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健康経営の推進に欠かせない「産業保健」とは?両者の違いを解説

公開日: 2024.6.13
更新日: 2026.2.19
健康経営の推進に欠かせない「産業保健」とは?両者の違いを解説

健康経営を推進するにあたって欠かせないのが産業保健の活動です。50人以上の従業員を抱える企業では産業保健に関してクリアすべきさまざまな義務が発生し、法令遵守が求められます。健康経営に関心があり、「もうすぐ従業員数50人を超えそう」という企業の中には、まだ産業保健に関する知見が十分ではないという不安を抱えている経営者も少なくないのではないでしょうか。そこで今回は、産業保健に関する基本の情報をピックアップ。その定義や健康経営との違い、具体的な義務内容について解説します。

あらためて「健康経営」と「産業保健」とは? 両者の意味を紹介

よく混同されることが多い2つについて、まず、「健康経営」「産業保健」という言葉の意味からあらためて見てみましょう。

「健康経営」とは、従業員の健康増進を目的とし、健康管理を経営課題として捉え、その実践をはかることで従業員の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す経営手法のことを指します。従業員が健康であることによって仕事における生産性が向上し、それによって企業価値の向上も見込むことができるという前提のもと、経営層が従業員の健康管理について戦略的に取り組むことを指します。企業に対する義務の側面は大きくなく、むしろ企業の価値向上を狙った自主的な施策が中心になると考えられます。

一方、「産業保健」とは、従業員の安全と健康を確保しながら、生産性の向上をはかるために企業が実施する活動のことで、産業医の選任をはじめ、時に法的義務を負う施策もあります。このように、従業員の健康を確保しながら生産性の向上を見込むといった意味では、健康経営と産業保健は違いがありながらも、重なる部分も多いです。

働く上でのさまざまな健康リスクを軽減するには、産業保健を基盤として重視しながら、健康経営を推進する必要があり、そのためにも、職場内において健康経営や産業保健の理解を得ることがまず重要になります。

法律で義務付けられている産業保健施策に比べ、健康経営に関しては、経済的理由から導入を躊躇する企業もありそうですが、従業員が健康であることは従業員の定着率が上がったり、医療機関の受診率が下がったりすることで医療費の削減に繋がるなど、全体的な企業の業績向上につながります。そう考えると、健康経営にかかるコストは必要経費であり、長期的に見れば企業とってプラスにはたらくものであるといえそうです。

産業保健体制をしっかりと構築しつつ、健康経営を目指すためにも、経営者や従業員がこれらに対する理解を深め、上手に活用する手段を学ぶことが大きなポイントとなります。

従業員が50人以上になると生じる、産業保健にまつわる主な法的義務

仕事で重要事項をチェックする

先述のとおり、産業保健の活動の中には従業員が50人以上の企業では義務化される事項もあります。法律で定められた義務であり、違反した場合の罰則もあるので、担当者は対応漏れがないよう十分に注意しましょう。具体的には以下の項目になります。

産業医の選任と届け出

従業員が50人になった時点から14日以内に「産業医」を選任して、選任報告書を速やかに労働基準監督署へ提出しなければなりません。選任すべき産業医の人数および業務形態は業種・業態・従業員数等によって異なるので、しっかりと詳細を確認しておく必要もあります。従業員数には正社員のほか、雇用形態や契約期間の有無は関係なくパートタイマーやアルバイト、契約社員、派遣社員もカウントされます。

衛生委員会の設置

「衛生委員会」とは、働く人の健康を守り、労働災害を防止するための委員会のことです。職場の健康保持増進および健康教育を目的として設置することが法律で定められています。委員会形式である理由は、企業が行う健康保持に関する施策について従業員の参加や協力が重要視されているためです。また、「安全委員会」の設置義務は業種によって基準となる従業員の人数が異なり、50人以上の場合や100人以上の場合があります。従業員数には正社員のほか、雇用形態や契約期間の有無は関係なくパートタイマーやアルバイト、契約社員、派遣社員もカウントされます。

衛生管理者の選任

「衛生管理者」は労働安全衛生法で定められた国家資格。従業員の健康障害や労働災害防止に向けた活動に従事します。産業医と同様、従業員が50人になった時点から14日以内に選任をし、選任報告書を労働基準監督署に提出しなければいけません。もし社内に有資格者がいなければ、従業員がこの資格を取得する必要があります。従業員数には正社員のほか、雇用形態や契約期間の有無は関係なくパートタイマーやアルバイト、契約社員、派遣社員もカウントされます。

定期健康診断結果報告書の提出

健康診断そのものは、正社員または週の労働時間が正社員の4分の3以上のパートタイマーやアルバイトが1人でもいれば実施しなくてはなりませんが、健康診断の結果を労働基準監督署へ報告する義務が生じるのは、従業員が50人以上の企業となります。健康診断の結果は保管方法等も法律で定められているので、合わせて注意が必要です。

ストレスチェックの実施

従業員数が50人以上の企業では、2015年12月から「ストレスチェック」の実施が義務化されています。従業員のストレスチェックを毎年1回実施し、その結果は労働基準監督署まで報告書として提出しなければいけません。従業員数には正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、契約社員、派遣社員もカウントされ、雇用形態や契約期間の有無は関係ないので注意しましょう。

産業保健の施策は早めに始めておくことが健康経営の推進につながる

従業員数が50人未満の企業の場合、上記のような義務は発生しませんが、健康経営を進めるためには社員数に関係なく可能な限り実施しておくことが理想的だといえるでしょう。たとえば「ストレスチェック」の実施は労働者のメンタルヘルス不調の早期発見に役立ち、企業の生産性低下の未然防止に有効です。「産業医」の選任も少人数の企業では義務ではありませんが、従業員に対する医師等の健康管理を行うことも同様の観点から重要になるでしょう。

従業員が50人未満であっても、企業の規模や環境に合わせて実施可能な産業保健の取り組みについて検討を始めてみてもいいかもしれません。

企業規模にかかわらず健康経営を推進したいと考えているのであれば、産業保健の取り組みを社内環境に合わせて実施可能な内容を早めに検討し、導入に踏み切ることも重要になります。

<参考URL>

健康経営/産業保健

健康経営/産業保健コラムシリーズ

企業に義務付けられている産業保健体制の構築から 健康経営の考え方・推進法まで幅広い話題をご提供。 これを読むだけで今求められている施策・対応への理解が進みます。

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