健康経営を阻害するプレゼンティーズムへの対応は?改善策を紹介!

体調が良くなくても、よほどのことがない限りは無理をして働いてしまうという人は少なくありません。しかし、不調を抱えたままでの業務は健康時に比べて生産性が低下してしまいます。こうした状態はプレゼンティーズムと言われ、従業員の心と体の健康に対する投資対効果を測定するための指標として注目されています。健康経営を進める企業にとっては改善したい状態である一方、出社している従業員の不調は企業にとって把握が難しいという一面も……。そこで今回は、企業が取り組むべきプレゼンティーズムの改善策について解説します。
プレゼンティーズムの問題点は?企業が抱えるリスクとともに紹介

「プレゼンティーズム」とは、欠勤には至っていないものの「健康問題が理由で生産性が低下している状態」のことで、健康問題に起因するパフォーマンスの損失を表す指標としてWHOによって提唱されています。プレゼンティーズムとともに語られることが多いキーワードとして「アブセンティーズム」があり、こちらは「欠勤や休職、早退などによって仕事が行えない状態」を指します。
働けないことでその生産性がゼロとなるアブセンティーズムに比べ、プレゼンティーズムは目に見えないパフォーマンスの低下であるため疎かにされがちです。しかし実際のところ、企業の健康関連総コストにおいてプレゼンティーズムによる損失コストはアブセンティーズムの10倍以上を占めているともいわれており、対策が求められているのが現状です。軽度の不調であってもそのまま業務を続けて症状を悪化させてしまうと、不調が長期化して損失を生むことになるという側面も影響しています。企業にとっては可視化しにくいリスクであるだけに、従業員のプレゼンティーズムは早期の把握や、予防・改善が重要になるというわけです。
プレゼンティーズムの原因のひとつとなるメンタル不調に向き合う方法
プレゼンティーズムの要因には、肩こり、腰痛、頭痛といったフィジカルの不調、ストレスやうつ症状といったメンタルの不調などさまざまに考えられますが、なかでもメンタルの不調に起因するパフォーマンスの低下は、特に大きな損失につながるとされています。
メンタル不調と向き合うための対策には、従業員自身で行う「セルフケア」、組織の管理監督者による「ラインケア」、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアの4つが有効です。
セルフケアは、従業員自らがストレスを予防し、気付いた時に適切に対処することです。企業は従業員に対して、ストレスやメンタルヘルスの研修、ストレスチェックの実施などを通し、セルフケアのスムーズな実践がはかれるよう施策を講じる必要があります。
ラインケアは、組織の管理監督者による部下のストレスケアのことです。管理監督者である上司が部下である従業員の具体的なストレス要因を把握し、相談に乗ったり、働き方の改善や配置転換などの措置を講じたりします。不調の把握のためには、従業員の普段の業務や言動の中から早期に違和感を発見する必要があるため、管理監督者には細やかな配慮が求められます。それによって管理監督者自身がストレスを抱えることにならないよう、さらに上位監督者による定期的なコミュニケーションや研修も必要になります。
事業場内産業保健スタッフ等によるケアとは、産業医などの社内の産業保健スタッフ等による支援のことです。セルフケアやラインケアが効果的に実施されるためには、専門的な視点や知見からの支援も検討してみるといいでしょう。
事業場外資源によるケアとは、外部のメンタルヘルスケア専門機関やサービスを活用することです。従業員へのカウンセリング、従業員への教育研修、情報提供、復職支援などにあたり、社内に専門人材を配置するのが難しい場合は外部サービスの活用も視野に入れてみてください。
プレゼンティーズムの予防・改善に向けた有効な対策は
他にも、企業が取り組むべきプレゼンティーズムの予防・改善にはさまざまな方法が考えられます。たとえば、従業員に対する健康リテラシー向上の促進です。セルフケアセミナーや睡眠改善セミナーなど、各種のセミナーを、複数回テーマを変えながら実施すれば、健康に対する意欲が組織内に根付いていくはずです。大切なのは、健康情報に触れる機会をなるべく多く、長期的に提供することにあります。また、健康の維持増進を長期的に啓蒙したうえで、これら健康意欲を後押しするための「運動習慣の定着化」に向けた施策も有効です。ウォーキングイベントや運動会などのスポーツイベントなど、単発的な各種運動イベントの実施に加えて、習慣化の促進には、運動サークルの運営や、スポーツクラブへの補助金など継続的に行える施策も同時に実施するとよいでしょう。
ストレスチェックによってメンタルヘルスの不調が疑われる従業員に対する「面談制度」の整備も重要です。高ストレス者のメンタル不調は生産性の低下を引き起こすだけでなく、職場全体のモチベーション低下にもつながりかねません。ストレスチェック結果で高ストレス者となった従業員への面談は、安行保健領域における事業者の義務ですが、なかなか実施されていない現状があります。面談制度に留まらず、自らの不調や業務上の悩みなどのSOSを上げやすい環境をつくり、従業員の心理的安全性を高めていくなど、ストレスやメンタル不調をためにくい職場環境づくりに努めることも大切です。1on1ミーティングの実施や、スタッフ同士が相互にサポートできる仕組みづくりを心がけてください。
健康経営推進に向けたプレゼンティーズムの改善には、従業員各人に向けたアプローチと環境整備の両輪による対策が重要です。従業員の体調把握に向けた細やかなチェック体制と、負荷なく作業できる職場環境の構築に努めましょう。
<参考URL>
- 企業の「健康経営」ガイドブック|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeiei-guidebook2804.pdf
- 健康経営 オフィス レポート|経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieioffice_report.pdf
- 「労働者の心の健康の保持推進のための指針」|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/dl/060331-2.pdf
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