女性がもっと活躍するために……女性を取り巻く企業や社会の現状を解説

現在、労働力人口に占める女性の割合は全体の4割以上となり、ほぼ半数にせまる勢いになってきました。少子高齢化によって労働人口が減少するなか、貴重な戦力である女性従業員にこれまで以上に活躍の場を与えることができるかは、企業の業績を左右する大きな課題だといえます。今回は、企業や社会における女性の現状と、さらに女性の活躍を推進するための各種取り組みや施策について紹介していきます。
注目度が高まる「女性活躍」における日本の現状と課題
これまで日本では、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法、次世代育成対策推進法など、雇用における男女格差問題や女性の社会進出をはかるさまざまな法律が制定されています。先述の通り、労働人口が減少するなかで女性に高い生産性をもって働いてもらうための環境を整備することは、日本経済における喫緊の課題とされているからです。そして2016年4月に「女性活躍推進法」が施行されたことで、「女性活躍」というキーワードは社会にさらに広く浸透しました。
女性活躍推進法とは、正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といい、仕事において女性が希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できるよう、企業に積極的な採用・登用、環境整備を促すことを目的にしています。
ただ、各国の男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数2022」によると、日本の順位は146カ国中116位と、先進国の中では最低レベルにあり、アジア諸国の中で韓国(99位)や中国(102位)、ASEAN諸国より低い結果となっています。女性活躍推進法などで女性の社会進出を進めていますが、男性同様に活躍できる労働環境が整っているとは、まだまだ言えないのが現実です。
女性活躍の推進を見据えて企業が取り組むべき施策は

そこには日本の社会や企業を取り巻くさまざまな課題が関係しています。たとえば、出産や育児。厚生労働省の調査では「育児や介護、家事などに女性の方がより多くの時間を費やしていることが、職業生活における女性の活躍が進まない要因の一つだ」という意見について、38%が「そう思う」、46%が「どちらかといえばそう思う」と回答。家庭における仕事量が男性よりも多く、仕事と出産や育児の両立が難しいことや、またそうした課題を解決するための制度が企業側で整っていないといった点が理由として挙げられます。さらに、そうした状況では、職場内に活躍する女性が登場しにくく、理想的なキャリアの女性ロールモデルが少なく、女性従業員のモチベーションが生まれないという負の連鎖にもつながっていることが考えられます。
これらを解消するために考えられるのは、仕事と育児や家事の両立が難しい女性従業員向けに、労働時間や働き方を柔軟に選択・調整できる制度の整備です。これには、女性の家庭環境に合わせ、時短勤務やテレワーク、フレックスタイム制など、さまざまな制度の導入を検討する必要があります。さらにキャリアと家庭を両立できる環境を整えたうえで、女性ロールモデルを育成していくことも大切です。仕事と育児・家事を上手く両立している女性管理職を増やすことで、女性従業員のモチベーションが上がり、活力ある女性の多い理想的な職場が実現できるでしょう。
ほかにも、男性の育児休暇を推進する認可外保育園の援助や託児所の設置など、女性が育児と仕事を両立しやすくするための制度はたくさんあるので、広い視点での検討が重要となります。
女性従業員が活躍するためには、企業の健康ケアも重要

