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受診勧奨とは? 実施すべき理由や流れ、受診率向上施策を合わせて紹介

2025.9.3
受診勧奨とは? 実施すべき理由や流れ、受診率向上施策を合わせて紹介

「受診勧奨とはどのようなものだろう」「なぜ受診勧奨を行うべきなの?」

受診勧奨について、上記のような悩みや疑問をもつ人事労務担当の方は多いでしょう。

受診勧奨とは、健康診断の結果から健康上の懸念がある従業員に、より精密な検査を勧めることです。受診勧奨を行って従業員の健康を守ることで、生産性向上や企業への信頼感向上の効果に期待できます。

この記事では受診勧奨の概要や企業が実施すべき理由、実施の流れなどについて解説します。この記事を参考に、受診勧奨への理解を深めて正しく実施しましょう。

受診勧奨とは?

受診勧奨とは、健康診断の結果にもとづき健康に懸念がある従業員に対して、より精密な検査ができる二次検査の受診を勧めることです。

具体的な企業の活動としては、健康診断の結果で「要精密検査」「要治療」などの判定が出た従業員に対して、メールや社内掲示、面談などで医療機関での受診を促すことが一般的です。

なお、受診勧奨と似た言葉に「受診勧告」があります。受診勧奨と受診勧告の違いは受診に対する強制力で、受診勧告の方がやや強制力が強いとされています。ただし、どちらも従業員に受診を強制できるものではないため、最終的に受診するかどうかは従業員の判断に委ねられます。

企業が受診勧奨を実施するべき理由

企業が受診勧奨を実施するべき理由は、従業員の健康を守ることが結果的に企業の生産性・信頼性向上につながるためです。

厚生労働省が公開している「定期健康診断結果報告」によれば、2023年(令和5年次)の健康診断結果における有所見率は58.9%です(※)。つまり、一般的な日本企業では10人中約6人が「要精密検査」や「要治療」などの診断を受けており、健康上の問題を抱えています。

このような状況下で企業が適切に受診勧奨を行うことは、従業員の重症化を防ぎ、長期的な休職や離職を未然に防ぐ有効な対策といえるでしょう。

なお、受診勧奨を行うことは企業にとって努力義務であり、仮に対応しなかったとしても罰則はありません。

ただし、多くの従業員が健康を損なえば、生産性の低下や社会的評判への悪影響などが発生する懸念があります。企業ブランディングや健康経営優良法人認定の観点からも、受診勧奨によって従業員の健康を守ることは重要です。

(※)「定期健康診断結果報告」{厚生労働省)

健康診断から受診勧奨までの流れ

健康診断から受診勧奨までの流れを4つのステップで解説します。

  1. 従業員に健康診断を受診させる
  2. 検診の結果を人事労務が確認する
  3. 有所見の従業員に受診勧奨を行う
  4. 受診勧奨を受けた従業員の実施結果を調査する

1. 従業員に健康診断を受診させる

受診勧奨の流れは、まず従業員に健康診断を受診させることから始まります。

企業は労働安全衛生法の第66条により、従業員に健康診断を受けさせる義務を負っています。企業が意図的に健康診断を受けさせない場合、同法第120条で罰金刑となるケースもあるため、従業員への受診案内や実施管理を徹底しましょう。

従業員の健康を守ることは企業の責任であり、法令を遵守するうえでも健康診断は必ず受診させなければなりません。また、健康診断は実施して終わりではなく、その後の取り組みが企業活動にとって重要であることも認識しましょう。

2. 検診の結果を人事労務が確認する

健康診断の結果が出たら、人事労務が結果を確認します。

健康情報は極めて個人的な情報であるため、プライバシーへの配慮が必要です。

人事労務の担当者や、受診勧奨を実際に行う直属の上司のみに有所見の部分を共有する程度が理想です。余計な検査結果の共有はしないようにしましょう。

3. 有所見の従業員に受診勧奨を行う

健康診断で「要精密検査」「要治療」などの所見がある従業員に対しては、人事労務や直属の上司から受診勧奨を行います。

メールや声かけ、産業医との面談など、さまざまな方法を組み合わせると受診率の向上が見込めます。

なかには健康診断の結果を軽視し、有所見の項目を放置したり、受診勧奨を拒否したりする従業員もいます。そのため、より多くの従業員に二次検査を受けてもらえるよう、伝え方を工夫しなければなりません。どのように伝えたらいいか悩む場合は、厚生労働省が作成した例文集が役立ちます。

