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産業医によるメンタルヘルス対策が重要に。企業でのサポート内容を紹介

2024.1.23
産業医によるメンタルヘルス対策が重要に。企業でのサポート内容を紹介

「従業員のメンタル不調が増えてきたが、産業医にどこまで相談して良いのかわからない」
「主治医の診断書と、産業医の意見が食い違ったらどうすればいい?」

近年、企業のメンタルヘルス対策において産業医の重要性は高まる一方ですが、その具体的な活用法や役割分担に悩む人事・労務担当者は少なくありません。

本記事では、産業医と精神科医(主治医)の決定的な役割の違いから、休職・復職対応の具体的な実務フロー、そしてメンタルヘルス対策に強い産業医の選び方まで、企業側が押さえるべきポイントを網羅的に解説します。


1. そもそも何が違う?「産業医」と「精神科医(主治医)」の役割

メンタルヘルス対応において、人事が最も混乱しやすいのが「病院の先生(主治医)」と「会社の先生(産業医)」の役割分担です。両者は「目的」と「判断基準」が明確に異なります。

治療のプロ(主治医)と就業判定のプロ(産業医)

項目精神科医・心療内科医(主治医)産業医
立場患者(従業員)のサポーター会社と従業員の「中立」な立場
主な目的「病気の治療・回復」「就業可能かどうかの判断」
判断基準日常生活が送れるようになったか会社の求める業務遂行能力があるか
企業への影響診断書の発行(医学的な見解)意見書(就業上の措置提案)

主治医はあくまで「患者の味方」であり、医学的な回復を最優先します。一方、産業医は「その回復度合いで、この会社の業務が務まるか、再発しないか」を、職場環境も加味して判断します。

この違いを理解していないと、「主治医は復職OKと言っているのに、なぜ産業医は止めるのか?」といったトラブルが発生しがちです。


2. メンタルヘルス対策における産業医の主な業務内容

多くの産業医は、それぞれ診療科を持っていますが、産業医として働くにあたり、企業で働く従業員の心と体を守り、ケアする方法を学んでいます。いわば、企業にとってのホームドクターと言える存在です。

なかでも、メンタルヘルス対策に関しては、年々需要が高まっているのが実状です。産業医が実施する業務は多岐にわたりますが、代表的なものを見ていきましょう。

健康診断後の面接

健康診断後、異常が認められた従業員に対して面接指導を行います。異常の所見があった従業員には、企業は3カ月以内に医師による意見聴取、いわゆる面談を受けさせなければいけません。健康診断の異常というと、一般的に検査値の悪さを指摘するものになると考えがちですが、問診などからメンタルヘルスの不調に関しても確認しています。

面談後には、企業に対して「通常勤務可能」「就業制限」「要休業」といった就業に関する意見書を作成し、提出します。

長時間労働者への面接指導

時間外・休日労働時間が月80時間以上で、かつ疲労が蓄積されていると認められた長時間労働者には、産業医による面接指導が行われます。近年では、労働時間の長さとメンタルヘルスとの関係性が明らかになっており、重要視されています。

ストレスチェックの実施

ストレスチェックは代表的なメンタルヘルス対策の一つで、従業員数50人以上の企業には、その実施が義務付けられています。産業医はストレスチェックの実施者になることができるため、担当するケースも少なくありません。

ストレスチェック後の面接(高ストレス者面談)

ストレスチェックの結果、「高ストレス者」と判断された従業員から申し出があった場合、医師による面接指導を実施します。産業医は質問を通して従業員のストレスの状態を把握し、場合によっては生活指導や働き方の指導、医療機関の受診推奨などを行います。

健康管理体制整備に向けたアドバイス

各種のメンタルヘルス対策の実施に際して、適宜事業者にアドバイスをすることも産業医の役割です。


3. 【実務フロー】メンタル不調者の休職から復職まで

実際にメンタル不調により休職が必要になった場合、産業医とはどのようなタイミングで連携すべきでしょうか。一般的なフローを紹介します。

STEP 1:不調の把握と初期対応

従業員からの申告や、勤怠の乱れ、管理者からの報告で不調を把握します。

  • 産業医の動き: 本人と面談し、受診勧奨や就業制限(残業禁止など)の必要性を判断します。

STEP 2:休職の判断

主治医から「休職が必要」という診断書が出された場合、会社として休職を命じます。

  • 産業医の動き: 診断書の内容を確認し、休職期間中の過ごし方や、会社との連絡頻度について人事へ助言します。

STEP 3:休職中の経過観察

治療に専念してもらいつつ、定期的に状況を確認します。

  • 産業医の動き: 必要に応じて本人と面談、または人事担当者を通じて状況を把握し、復職の目処を探ります。

STEP 4:復職の判定(※最重要フェーズ)

