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ストレスチェックで何がわかるの?集団分析の概要や見方を解説

公開日: 2024.6.25
更新日: 2026.2.19
ストレスチェックで何がわかるの?集団分析の概要や見方を解説

2015年の労働安全衛生法改正に伴ってスタートし、すでに多くの企業で実施されているストレスチェックですが、できることは従業員個々人を対象とした検査だけではありません。その結果を用いて部署やチーム規模での集団分析を実施することで、職場環境におけるストレスの現状と、それによる健康リスクを詳細に把握することが可能です。その結果をもとにすれば、従業員が安心して効率良く働ける環境づくりに活用できるというわけです。今回は、ストレスチェックの集団分析を行うメリットのほか、集団分析の概要や評価方法について解説します。

ストレスチェックの集団分析を実施するメリットは?

ストレスチェックとは労働安全衛生法に基づいて行われる、従業員を対象としたストレスに関する検査のこと。同法の改正により2015年12月から実施されています。ストレスチェックは、従業員自身に自己のストレスについての気づきとケアを促すことを目的としています。

ストレスチェックは、50人以上の従業員が働く事業所において毎年1回の実施が義務づけられている一方で、その集団分析に関しては法的には努力義務とされています。実施をしなくても罰則等はないものの、集団分析には企業が従業員全体のメンタルヘルス不調のリスクを把握して不調の予防につながることや、組織の課題や強みが明確になり、働きやすく生産性の高い職場づくりに活かせることなどのメリットがあります。職場環境が改善されれば企業の生産性が向上し、離職率低下にもつながるなど、健康経営のよいサイクルが生まれるため、可能な限り集団分析を実施することが望ましいでしょう。

また、ストレスチェックの集団分析においては、個人の特定を防ぎ、事業者として守秘義務を守るために、厚生労働省からは10人以上の集団で行うことが推奨されています。

ストレスチェックの集団分析の評価方法を解説

ストレスチェックの集団分析の評価方法について、厚生労働省は「仕事のストレス判定図」を使って行うことを推奨しています。仕事のストレス判定図は「量─コントロール判定図」「職場の支援判定図」という2つの判定図からなり、集団におけるストレスの度合いと、ストレスによって健康状態に問題が出る危険度を判定できます。

量─コントロール判定図

仕事量とコントロール(仕事の裁量権・自由度)とのバランスを判定します。縦軸の「仕事のコントロール」は「職業性ストレス簡易調査票」のA8~10の回答、横軸の「仕事の量的負荷」はA1~3の回答の点数を合計して表します。縦軸と横軸が交わる斜めの線の点数が判定ポイントになります。「量─コントロール判定図」の点数が高かった場合は、「仕事量が多すぎる」「人員数が足りていない」「個人のスキルが不足している」「個人に与えられる裁量権・自由度が低すぎる」「マニュアルが整備されていない」「特定の個人やチームに業務の偏りがある」といった問題が考えられます。

職場の支援判定図

上司の支援と同僚の支援の状態を判定します。縦軸「同僚の支援」は職業性ストレス簡易調査票のC2・5・8の回答、横軸「上司の支援」はC1・4・7の回答の点数を合計します。
全国平均ラインが「100」と書かれた線で表されており、左下に近づくほどストレスが高いことを表します。「職場の支援判定図」の点数が高かった場合は、「上司の管理能力不足」「職場内のコミュニケーション不足」「コミュニケーションツールをうまく活用できていない」「社内イベント等による交流の機会が少ない」といった原因が考えられます。

ストレスチェックの集団分析においては、「総合健康リスク」と「高ストレス者」の2つを見ることが重要です。総合健康リスクが高く、なおかつ高ストレス者の割合が高い職場環境である場合は、すでにメンタルヘルス不調を抱えている従業員がその集団内に多くいることになり、生産性の低下や休職・離職など、企業の業績へのダメージに直結する懸念が高い職場であることが示唆されます。

「総合健康リスク」とは、職場環境が従業員の健康にどのくらい影響があるのかを指す指標のことで、「仕事のストレス判定図」から求めることができます。「量─コントロール判定図」の点数を健康リスクA、「職場の支援判定図」の点数を健康リスクBとして「総合健康リスク=A×B÷100」で算出します。たとえば、全国平均ラインの100に対して、総合健康リスクが115なら、心身の不調から休職者が発生する確率が全国平均よりも15%高いことになり、職場環境が健康状態にリスクを与えることがわかります。

高ストレス者は、心身の自覚症状が多く、心身の状態が著しく悪い人、または心身の自覚症状が一定以上あり職場のストレス負荷が強く、周囲のサポートが得られていない人を指し、自覚の有無にかかわらず不調を抱えていることが多いです。

ストレスチェックの集団分析の結果を職場環境の改善に生かす方法

ストレスチェックの集団分析で問題点が明らかになったら、その結果をもとに職場や職域ごとのストレス負荷の状況、従業員の健康状態などをあらためて精査することが重要です。この際、実際に現場の状況を観察したり、従業員にヒアリングしたりするなどして状況を細かく把握することが大切です。特に総合健康リスクと高ストレス者の割合が高かった集団に関しては、従業員へのヒアリングを通じて原因を探る作業を根気よく行うことが必要になります。その際には、高ストレス者か否かに関係なく、集団内のなるべく多くの従業員に話を聞くようにするとよいでしょう。

原因をある程度特定できれば、職場環境を改善するための計画が立てやすくなるはずです。問題が生じている集団を健全な状態に戻すために、分析結果を活用しながら従業員のストレスと総合健康リスクを減らすための有効な方法を考え、多くのトライアル&エラーを繰り返し、根気良く取り組みを行っていく必要があるでしょう。

ストレスチェックの集団分析は、目的ではなく手段です。職場環境の改善施策、あるいはマネジメントへのフィードバックといったアクションにまで繋げられなければ、企業はリスクを把握するだけになってしまいます。

ストレスチェックの集団分析によって課題が浮き彫りになったら、その課題をどのように解決していくかは事業者側にとって最も重要なことであるといえます。とはいえ、何らかの対策や施策を事業者内で考え実行していくことは、ノウハウやリソース的に限界があることも考えられるので、そんな時は専門的な外部機関を利用するのもひとつの有効な手段でしょう。

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