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健康診断で見つかったときにはどうすればいい?便潜血への対応方法

2024.2.6
健康診断で見つかったときにはどうすればいい?便潜血への対応方法

企業の定期健康診断や自治体のがん検診で行われている「便潜血検査」。 通常、食物が便として排泄される過程で便に血が混じることはないため、この検査でひっかかり陽性と判定された従業員は、その後どんな対応をする必要があるのでしょうか。今回は、便潜血についてや、その検査をする意味、さらには陽性判定になった場合について詳しく解説します。

そもそも便潜血とは?検査で陽性判定になったら……

健康診断 要精密検査

便潜血検査は、便に混じった血液の成分を調べる検査です。そもそも便に血液が混ざっているかどうかを判断するのは難しいものです。排便時に出血量が多ければ、視認して容易に判断が可能ですが、出血が少量だと肉眼ではわかりません。そこで採取した便に試薬を混ぜ、その変化で血液の混入判定を行うのが便潜血検査です。便を少量採取するだけで検査できるため、がん検診や人間ドックでは「大腸がん」のリスクが高い人をスクリーニングするために広く行われています。検査精度を上げるために、2日分の便を採取する「2回法」が一般的となっています。

便潜血検査が陽性であった場合には、精密検査を行うことが大変重要になります。というのも、便潜血には「大腸がん」のリスクがあるためです。しかし、陽性判定を受けたにもかかわらず、適切な精密検査を行わずにそのまま放置してしまうケースも少なくありません。自覚症状がないため、「硬い便で肛門が切れただけ」「昔からの痔が原因」などと自分に都合よく解釈して、精密検査を受けない人も多いのではないでしょうか。

近年、大腸がんはがんの中でも増加しており、脂肪が多く食物繊維の少ない食生活が主な原因だといわれています。比較的症状が軽く治療も容易ながんであり、便潜血が見つかったことで精密検査を受け、早めに適切な治療を行ったことで無症状のうちに治癒することができたという例も少なくありません。しかし、自覚症状が乏しいため、発見が遅れれば死亡率も高まっており、現在日本のがんの死亡数で女性の1位、男性の2位となっています(2021年)。もし、自社の従業員が便潜血で陽性になったら、早めに精密検査を受けるよう促す体制を整えておくことが望ましいでしょう。

ちなみに、便潜血検査ではヒトヘモグロビンのみに反応する試薬を用いるため、肉や魚の血液には反応しません。食道や胃からの血液は消化液によって変性するため便潜血検査では検出されず、大腸からの出血のみを検出します。

便潜血検査で陽性になったら、大腸カメラによる精密検査が有効

2日分の便のうち1回でも陽性となった場合は、大腸カメラ(=大腸内視鏡)での検査を受けたほうよいでしょう。他にもカプセル内視鏡・大腸CT検査・大腸バリウム検査など、大腸検査の方法はさまざまありますが、精度の点においては大腸カメラが最も有効だといえます。特に5mm以下の大腸がん/ポリープを見つけることにおいては大腸カメラより優れた検査はありません。過去はカメラのサイズや精度などによって、肛門部や超内部に傷を作ってしまい、リスクを高める可能性がありましたが、近年ではそれらのリスクは大幅に下がっているとされています。

上記のように、大腸カメラは大腸がんの発見に優れているので、一般的に大腸がんのリスクが上昇し始めるといわれる40歳を過ぎたら、便潜血が陽性にならなくても一度大腸カメラによる検査を受けておいた方がいいかもしれません。先述の通り大腸がんのほとんどが自覚症状のないまま進行していくので、大腸カメラは大腸がんの早期発見に役立つことに加え、便潜血の症状がなくても、その前のがん病変である大腸ポリープの発見・切除もできるためです。他にも、粘膜面の色調や細かい模様など、大腸内の状況を仔細に観察することができるのも大腸カメラの利点だといえるでしょう。

一方で、大腸カメラでの検査は非常に長時間に及びます。まず、前処置で腸管洗浄液と呼ばれる2000ml程度の液体を2~4時間かけて飲みます。この洗浄液を内服しながらトイレに何度も行って、大腸内を空にしておく必要があるのです。仕事で多くの業務を抱える人の場合は、こうした長時間の対応が難しく、なかなか検査を受けにくいのがデメリットだといえます。企業が便潜血陽性の従業員に積極的な精密検査を推奨するためには、スムーズに検査を受けることができるよう、業務上の配慮が必要になるでしょう。

大腸カメラによる精密検査は、どのくらいの頻度で受けるべき?

受付で問診をする医療スタッフ

便潜血で陽性判定後の大腸カメラ検査で問題がなかったとしても、翌年に便潜血で再び陽性となれば大腸カメラの検査は再度受けた方がよいでしょう。検査から1年の間に新しい病変ができるケースも少なくありません。1年の間に便に血が混じるくらいの出血がある病変だった場合は、悪性度が高い病変である可能性もあります。「昨年大丈夫だったから」と油断せず、再度精密検査を受けることが望ましいでしょう。

また、大腸カメラは精度の高い検査ではありますが、ある一定の確率で小さな病変などの見逃しがあると報告されており、その確率は10~20%程度ともいわれています。それゆえ、40歳以上になったら、数年に一度は定期的に受けるようにするのがおすすめです。

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