定されると、ハローワーク等の求人票や一部の民間求人メディアにおいて、認定企業であることを明示できたり、検索軸で優遇されたりするケースがあります。これにより、多くの求人情報の中に埋もれることなく、自社の求人をターゲット層へ効果的に届けることが可能になります。認定取得という明確なゴールを設定することは、社内の推進体制を強化し、次のアクションへと繋がる強力な動線となります。

採用活動で健康経営を効果的にアピールする具体策

健康経営優良法人認定を取得しても、それを適切に求職者へ届けなければ意味がありません。カスタマージャーニーを意識したデリバリー戦略が重要です。

採用ピッチ資料や求人広告への具体的な記載方法

多くの企業が陥りがちな失敗は、認定のロゴマークをコーポレートサイトの片隅に貼るだけで満足してしまうことです。アピールを最大化するためには、採用ピッチ資料や求人広告の目立つ位置に健康経営の取り組みを具体的に記載する必要があります。例えば、「有給取得率〇〇%」「残業時間〇〇時間削減」といった定量的なデータに加え、独自の健康支援制度(ジム補助、健康ランチの提供など)を分かりやすく提示することが効果的です。

オウンドメディアやSNSを通じた従業員のリアルな声の発信

求職者は、企業が発信する公式情報だけでなく、実際に働く従業員のリアルな声を求めています。自社のオウンドメディアや公式SNSを活用し、健康経営の恩恵を受けている社員のインタビュー記事や動画を発信することが有効です。「育児休業から復帰して働きやすい」「メンタル不調時に手厚いサポートを受けた」といった生の声は、求職者の共感を呼び、企業の透明性と信頼性を高めます。

面接官の教育(健康経営の理念を語れるか)

採用活動における最大のタッチポイントは面接です。経営陣や人事担当者だけでなく、現場の面接官全員が自社の健康経営の理念や取り組みを自分の言葉で語れる状態にしておく必要があります。面接の場で候補者から働き方について質問された際、面接官がしどろもどろになったり、実態と異なる回答をしてしまっては、これまでのアピールが全て水泡に帰します。面接官に対する事前の教育と情報共有は必須の施策です。

健康経営の導入が定着率(離職防止)に与える相乗効果

採用活動は、人材を入社させることがゴールではありません。入社後の定着と活躍を見据えた視点が不可欠です。

採用コストの無駄を防ぐリテンション効果

苦労して人材確保を行っても、すぐに退職されてしまっては採用コストが掛け捨てになってしまいます。高い離職率は「穴の空いたバケツ」のような状態であり、そこに新規採用という「水」を注ぎ続けるのは非効率です。健康経営を推進し、働きやすい環境を整備することは、従業員のリテンション(引き留め)に直結し、無駄な採用コストの流出を防ぎます。健康経営は、その穴を塞ぐための最良の手段といえます。

メンタルヘルス不調による早期離職の防止

現代の企業において、メンタルヘルスの不調による休職や退職は深刻な課題です。特に新入社員や中途入社者は、新しい環境でのストレスから心身のバランスを崩しやすい傾向にあります。健康経営の一環として、産業医との連携強化やストレスチェックの集団分析を活用した職場環境の改善を行うことで、メンタルヘルス不調を未然に防ぎ、早期離職のリスクを大幅に低減させることができます。自社での対応が難しい場合は、専門資格を持ったスタッフによるEAP(従業員支援プログラム)の導入や、ストレスチェックに伴う組織分析・面談指導のアウトソーシングを活用するのも有効な手段です。

従業員支援プログラムEAPの資料をダウンロード

従業員エンゲージメントの向上とリファラル採用への発展

健康経営を通じて会社から大切にされていると実感した従業員は、企業に対する帰属意識やエンゲージメントが高まります。エンゲージメントが高い組織では、従業員が自社の魅力を知人や友人に紹介する「リファラル採用」が自然発生的に活発化します。既存社員からの紹介はマッチングの精度が高く、採用コストも抑えられるため、非常に効率的な採用手法です。「採用」から「定着」、そして「新たな採用」へと繋がるポジティブな連鎖は、経営層に対する健康経営投資の正当性を強固なものにします。