主治医から「復職可能」の診断書が出た後、最終的なGoサインを出すのは会社です。

  • 産業医の動き: 主治医の診断書情報に加え、本人と面談を行い「本当に業務に耐えうる状態か」「通勤は可能か」「集中力は戻っているか」を厳しくチェックし、会社へ意見具申します。

STEP 5:復職後のフォロー

復職直後は再発リスクが高いため、慎重なフォローが必要です。

  • 産業医の動き: 定期的に面談を行い、業務負荷が適切か、体調が悪化していないかを確認し、必要に応じて業務調整を提案します。

4. 産業医面談における「報告義務」と「守秘義務」

産業医は企業に雇用されているため、従業員からは「ネガティブな内容を話すと人事評価に影響するのではないか」と警戒されることがあります。ここで重要になるのが「守秘義務」「報告義務」のバランスです。

労働安全衛生法には、産業医の守秘義務と報告義務の両方が記載されています。

  • 守秘義務: 労働者の同意がない限り、個人の詳細な健康情報を企業側へ伝えてはならない。
  • 報告義務: 労働者が健康で安全に働ける状態か(就業判定の結果など)を企業に報告する義務がある。

基本的には「守秘義務」が優先されます。面談の具体的な内容(家庭の事情や詳細な病状など)については、本人の同意がない限り企業側へ伝えられることはありません。

ただし、本人や周囲の人の命に関わる場合などは、人命優先の観点から報告義務が優先されるケースもあります。産業医はあくまで「健康的な企業環境の保持」を最優先に業務を行っています。


5. 企業として行うメンタルヘルス対策のポイント

メンタルヘルス対策の実施にあたって、企業は職場全体の問題点の調査・審議を行い、「心の健康づくり計画」を策定することが重要です。産業医は衛生委員会に参加し、リスクの所在を把握・分析して対策を講じます。

メンタルヘルス問題には、従業員のさまざまなストレス要因があり、その程度も異なります。完全にゼロにはできないからこそ、各ケースに合わせて以下の3段階の対策が必要です。

  1. 未然の防止(一次予防):ストレスチェックや研修など
  2. 悪化の防止と治療(二次予防):早期発見と相談対応
  3. 治療後のスムーズな復職(三次予防):復職支援プログラムなど

メンタルヘルス問題は原因が複雑であり、職場以外の環境も影響するため、産業医の専門的知見を借りながら、広域の視野を持ってきめ細かくケアすることが求められます。


6. 人事担当者が「メンタルヘルス対応」を産業医に依頼するメリット

「ただの法律上の義務だから」という理由だけで産業医を選任するのは機会損失です。メンタルヘルス対応を産業医と連携して行うことには、経営上の大きなメリットがあります。

① 安全配慮義務の履行と法的リスクの回避

企業には、従業員の健康を守る「安全配慮義務」があります。メンタル不調を放置して労災や訴訟に発展した場合、企業のリスクは甚大です。専門家である産業医と連携し、記録を残しておくことは、企業を守る防波堤となります。

② 「再休職」の防止(スムーズな復職)

メンタルヘルス不調は再発率が高いのが特徴です。主治医の診断だけで安易に復職させ、すぐに再休職してしまうケースは後を絶ちません。職場の実情を知る産業医が「就業判定」を行うことで、無理のない復職を実現し、定着率を高めることができます。

③ 職場全体の生産性向上

産業医による職場巡視やストレスチェック分析を通じて、「誰もが働きやすい職場環境」を作ることは、結果として従業員全体のパフォーマンス向上につながります。


7. メンタルヘルスに強い産業医の選び方・見極め方

すべての産業医がメンタルヘルスに詳しいわけではありません。内科や外科が専門で、「メンタル対応は苦手」という医師も存在します。選任時や切り替え時には、以下のポイントを確認しましょう。

  • 精神科・心療内科の知識があるか: 専門医である必要はありませんが、メンタル対応の研修を受けているか、経験が豊富かは重要です。
  • 「傾聴」のスキルがあるか: 従業員が安心して話せる雰囲気を持っているか、威圧的でないかは面談の効果を左右します。
  • 人事担当者と密に連携できるか: 守秘義務を守りつつも、会社として必要な情報を適切に共有してくれるパートナーシップが求められます。

まとめ:産業医との連携が企業の「健康経営」を支える

メンタルヘルス対策は、人事担当者だけで抱え込むには荷が重すぎる課題です。 「治療」ではなく「就業」の観点からアドバイスをくれる産業医は、人事にとって最強のパートナーになり得ます。

もし現在、「産業医がメンタル相談に乗ってくれない」「復職判定があいまいで困っている」という課題をお持ちであれば、メンタルヘルス対応に強い産業医への変更や、スポットでの依頼を検討する時期かもしれません。

産業医と進める健康経営について詳しく知りたい方はこちらのホワイトペーパーも併せてご確認ください。

https://go100.jp/resources/wp10/

<参考URL>

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