女性従業員の活躍推進に向けては、家庭環境の支援以外にも、健康への支援も重要な課題となります。というのも、女性と男性ではかかりやすい病気の種類や、不調になりやすい年代や病状、治療法などが異なるためです。特に女性は、加齢をはじめ妊娠・出産などによっても女性ホルモンが大きく変動し、健康への影響を受けることも。また、月経や妊娠・出産、婦人科系のがんなど、女性特有のさまざまな健康課題が存在しています。
これら女性特有の健康課題にともなう損失は決して小さくなく、たとえば、月経にともなう症状や不調による経済的損失額は年間で4,911億円に上るという試算が経済産業省から発表されています。また、PMS(月経前症候群)や月経にともなう心身の変化によって、仕事のパフォーマンスが半分以下になると回答した人が45%に上るという調査結果も……。
女性特有の健康課題は企業業績にも大きく影響するため、健康経営にとっては欠かせないテーマだといえます。女性特有の健康課題を正しく理解し、適切なサポートによって女性の体調に合わせた柔軟な働き方が可能になれば、仕事に対する自信やモチベーションを保ちながら働き続けることができ、離職者を減らすことにもつながります。女性従業員の定着が実現すれば、企業は女性人材のキャリアアップや管理職登用もしやすくなるはずです。
ではあらためて、女性特有の不調にはどのようなものがあるのでしょうか? その代表例としては以下のようなものが挙げられます。
月経に関する不調
PMSや月経にともなう具体的な症状は個人の体質によって異なるものの、なかには仕事を休まざるをえないほどの強い腹痛や頭痛をともなうという人も少なくありません。たとえ出勤した場合でも、業務効率が大幅に下がるケースも考えられます。生理休暇や、不調時の作業フォローなど月経不調にともなう支援制度を整えるとともに、実際に取得しやすい職場環境づくりが重要です。
婦人科系のがん
婦人科系のがんとして、もっとも代表的なものが乳がんです。生涯で9人に1人は罹患するとも言われています。その他にも、子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)や卵巣がんなど、女性特有のがんは少なくありません。企業には、がん検診の費用補助を導入し、早期発見・治療をサポートしたり、がんと診断された女性のための相談窓口設置、時短・在宅勤務といった柔軟な働き方に対応した制度などの検討が求められます。
妊娠・不妊
妊娠期には、つわりや貧血、食欲不振などの体調不良があらわれがちです。企業は、妊娠によって体調不良が起こること、それによって以前同様のパフォーマンスが発揮できない女性従業員の存在について、他の従業員や上司に対して理解を求めていくことが大切です。また一方で不妊治療を行う従業員は、高頻度の通院や多額な費用、それにともなう精神負荷などの課題があります。従業員が仕事と不妊治療を両立できるよう、企業は、通院時に活用できる年次有給休暇の時間単位取得制度やフレックスタイム制度の導入検討が必要でしょう。
更年期障害
更年期とは、閉経前後の5年ずつの10年間を指し、この時期には女性ホルモンが減少することで、頭痛やめまい、うつ、動悸や息切れ、吐き気などさまざまな不調が引き起こされます。症状には個人差があるため、まずは女性従業員や管理職等に更年期障害への知見をもってもらう施策が有効です。さらに、通院に合わせて活用できる年次有給休暇の時間単位取得制度やフレックスタイム制度の導入、相談窓口の設置なども検討するといいでしょう。
女性の活躍に向けては、女性の家庭環境・ライフステージに合わせた支援と、女性特有の不調に対応する支援の両輪での視点が欠かせません。健康経営の推進には、まずは女性が置かれているさまざまな環境に対して、社内での理解・リテラシーの促進を図ることが重要になります。男性も含む従業員全体に対して女性支援の理解を広げながら、さまざまな施策に反映させていきましょう。
<参考URL>
- 世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2022」を公表|内閣府男女共同参画府
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2022/202208/202208_07.html - 男女共同参画社会に関する世論調査
https://survey.gov-online.go.jp/r04/r04-danjo/2.html - 働く女性の健康推進に関する実態調査|経済産業省https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/H29kenkoujumyou-report-houkokusho-josei.pdf
- 働く女性の健康増進調査 2018|日本医療政策機構
https://hgpi.org/wp-content/uploads/1b0a5e05061baa3441756a25b2a4786c.pdf
健康経営/産業保健コラムシリーズ
企業に義務付けられている産業保健体制の構築から 健康経営の考え方・推進法まで幅広い話題をご提供。 これを読むだけで今求められている施策・対応への理解が進みます。








