2025年の健康経営はどうなる?「健康経営推進検討会」が開催

経済産業省によって健康経営顕彰制度が始まってちょうど10年の節目を迎え、2025年は新たな展開を見せようとしています。今まで開催されてきた「健康投資ワーキンググループ」から、新たに「健康経営推進検討会」へと衣替えし、2024年12月19日に第1回目を開催。未来の健康経営を見据えた話し合いが行われました。この記事では、その中で新たに出てきた健康経営の動きを中心にまとめていますので、2025年度に向けて新たな準備を始める際の参考にしてみてください。
健康経営の持続的な発展へ向けた新たな「検討会」が発足
2024年12月19日、経済産業省が主催する健康経営推進検討会が開催されました。この検討会は、令和6年7月26日に開催された第5回健康・医療新産業協議会の決定により、今後は経済産業省 商務・サービスグループ長の私的検討会として「健康経営推進検討会」を設置して、健康経営の持続的な発展に向けた検討が行われる会となりました。引き続き、健康経営の発展に貢献してきた有識者たちが集まり、今回は令和7年度健康経営度調査に向けた検討を含む、さまざまなあり方について話し合われました。
本検討会冒頭の事務局からの発表では、健康経営優良法人の認定数は大小合わせて2万社を越えるまで普及していることがわかりました。健康経営は、少子高齢化が進み生産年齢人口が減少していく中で、従業員の健康増進を通して、企業経営に有益な成果をもたらすことを目的に行われていることから、今後の日本経済社会の基盤として、政策的観点を踏まえた一層の普及推進が望まれています。


令和7年度健康経営度調査では、令和6年から引き続き、
①健康経営の可視化と質の向上
②新たなマーケットの創出
③健康経営の社会への浸透・定着
の3つが主要テーマとなります。
特に今回から重視された
- 経営層の関与
- PHR(Personal Health Record:パーソナルヘルスレコード)の収集と活用
- 40歳以上の健康診断データの活用、
- 介護と仕事の両立支援
- 柔軟な働き方の推進
- 常時使用しない従業員への取り組み
- 女性特有の健康課題への対応
- メンタルヘルス対策の構造化
- プレコンセプションケアの啓発
などが、検討課題として継続討議される形となりました。

健康経営が「人的資本経営」の土台に
健康経営の未来を示した健康経営の波及効果と目指すべき姿(2.0)では、新たに、人的資本経営と健康経営について言及されました。その中では、『自ら価値を高められる資本である「人」のパフォーマンスを引き上げる健康経営の浸透は、様々な側面で価値向上をもたらす。』と言及。健康経営は人的資本の価値を高める、人的資本経営の土台であると定義しました。
これにより、今後健康経営は、人的資本経営を行う企業にとっては必須の経営手法となるほか、より可視化・数値化が求められる形に進みそうです。特に、従前から重視されてきた施策に対するPDCAサイクルの推進は、さらに重視されることが見込まれます。

健康経営における女性の健康施策の効果検証プロジェクトが始動
検討会では、来年度に実施される、「女性の健康施策の効果検証プロジェクト」についても紹介されました。実施内容を明示するほか、効果測定指標を明示することで、自社だけでなく、同様の取り組みを実施する他の参加企業も含めた現状把握が可能になります。また、検証内容も、各法人の悩みに合わせたプログラムになる予定で、きめ細かいケアが受けられます。同プロジェクトへの参加は、2024年12月20日から開始されています。

ウェルビーイングがISO規格化
健康経営の重要な要素として位置付けられている、ウェルビーイングを推進するためのフレームワークを定めた国際規格「ISO 25554:2024高齢社会-地域社会と組織のウェルビーイングを促進するためのガイドライン」(以下、ISO 25554)が日本からの提案により、発行されたことも報告されました。国際規格化の背景には、世界的な高齢化および労働人口の低下が懸念されており、各国においてもウェルビーイングの維持・向上が求められていることがあります。
本規格では、取り組むべきウェルビーイングの領域を地域や企業等それぞれの組織が明確に定めて活動することを推奨しています。また、その内容はWHO(世界保健機関)におけるヘルシーエイジングの理念やSDGs(持続可能な開発目標)における「誰一人取り残さない」という理念に即したものであることを前提としたものになっています。
その上で、ウェルビーイングを推進するための実践方法として、
- 取り組みを構成する主要な要素(誰を対象とするのか、何を具体的な成果として目指すのか、そのために何をするのかなど)の設定
- 実践するために推奨される工程(計測、評価、改善など)の設定
を例に挙げています。
この国際規格化を通し、今後、日本で始まった健康経営のエッセンスを世界標準とすることで、世界的に健康経営の実践を促進させるとともにヘルスケアサービスを提供する日本企業のビジネス拡大を目指したい考えです。
食育実践優良法人顕彰を農林水産省が創設
面白い動きとしては、農林水産省が、健康経営優良法人認定制度を活用する形で、「食育実践優良法人顕彰(仮)」の創設を検討開始した旨が発表されました。
同顕彰は、健康経営度調査表に記載された申請サイトから、必要書類を提出することで、健康経営優良法人と共に提出が可能な形になる見込みです。
健康的な朝ごはんの提供や、バランスのとれた社食の提供、定期的な食育研修の実施など、大人の食育と食生活改善につながる取り組みを促進したい考えです。

健康経営ガイドブック・ハンドブックは3月に改訂
これら多くの取り組みが増えることによって、さらに健康経営に取り組む企業が増えると予想される一方で、開始のハードルの高さを下げる施策の一環として、今年度改定される予定の「健康経営ガイドブック」「健康経営ハンドブック」の簡単な内容共有とスケジュール公開も行われました。予定では、2025 年 3 月にガイドブックが、夏頃までにはハンドブックが作成される予定です。
改訂版ガイドブック・ハンドブックで重点的に取り扱われる予定なのが、健康経営の具体的な実践手順です。多くの企業にとってハードルになってきたこの部分を、より詳細に解説します。
新たな10年に向けた取り組みが加速する「健康経営」
令和7年健康経営度調査に向けて、省庁を超えた様々な内容の検討が行われた「第1回健康経営推進検討会」ですが、その内容はいずれも従来の動きをより明確にするものが中心でした。来年度も健康経営優良法人取得を目指す企業は、基本に立ち返って、従業員をいかに健康にし、経営の力と変えていくか。ここに立ち返って行動することが求められそうです。
また、健康経営を人的資本経営の土台に位置付けることで、より一層の広がりが見込まれます。日本中の企業にとって健康経営が当たり前になる日はそう遠くないかもしれません。
<参考文献>
健康経営/産業保健コラムシリーズ
企業に義務付けられている産業保健体制の構築から 健康経営の考え方・推進法まで幅広い話題をご提供。 これを読むだけで今求められている施策・対応への理解が進みます。






