成功のカギは「一元管理」にあり!健康経営におけるデータ化のススメ

従業員に向けた健康診断の実施やストレスチェックの実施は、健康経営においては欠かせない要素です。しかし、本当に重要なのは、実施することそれ自体ではありません。各従業員の診断結果をきちんとデータ化した上で、どのように管理し、どのように活用していくのかが自社の健康経営をさらに推進させていくための重要なカギとなるのです。今回は、従業員の健康情報のデータ化について解説していきます。
従業員の健康情報は、デジタルデータ化して正しく保管

労働安全衛生法によって実施が義務化されている健康診断とストレスチェック(※ストレスチェックは従業員数50人以上の事業所の場合)は、その結果についても最低5年間の保存が義務となっています。そんななか、従業員の健康情報を紙の書類で管理するには限界があるのも現実。たとえば、多くの従業員を抱える企業であれば、紙の書類の保管場所として広いスペースを用意しなければいけません。また、従業員の異動に合わせて書類も一緒に移動させていては、非常に手間がかかるだけでなく、紛失してしまうリスクも考えられます。
そこで近年では、従業員の健康情報はデジタルデータ化して保管する企業が増えています。これにより、産業医等がシステムに蓄積されたデータを活用しながら各従業員の健康を確認し、問題が見られる従業員については意見書を出すことで不調の防止につなげるなど、健康管理の効率化が図られてきました。
データ化した健康情報は一元化したうえでの管理が重要
従業員の健康に関するデータは、健康診断やストレスチェックの結果だけではありません。勤怠情報や業務履歴、産業医などとの面談記録など、従業員の心身や日々の業務に関するあらゆる情報が存在し、それぞれが健康経営を進めるための大切な情報です。
先述のとおり、現在ではこれらの情報をExcelなどの表計算ソフトでデータ化し、保管している企業が多くなっています。しかし、実際には管理されているデータがそれぞれの情報ごとに分散・独立しており、統合管理ができない状態であるケースも少なくないようです。
健康経営の担当者にとってこれら従業員の健康データは、組織改善や健康施策の立案など、自社の健康経営を進めていくための非常に重要な指標となります。ですが、せっかく取得した健康データが各所に分散したままでは、さまざまな施策をスムーズに推進するための妨げになりかねません。各所に点在するデータを統合して一元管理することで、従業員の健康状態を可視化しやすく加工していくことは、健康経営の担当者にとって重要なタスクになってくるといえるでしょう。
「管理」から「活用」へ。健康管理システムによるDX化も進む

健康経営が一般化する以前は、健康データに手軽にアクセスできる環境を整えて管理業務を効率化すること、すなわち健康データをいかに一元化するかが主な課題でした。
しかし、従業員の心身の健康が、従業員自身の生産性向上、ひいては企業の業績向上につながるという健康経営の考え方が浸透するにつれて、ただ単に従業員の健康データを管理するだけでなく「一元化して蓄積した情報をどのように健康経営のための施策に活用するか」が問われるように。従業員の健康データにまつわる課題は、「管理」から「活用」へと、一段レベルが高くなっています。
こうした課題解決のために求められているのが、各種データの連携です。たとえば、勤怠データと健康診断やストレスチェックの結果データを連携させれば、労働時間と健康状態の相関関係を可視化することができ、心身に不調を抱えた従業員へのケアや、不調に陥りがちな従業員の傾向を把握して新たな健康施策に役立てるなど、社内の健康管理の効率化が期待できるというわけです。
加えて、健康データからどのような結果を得られるか分析するツールを内包する、便利なサービスも増えてきています。健診結果やストレスチェックを大規模に分析したり、クロス分析などを行うことで、今まで見えてこなかった課題が浮き彫りになるケースも見られるようになりました。
こうした背景から、現在では、健康管理システムやアプリサービスの開発など、健康データ領域におけるDX化の動きも非常に活発になっています。社内の健康経営を大きく前進させるためには、これら新たなデジタルサービスの導入を検討してみてもいいかもしれません。
<参考URL>
- Well-being society の実現に向けた データ利活用による健康経営の実践 経済産業省https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/pdf/003_08_00.pdf
- ハピネスパートナーズ:健康データの管理・分析・活用をワンストップで出来るクラウドツール
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