今さら聞けない!健康経営のキーワード解説:「プレゼンティーズム」とは?

「プレゼンティーズム」とは?
「プレゼンティーズム(Presenteeism)」とは、従業員が出勤しているものの、心身の不調などによって本来のパフォーマンスを発揮できず、生産性が低下している状態のことです。
たとえば、頭痛・花粉症・腰痛・睡眠不足・ストレス・月経痛・更年期症状などを抱えながら働いているケースが該当します。
表面的には勤務しているため把握しにくいですが、実際には業務効率が落ちていたり、ミスが増えたりすることで、企業にとっては「見えにくい損失」となるのが特徴です。
プレゼンティーズムが注目される理由
アブセンティーズム以上の経済的損失
- 元来損失として認識されていた欠勤(アブセンティーズム)よりも、出勤しながらの不調(プレゼンティーズム)の方が、企業にとって損失が大きいという研究もあります。
- 日本ではプレゼンティーズムによる労働損失が、年間で数兆円規模に達するとも試算されています。
労働人口減少と健康経営の文脈
- 高齢化や人手不足が進む中、一人ひとりの生産性向上が企業の持続的成長に不可欠。
- プレゼンティーズム対策は、健康経営の柱のひとつとして注目されています。
- 健康経営における成果の見える化や効果測定の指標としても用いられるようになっています。
社員のQOL・満足度向上
- 不調を抱えながら働くことが当たり前になっている環境は、離職リスクやエンゲージメント低下にもつながります。
- 対策を講じることで、社員の働きやすさ・モチベーションの改善にも直結します。
プレゼンティーズムの主な原因
以下のような状態がプレゼンティーズムの要因となります:
- 身体的不調:頭痛、腰痛、花粉症、肩こり、慢性的疲労、月経痛
- 精神的不調:ストレス、不安、うつ、睡眠障害
- 生活習慣の乱れ:運動不足、栄養バランスの偏り、睡眠の質低下
- 職場環境要因:長時間労働、パワハラ・人間関係、騒音・空調などの物理的要因
プレゼンティーズムを可視化する方法
プレゼンティーズムは見えづらいため、以下のような定量的評価ツールが活用されています:
- WHO-HPQ(World Health Organization Health and Work Performance Questionnaire) 世界保健機関による国際的な労働パフォーマンス評価ツール。
- 東大SPQ(1項目版) 東京大学が開発した簡易版。 例:「この1か月間、あなたの仕事の成果は絶好調の時と比べてどの程度でしたか?」
- ストレスチェックや健康診断結果との相関分析 メンタル・フィジカル両面での不調を継続的に把握し、企業全体の傾向を捉える方法。
プレゼンティーズム対策の具体例
1. 健康相談・受診のハードルを下げる
- オンライン診療・健康相談窓口の設置
- 産業医・保健師との面談機会の拡充
- 外部相談窓口の充実
2. 不調を我慢しない文化をつくる
- 上司・同僚の理解促進(例:月経痛や更年期などに関するリテラシー向上)
- 職場内での体調共有や柔軟な勤務体制
3. 働き方の柔軟化
- リモートワーク、時差出勤、フレックス制度
- 不調時の短時間勤務・休暇取得のしやすさ
4. 制度+テクノロジーの組み合わせ
- フェムテックやウェアラブルなどの活用による体調管理支援
- 健康データの蓄積と可視化による早期対処
健康経営との関係性
プレゼンティーズムは健康経営の最重要指標の一つとして扱われています。
経済産業省や日本健康会議の健康経営認定制度(ホワイト500・ブライト500など)においても、「プレゼンティーズム対策」は評価項目の一部とされており、対応が求められています。
また、企業価値や従業員満足度、ESG投資における評価にも関わるため、見えない損失を可視化し、改善するマネジメントの重要性が高まっています。
まとめ
「プレゼンティーズム」は、本人も気づかないうちにパフォーマンスを落としてしまうリスクであり、企業にとっても見えづらい損失です。
だからこそ、定期的なチェック・職場文化の改善・個人の体調可視化が対策のカギとなります。
従業員の健康と向き合い、プレゼンティーズムを低減することは、働きがいのある職場づくり、生産性の向上、離職防止など多くの好循環を生み出します。
まずは「不調を我慢しない」環境づくりから始めてみましょう。