4. 受診勧奨を受けた従業員の実施結果を調査する

受診勧奨を受けた従業員については、その後の実施結果を追跡調査をするとよいでしょう。追跡調査を行うことで、従業員の最新の健康状態を把握し、その後の企業活動に活用できます。

また、二次検査の受診率をもとに、受診勧奨の手段が効果的だったかどうかを判断できます。成果の出た施策を継続し、効果の薄い施策は改善することで、受診率のさらなる向上を目指せるでしょう。

有所見だった従業員の変化も把握できるため、突発的な離職の防止や、健康な従業員の継続雇用につなげられることも追跡調査のメリットです。

受診勧奨は二次検査の受診結果まで把握してこそ意味があります。ただ受診勧奨をするだけではなく、受診勧奨後の結果まで追いかけましょう。

なお、健康診断の受診状況管理やリマインド連絡は、健康管理システムを利用すると効率的です。ハピネスパートナーズなら健康診断のリマインドや結果管理、受診勧奨とその後の健康状態の管理までを1つのシステムで実施できるため、健康情報管理を効率的に行えます。

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受診勧奨値とは?

受診勧奨値とは、受診勧奨を行うべきと判断できる健康診断結果の数値判断基準のことです。

令和4年時点、厚生労働省が定める受診勧奨値は下表の通りです。

項目名保健指導判定値受診勧奨判定値単位
収縮期血圧130140mmHg
拡張期血圧8590mmHg
中性脂肪150300mg/dl
HDLコレステロール3934mg/dl
LDLコレステロール120140mg/dl
Non-HDLコレステロール150170mg/dl
空腹時血糖100126mg/dl
HbA1c(NGSP)5.66.5%
随時血糖100126mg/dl
AST3151U/L
ALT3151U/L
γ-GT51101U/L
e-GFR6045ml/分/1.73m²
ヘモグロビン値13.0(男性)12.0(女性)12.0(男性)11.0(女性)g/dl

参考:「受診勧奨判定値について」(厚生労働省)

健康診断の結果を見て、これらの判定値を超えている従業員がいれば受診勧奨を行うことが望ましいでしょう。なお、受診勧奨値は厚生労働省や医療関係者によって定期的に見直しが入るため、常に最新情報を追いかけて対応する必要があります。

従業員が受診勧奨を拒否する理由

受診勧奨をしても、中には二次検査の受診を拒否する従業員がいます。従業員が受診勧奨を拒否する理由は次のとおりです。

  • 自覚症状がなく危機感や問題意識を抱えていないから
  • 検査費用の負担を懸念しているから
  • 企業側の強制力がないから

それぞれの理由について、詳しく解説します。

自覚症状がなく危機感や問題意識を抱えていないから

自覚症状がなく危機感や問題意識を抱えていない従業員は、受診勧奨を拒否する場合があります。

健康診断で「要精密検査」「要治療」などの有所見となっても、本人に自覚症状がなければ「現状問題ないため受診は不要である」と自己判断するため、受診につながりにくいでしょう。

また、初期段階での検査や早期治療をすれば重篤な病気の予防につながるという認識が薄いことも、受診勧奨を拒否する理由として考えられます。

さらに、過去に同様の診断結果を受け続けてきた従業員の場合、「以前から同じ診断結果でも大きな問題はなかった」と診断結果を軽んじた判断をされがちです。

検査のための費用や手間が負担になるから

精密検査には一定の費用を要することや、検査にかかる通院の手間を負担に感じて受診しないケースも多いです。

企業が費用を負担し、業務時間内で実施する健康診断は、受診が義務化されていることもあって原則すべての従業員が受診します。

一方で、二次検査は費用が自己負担で、業務時間外、場合によっては有給を利用して受診しなければならず、費用や手間の負担を回避するため従業員は受診しない選択をとりがちです。

