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「健康」の再定義から「経営」の動かし方まで。GO100サミットvol.4に学ぶ、本質的で実践的な健康経営

2025.8.18

2025年7月15日、エムスリー株式会社主催のオンラインカンファレンス「GO100サミット vol.4」が開催されました。今回のテーマは「エキスパート&トップ企業に学ぶ未来志向の健康経営優良法人対策」。健康経営の制度設計に黎明期から携わってきたエキスパートと、先進的な取り組みで成果を上げるトップ企業にご登壇いただきました。健康経営の社会的意義から、経営層を巻き込むための具体的な戦略、そして従業員一人ひとりに「自分ごと」として捉えてもらうための実践的なアプローチまで、多角的な視点から議論が交わされました。本記事では、その講演内容をより詳しく、深掘りしてお届けします。

ホワイト・ジャック・プロジェクト
エムスリーグループでは健康状態を数値化する新たなアプローチとして、健康指標スコアを開発・改良を重ねています。エビデンスとして活用できるレベルの高い医学データをもとに、健康診断や生活習慣の情報から相対的な余命を科学的に予測するという、今までにない、健康を科学するプロジェクトを推進しています。

「健康経営」の言葉の定義から考える社会的意義と今後の見通し

登壇者:一般社団法人社会的健康戦略研究所 浅野 健一郎 氏

第1部では、経済産業省と共に健康経営の制度設計に携わった経験を持つ、社会的健康戦略研究所の浅野先生が登壇しました。多くの企業が見過ごしがちな健康経営の根源的な意味と重要性について解説しました。まず、「健康経営」という言葉の成り立ちに言及します。

  • 経営:もともとは仏教用語で、「筋道を通してそれを行動で表すこと」を意味する。持続的に営むためには、目的(何のためにやるのか)を定め、戦略的に実行する必要がある。
  • 健康:WHO憲章では「肉体的、精神的、そして社会的にすべてが満たされた状態(well-being)」と定義されており、単に「病気でないこと」を指すのではないと明記されている。仕事の文脈では「生き生きと仕事をすること」と言い換えられる。

つまり健康経営とは、「従業員が生き生きと仕事ができる状態(健康)」を、「目的意識を持って戦略的に(経営)」実現していく活動であると述べました。

さらに、人の健康を決定づける要因について、遺伝や個人の健康行動、医療へのアクセスなどをすべて足し合わせても半分に満たず、残りの半分以上は個人が属する「社会」の特性が影響しているという研究結果を紹介。企業という「小社会」における社会的健康、すなわち社会的ウェルビーイングを構築することが、従業員の心身の健康の基盤となると強調しました。日本は「やる気のある社員」の割合が世界的に見て極端に低いというデータも示し、「やる気を起こさせない仕組みが日本にはあるのではないか」という問題も提起。健康経営を通じて、この構造的な課題を解決していく必要があると語っています。

「論理」と「感情」が経営層を動かすカギに
エムスリーキャリアのホワイト500戦略

登壇者:エムスリーキャリア株式会社 経営企画本部 本部長 兼 健康経営推進室 室長 椿山 えみ 氏

第2部では、本サミットの主催企業エムスリーのグループ企業であるエムスリーキャリアの椿山氏が登壇。「ホワイト500」初選定の舞台裏を、「論理」と「感情」という2つのキーワードで解き明かしました。同社は「イキイキと働く医療従事者を一人でも増やし、医療に貢献する」というミッションを掲げており、その実現のためにはまず自社の従業員がイキイキと働くことが不可欠だと考え、健康経営をスタートしています。その際に、最も重視したのが経営層に伝わりやすい「論理」的アプローチでした。論理的にいかに伝えるかを追求した結果、以下のツール活用に行き着いたといいます。

  • イロハニマッピング:施策の「効果」と「実行の容易さ」で優先順位を判断するために、施策を列挙して、マッピングしていく。
  • EBHS Life:エムスリーの開発した健康状態と生産性損失額を可視化する健康スコア。余命の予測など、健康無関心層も興味を持ちやすい仕組みを内包している。

また、経営会議での報告では、ROI(投資対効果)や予測効果など数値ベースで行い、他の事業企画と同様にすることで、承認を得やすくするティップスを紹介しました。また、戦略マップにも、独自の試みとして効果検証をしやすい項目を設定し、進捗状況を管理しやすくする工夫を施していました。

一方で、論理だけでは人は動かないと椿山氏は語ります。数値だけでなく、従業員の健康状態を良くしようという感情面を出すことで、「厳しい指摘は変わらないが、『従業員にとって有効なら試してみよう』というチャレンジャブルな雰囲気作りに成功した」と述べ、経営層と目的を共有し、共にゴールを目指す「仲間意識」の醸成が重要だったと振り返りました。ホワイト500達成を報告した際には、経営会議の場で満場の拍手が起こったそうです。

この「論理」と「感情」の両輪で推進体制を築いたことが、初年度の申請では遠い目標だったホワイト500の認定を3年で達成する原動力となりました。

産業医を主役に! 全社巻き込み型の日本キヤリア流の健康経営

登壇者:日本キヤリア株式会社 統括産業医 秋山 ひろみ 氏

第3部では、8年連続で健康経営優良法人に認定されている日本キヤリア株式会社の秋山先生が登壇。産業医という立場から、いかにして経営陣と全従業員を巻き込み、健康経営を文化として根付かせてきたかを語りました。同社の健康経営は、統括産業医である秋山先生自身が「社外からの評価を得て、活動を強化したい」と提案したことから始まったそうです。当初は経営変革の壁に阻まれることもありましたが、粘り強い交渉の末、社長署名入りの新たな「安全・健康経営宣言」を策定し、社長自らがメッセージ動画に登場するなど、経営トップの強力なコミットメントを獲得しました。

同社の特徴は、従業員が主役となるユニークな活動にあります。産業保健スタッフが労働安全衛生マネジメントシステム「ISO45001」の内部監査員資格を取得し、健康課題を会社の公式な目標・活動計画に組み込むことに成功したほか、従業員が従業員へと思いを伝えるイベントや、取り組みを重視して行っています。

  • 従業員が従業員に伝える「Stay Healthy CJC」:がんや生活習慣病、介護などを経験した従業員が自身の体験談を語り、知見を共有するワークショップをオンラインで開催。この「自分ごと」として共感できる取り組みは、厚生労働省から表彰されるなど、社外からも高い評価を得ています。
  • 全社禁煙の断行:6,000万円と試算された喫煙所改修費用を投じる代わりに、構内禁煙化へ舵を切り、2022年4月には全拠点の喫煙所を撤廃。喫煙率を大幅に低下させました。

秋山先生は、「認定はゴールではなく、全従業員に浸透してこそ意味がある」と語ります。「子供や配偶者、友人から『いい会社だね』『幸せだね』と言ってもらえるような声が面談で聞ける日を夢見て活動している」と、その想いを締めくくりました。

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