従業員のエンゲージメントを高め、リファラル採用に繋がる「いきいきとした職場」を作るための具体的な実践方法は、『【産業医監修】ワーク・エンゲイジメント いきいきした職場づくりの方策』で詳しく解説しています。

「名ばかり健康経営」がもたらす採用レピュテーションリスクとSNS時代の炎上構造

健康経営はメリットばかりではありません。実態が伴わない表面的な取り組みは、企業に致命的なダメージを与えます。

アピールと実態の乖離が引き起こす致命的な認知的不協和

「健康経営優良法人」のロゴを掲げ、「働きやすいホワイト企業」をアピールしているにもかかわらず、実際には長時間労働が常態化し、ハラスメントが横行している。このようなアピールと実態の乖離は、入社した従業員に強烈な認知的不協和を引き起こします。期待が高かった分、裏切られたと感じた際の反発は大きく、組織に対する不信感は決定的なものとなります。

口コミサイト(OpenWork等)やSNSでの内部告発によるブランド毀損

現代は、誰もが情報発信者になれるSNS時代です。実態の伴わない名ばかり健康経営は、退職者や現役の従業員によってOpenWork等の企業口コミサイトやX(旧Twitter)などで容易に告発されます。一度ネット上に拡散されたネガティブな情報は「デジタルタトゥー」として半永久的に残り、企業のブランドを深刻に毀損します。採用候補者は必ずと言っていいほどこれらの口コミを確認するため、レピュテーションリスク(風評被害)は採用活動において致命傷となります。

採用ストップから業績悪化へ至る負の連鎖と回復コスト

炎上や悪評の定着により採用ブランドが失墜すると、応募数は激減し、内定辞退が相次ぎます。人材が確保できなければ事業計画の達成は困難になり、既存社員へのしわ寄せがさらなる離職を招くという負の連鎖に陥ります。一度失った信頼を回復し、再び採用市場で競争力を持つためには、膨大な時間とコストが必要となります。制度の認定取得を目的化するのではなく、本質的な組織風土の変革を伴う真の健康経営を実践することが求められます。

まとめ:健康経営は採用難を勝ち抜くための不可欠な経営投資である

これまでの解説の通り、健康経営は企業に多大な恩恵をもたらす一方で、形骸化すれば大きなリスクを伴う取り組みです。

採用力強化・定着率向上・リスク回避という3つの価値の再確認

健康経営は、優秀な人材を引き付ける「採用力の強化」、入社後の活躍と離職を防ぐ「定着率の向上」、そしてブラック企業というレッテルや炎上を防ぐ「リスク回避」という3つの側面で、企業の採用戦略において極めて重要な役割を果たします。労働力不足が慢性化するこれからの時代において、従業員の健康を守ることは、企業が存続するための最低条件となっています。

小手先のテクニックではなく、経営戦略としてのトップコミットメントの重要性

採用活動を有利に進めるためだけの小手先のテクニックとして健康経営を利用すべきではありません。人的資本経営の考え方に基づき、経営トップが自らコミットメントを示し、全社を挙げて組織風土の変革に取り組む姿勢が不可欠です。トップの強い意志が現場に浸透して初めて、健康経営は真の効果を発揮し、企業の持続的な成長を支える基盤となります。

次の具体的なアクション(現状把握、認定取得へのロードマップ策定)の提示

採用難という課題を根本から解決するために、まずは自社の健康課題の現状を正確に把握し、経営層を巻き込んだプロジェクトを発足させましょう。そして、健康経営優良法人の認定取得を一つの目標としてロードマップを策定し、具体的な取り組みをスタートさせることが重要です。健康経営は単なるコストの増加ではなく、企業の未来を創る最も利回りの高い経営投資です。しかし、限られたリソースの中で現状把握から認定取得までを推進するのは容易ではありません。着実に成果を出すために、健康情報のデータ一元管理や、専門家による『健康経営コンサルティング』など、外部パートナーのワンストップ支援を活用することもぜひ検討してみてください

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出典・参考文献:経済産業省:「健康経営の推進について」https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

健康経営/産業保健

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