また、二次検査では精密検査を実施するため、費用が通常の診察よりも高額になる点も従業員にとって受診ハードルが高くなっていると考えられます。

企業側の強制力がないから

企業側が従業員に受診を強制できない点も、従業員が受診を拒否しやすい状況を作っています。

健康診断は法令により受診が義務付けられていますが、二次検査はあくまで本人の意思に委ねられます。また、あらかじめ就業規則に定めていない限り、企業が二次検査をしない従業員にペナルティを課すこともできません。

ただし、強制力がないからと受診勧奨をしなかった場合、企業の対応が安全配慮義務違反に該当する可能性もあるため、受診勧奨は怠らないようにしましょう。

二次検査の受診率を向上させるための施策例

従業員の二次検査受診率を向上させるための施策例は次のとおりです。

  • 二次検査費用を企業側で補助する
  • 就業時間内に二次検査を実施できる制度を設ける
  • 産業医や保健師に受診勧奨後のフォローを依頼する

それぞれについて、詳しく解説します。

二次検査費用を企業側で補助する

二次検査費用を企業側で補助すれば、費用負担が懸念だった従業員の受診率向上を目指せます。

二次検査の費用は高額になりがちであり、この費用負担が受診率を下げる大きな理由となっている可能性があります。企業が全額または一部を負担することで、「受診したいが金銭的に難しい」と感じていた層も受診しやすくなるでしょう。

一時的には企業の負担が増加しますが、従業員の健康維持により離職・休職リスクを下げられ、結果として採用・教育コストの削減にもつながる可能性があります。

就業時間内に二次検査を実施できる制度を設ける

就業時間内で二次検査を実施できる制度を設ければ、受診率の向上が見込めるでしょう。

二次検査を実施している医療機関の受診時間は、企業の営業時間と重なっていることが多く、受診のために有給休暇を利用しなければならないケースが多いです。しかし、「有給休暇はプライベートな用事のために利用したい」と考える従業員も多く、結果として受診率が向上しない原因になっています。

この問題への対策として、就業時間内に受診できる制度を設けることで、従業員が二次検査を受けやすい環境を作れます。「有給を消化せず検査を受けられるなら二次検査を受けよう」と考えるケースもあるため、受診率向上が期待できるでしょう。

産業医や保健師に受診勧奨後のフォローを依頼する

産業医や保健師によるフォローを受診勧奨後に行うことで、二次検査の重要性をより適切に伝えられ、受診率の向上が期待できます。産業医や保健師からのフォローがあれば、多角的、かつ専門的な視点から二次検査の重要性を伝えられて、従業員の二次検査に対する意識を変えやすいためです。

産業医や保健師は、従業員にとって中立的かつ専門性の高い立場です。そのため、「会社の都合で受診を勧められている」と受け取られがちな人事労務や上司の声かけよりも、信頼性をもって受け止められやすいでしょう。

専門家の立場からリスクや必要性を説明することで、従業員自身の受診に対する理解と納得が深まり、行動につながる可能性が高まります。

受診勧奨を積極的に行い従業員の健康を守ろう

受診勧奨とは、健康診断で有所見だった従業員に対して精密検査や二次検査の受診を勧めることです。

日本国内では、企業の従業員の有所見率が高い傾向にあるため、受診勧奨の重要性は高いと考えるべきです。しかし、受診勧奨を行っても費用や手間がかかることや、企業から従業員に強制できないことを理由として、従業員が二次検査を受けないケースも多いでしょう。

費用を会社が負担したり、業務時間内に検査できる制度を設けたりすることで従業員の二次検査の受診率向上を目指せます。

受診勧奨や健康診断事後措置で従業員の健康管理を徹底すれば、安定的な長期雇用と生産性の向上につながり、従業員と企業双方にメリットがあります。

より具体的な受診勧奨の例文や、産業医への結果提出の様式は以下からダウンロード可能です。フォーマットを利用して受診勧奨を積極的に行い、従業員の健康管理に努めましょう。

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